【Review】トップリーグ 第15節 vsコカ・コーラレッドスパークス戦

2017.01.20

「6位」のためにマストウィンの一戦。しかし高いモチベーションのコカ・コーラにペースを握られる。

 瞬く間に時は流れ、8月に始まったトップリーグも最終節を迎えた。結果次第で、5位にも9位にもなり得る混戦は続いており、プレッシャーのかかる状況であったことは間違いない。だがリコーは過去最高順位である6位に向かってとにかく勝つ、という目標に集中できているように映った。自信に満ちた選手たちの表情は、同じ相手と対峙した昨シーズンの最終節とはまったく違うものだった。

試合開始を前に5位のNTTコムの勝利が伝えられ、リコーが5位になる可能性は消滅。またリコーより1時間早く試合が始まっていた6位のトヨタ自動車は、ヤマハ発動機に対し前半は接戦を演じているという情報も届いていた。

 日本全国が寒波に見舞われ、福岡・レベルファイブスタジアムも冷えきった空気に包まれた。第1試合で地元のサニックスが激戦を制し、その歓喜の余韻が残るスタジアムに、SOタマティエリソンのキックが弧を描き試合が始まった。蹴り合いとなるが、10番のランでのゲインを挟んだコカ・コーラがうまく前に出て、リコー陣内10m付近でラインアウトにする。

ラインアウトをコカ・コーラがキープ。右サイドのラックから、順目にフェイズを重ねると、左中間で10番がディフェンスラインの裏にゴロキック。FBピータース ダニエルが拾うが鋭くチェイスした13番が激しく絡む。ボールを守りにいったリコーにオーバーザトップの反則。

7番がクイックリスタート。リコーは反応できずノット10mバックのペナルティを重ねる。アドバンテージが出る中、7番は左中間をゲインし、トライライン目前まで前進。コカ・コーラは即座に右へ展開。このつなぎはタッチライン際のパスが通らず、タッチを割る。アドバンテージの出ていた左中間、ゴールまで10mほどの位置にボールが戻され、コカ・コーラはPKをタッチに出してゴール前ラインアウトに。

リコーはラインアウトモールにしっかり対応。持ち出した2番にタックルを決めるとノックオン。ボールを拾ったリコーが蹴り出して22mライン付近まで押し戻す。(4分)

今度のラインアウトは、モールをつくるように見せて展開。中央を11番が突く。ラックから出したボールを受けた10番が外にパスする動きを見せると、一転リコーディフェンスのギャップに仕掛け、うまく抜ける。右中間をまっすぐ走ると、リコーのタックルをはずしそのままインゴールに達しトライ。リコーはディフェンスでプレッシャーをかけられず、テンポよく攻めさせてしまった。CVも決まり0−7とコカ・コーラが先制した。(6分)

再開後はまたキックを蹴り合い、互いに突破口を探る。チャンスをつかんだのはリコー。SOエリソンがショートパントを蹴りチェイス。拾い上げた選手を捕まえ、22mライン手前でラックにすると、ボールがこぼれリコーに入る。ノックオンのアドバンテージ。SH山本昌太がショートパントを蹴り、跳ねてインゴールに転がる。これはコカ・コーラがグラウンディング。

 アドバンテージの出ていた、右中間22mライン手前でリコースクラム。これを押し込むと、NO.8松橋周平が持ち出してブラインドサイドを突く。

右サイドにポイントをつくると展開。走りこんだWTB渡邊昌紀に渡し中央をゲイン。22mラインの内側へ入ると、テンポよくボールを出し、左中間からSOエリソンがディフェンスラインの裏へゴロキック。タッチライン際を鋭く飛び出したWTB小松大祐がこれに追いつき、うまく拾うとそのままインゴールに飛び込んでトライ。CVははずれたが、5−7とリコーが点差を縮めた。(11分)互いにSOの技でトライを獲り合う試合の入りとなった。

一進一退で数分が経過。リコーは相手のショートパントをうまく処理し、自陣浅めでボールを確保。ラックをつくるとSH山本がハイパントを上げる。敵陣に落ちコカ・コーラ11番に入る。LOフランコ モスタート、マイケル ブロードハーストらがチェイスしていたが、11番が両者をかいくぐって前へ出る。7、8、10、13とつなぎ、ディフェンスの整っていなかった外側のスペースに運ぶと、13番が抜け出す。SH山本が食らいつくが届かず、右中間インゴールまで約40mを走りきられてトライ。CVも決まり5−14。(16分)

先手をとられる展開となったリコー。キックと相手のペナルティなどで敵陣に入っていくが、ラインアウトを2つ続けて奪われるなどして、アタックの流れに持ち込めない。

蹴り合いが続いたあと、SOエリソンがショートパントを裏へ蹴りチェイス。ボールは拾えなかったものの、相手選手に激しく絡みボールを出させず、リコースクラムに。

 右中間、コカ・コーラ陣内10m付近のスクラムから展開。中央でCTB濱野大輔、左中間でFL柳川大樹が強く前に出る。さらにLOブロードハースト、WTB小松につなぎ22mライン付近まで持ってくるが、タックルを受け離したボールがタッチを割る。(23分)

ラインアウトをキープしたコカ・コーラは、低いキックを蹴り込み出足よくチェイス。リコーの前進を止めエリアを取り戻す。再びハーフウェイ付近の攻防に。リコーにノックオンでコカ・コーラのスクラム。

左中間のスクラムから持ち出した8番が狭いサイドを突破。9番につなぐとタッチライン際を走り22mラインの内側へ。9番が内に戻すパスを狙うが、これにSOエリソンが反応してカットするビッグプレー。ボールを取り戻そうと手を伸ばしたコカ・コーラの選手の手に当たりこぼれノックオン。リコースクラムになる。さらに点差を広げられかねない危険な場面だったが、リコーはなんとか乗り越えた。(26分)

再び一進一退に。しかし30分、PKで前進しリコー陣内でラインアウトを得たコカ・コーラが、サインプレーを決めて9番が抜け。一気にゴール前まで攻め込んでアタックを仕掛ける。激しい攻防となるが、リコーの集中力が上回り、ギリギリのところで止めていく。そしてSOエリソンが倒したランナーの持つボールに手をかけるとノットリリースザボール。リコーはこのピンチも耐え抜いた。(32分)

SOエリソンのスペースへのキック、さらにコカ・コーラのペナルティで前進したリコーは、ゴール前ラインアウトのチャンス。ここでこのところの得点源となっているラインアウトモールを狙うが押せない。ボールを出して攻めるが、アクシデンタルオフサイド。攻めきれないリコー。その後も敵陣に入ってはいくもののスコアすることはできなかった。7点のリードを許し前半を終えた。

後半の入りに3連続トライ。見事な逆転劇で3連勝フィニッシュ。目標の「6位」を見事達成

 PR柴田和宏を大川創太郎に入れ替えて後半へ臨んだリコーに、後半最初のチャンスがすぐに訪れた。

ボールをさばこうとした相手9番にSH山本が鋭くプレッシャーをかけると、サポートが駆けつけてボールを乗り越える。倒れた9番が手でボールを後方に搔き出しハンドの反則。リコーはPKで22mラインまで前進する。

 左サイドのラインアウトをキープすると展開し中央、右中間を攻める。リコーは強いキャリーで前に出ていく。右中間まで運ぶと今度は左へ。SOエリソンがランでディフェンスを引きつけ、CTB濱野にパス。濱野は左中間のギャップを抜けてゲイン。ゴールまで5mに迫る。ポイントをつくると広いサイドに走り込んだLOモスタートにパス。力強くインゴールにボールを押し付けて左中間にトライ。重要な後半の入りにリコーがスコアに成功。CVも成功し12−14。(4分)

トライのあと、蹴り合いを経てコカ・コーラ陣内浅めの位置でリコーがラインアウトを得る。ここでLOモスタートをロトアヘアポヒヴァ大和に、CTB濱野をアマナキロトアヘアに入替。早めのインパクトプレーヤー投入で、主導権を一気に奪いにかかる。(7分)

ラインアウトから攻めると、CTBアマナキ のキャリーで前に出て、22mライン手前、右サイドタッチライン際にラックをつくる。そこでボールを奪おうとしたコカ・コーラにペナルティ。リコーはPKで前進しゴール前ラインアウトに。

ラインアウトモールにはコカ・コーラが対応。リコーはやむなくタッチライン際にラックをつくると、CTBアマナキ、さらにNO.8松橋が前に出る。トライラインが迫ると、ラックから取り出したCTBアマナキがLOブロードハーストと肩を組んでインゴールに押し込みトライ。CVも成功し19−14。リードを許し続けてきたリコーが、ようやく逆転に成功した。トライの直後、リコーはHO森雄基をマウジョシュアへ入替。(11分)

リコーの勢いは止まらない。再開のキックの蹴り返しをコカ・コーラがノックオン。敵陣でスクラムを得ると、これを強く押し込みドライブ。右サイドタッチライン際を、10mライン付近から22mライン手前まで15m近くゲインする。さらにアドバンテージを得る。

 アドバンテージが出た状態で展開、中央をCTBアマナキが抜ける。フォローしたCTB牧田ヘパス。牧田はタックルされながらもパスを外へ。これをWTB小松が拾い、内に戻す形で再びCTBアマナキへ。アマナキは鋭く抜けて左中間にトライ。CVも決まり、リコーが26−14と点差を広げた。(14分)

リコーが一気呵成の攻撃を見せたあと、試合は少し落ち着きを見せる。リコーはディフェンスの時間帯もあったが、前半のように受けに回ることはなく、プレッシャーをかけてテンポアップを封じていく。

しかし、ボールをさばく相手9番を止めにいったFL柳川がレイトチャージの反則。コカ・コーラはPKでゴール前ラインアウトへ。ここでサインプレーが成功。7番が手前側を抜けてインゴールに迫ると、2番につなぎインゴールに飛び込む。しかし、ボールをこぼしたようにも見えたことからテレビジョンマッチオフィシャル(TMO)が行われた。

LOブロードハーストのタックルが決まり、トライラインの手前でボールがこぼれていたことがわかりノートライの判定。(20分)ノックオンでリコーのスクラムに。

スクラムから蹴り出して押し戻したリコーだったが、ノットロールアウェイを犯し再びゴール前に攻め込まれる。そのラインアウトでFL柳川が空中にいる相手につかんでしまいペナルティ。危険なプレーを繰り返したとしてイエローカード。柳川は10分間の一時的退出処分を科せられた。(23分)

 ラインアウトからモールを組むコカ・コーラ。リコーはこれを押し返していく。今度はラックからピックゴーでインゴールを狙う。しかしこれにもリコーは冷静に対応し、NO.8松橋がボールに絡みノットリリースザボールを奪う。

PKで前進しラインアウトを得るがミス。コカ・コーラのスクラムとなり、リコーはこれを起点に自陣でアタックを浴び、さらにノットロールアウェイを犯す。

コカ・コーラは、タッチに出そうとしたPKが伸びすぎてタッチインゴールを割る痛恨のミス。リコーはこのミスに救われ、22mラインの内側に侵入されずに済んだ。自陣15m付近でのリコーのスクラムに。ここでSOエリソンをコリンボークに入替。(27分)

マイボールスクラムはWTB渡邊が加わり8人で組む。これを押し込んで展開。右から左へ、タッチライン際までボールを運ぶがノックオン。コカ・コーラはこれを拾ってリコー陣内深くへ蹴り込み、またもチャンスにつなげていく。

22mラインのそばでコカ・コーラがアタック。裏へのキックをリコーがうまく処理し押し戻そうとするが、CTBアマナキへのパスがこぼれ、ゴール間近でコカ・コーラのスクラムに。コーラがボールを回しチャンスをうかがう、1人少ないリコーは必死にディフェンスする。

 しかし、ここで一瞬の隙をWTB小松が突く。外側での12番から23番へのパスを鋭く飛び出した小松がインターセプト。そのまま無人の敵陣を独走し、中央にトライ。一気に逆転したあとはやや押し込まれていたリコーだったが、大きなスコアで勝利を引き寄せる。CVも決めて33−14。(32分)トライ数も5本と2本となり、ボーナスポイント獲得の条件に達した。

PR辻井健太を藤原丈宏に、SH山本を中村正寿に入替。(34分)さらにNO.8松橋を福本翔平に入替。(35分)33分にピッチに戻っていた柳川がNO.8、福本はFLに入った。

セーフティリードを得たリコーは、最後まで攻め続けるコカ・コーラに対しディフェンスで粘り、またスクラムなど上回っているプレーで圧倒し、時間を確実に減らしていく。ホーンが鳴ったあとも攻めるコカ・コーラだったが、最後はパスに手を伸ばしカットにいったCTB牧田が手に当ててノックオン。これで試合が切れ、ノーサイド。リコーの2016-17シーズンが幕を閉じた。

 リコーは今シーズン初の3連勝で8勝目(7敗)。勝ち点は40に到達した。前節勝ち点で並んでいた6位のトヨタ自動車は後半引き離され、ヤマハ発動機に敗れた。そのためこれを抜き、リコーは最終順位をトップリーグ創設以降では最高の6位とした。マンオブザマッチにはNO.8松橋周平が選ばれた。松橋は翌日行われた年間表彰式で、新人賞とベストフィフティーンにも選出された。いずれもリコーからは初の選出となった。

「ここから先へは、すべての面で今を上回っていかないといけない。でも必ずできると信じて挑みたい」(神鳥裕之監督)

神鳥裕之監督

 今日は寒い中ありがとうございました。また一年間ありがとうございました。最終戦ということで、何としても勝って、6位という順位にこだわって過去最高順位を獲るというモチベーションで臨みました。前半、コーラさんの素晴らしい気迫と精度の高いアタックを前に受けに回るようなシチュエーションをつくってしまいましたが、そういった苦しい展開の中でも、後半はしっかりと自分たちのラグビーができた。この一年間で成長した選手たちを称えたいと思います。昨シーズン、入替戦出場という悔しい思いをして、今シーズンに臨み6位という成績。まだまだ優勝というところまでは遠い部分がありますが、大きく成長した選手たちを称えて、次のシーズンに向けて頑張っていきたいと思います。
(順位アップはディフェンスの整備が大きかったように思う。昨シーズンのように崩れだしたらガタガタといくようなことがなくなった。改善の要因は?)もともとこのチームをつくり始めたときからディフェンスの部分というのは大事にしていた部分ではありました。それが昨シーズンはうまく機能しなかった。
今シーズンはヘッドコーチのダミアン(ヒル)がディフェンスを見て、選手たちにしっかり落とし込んでくれたこと。選手たちもそのメッセージに対ししっかり実行してくれたこと。フォーカスをシンプルに絞って、ラインスピードを上げること、低くタックルに入ること、シンプルではあるんですが、昨シーズンはなかなか実行できなかったことが、コーチと選手のコミュニケーションがしっかり深まったことで、実行力につながっていったと思います。
(神戸製鋼ときわどい試合をするようなこともあった。来シーズン、どういった部分を強化して上のチームに挑んでいこうと考えているか?)さきほど申し上げたディフェンスの部分はもっともっと追求していきたいと思っている部分です。精度をしっかりと上げて、トップチームを相手にしてもディフェンスでゲームをつくれる失点の少ないチームをつくりたいと思っています。
またシーズンの後半はかなりセットプレーがよくなってきましたので、このあたりを一段階上げて武器にできるような戦い方でもトップチームに挑んでいきたいと思っています。
(特に成長したと感じる選手は?)全員と言いたいところです。本当にみんなよくやってくれたので。ここにいる武者(大輔)も本来はキャプテンではないのですが、バイスキャプテンという立場でゲームキャプテンとしてチームをリードできるようになりましたし、BKでいえば牧田(旦)だとか。チームをリードできるような選手に育ってくれました。
あとは皆さんにもよく聞かれる新人の松橋(周平)であったり、濱野(大輔)であったり、そういう若い力、新しい力も相まって、チームとしての力が全体的に上がってきましたので、成長したというのは、今挙げた4人のメンバー以外にもたくさんいると思っています。
【以上共同記者会見にて】

 最後、しっかり勝ててよかったです。今日のゲームは決して満足できる内容ではなかったし、前半は最悪の内容で折り返しましたから。そんな状況でも80分間でしっかり修正して、最終的に5ポイント獲るところまで持っていけたのはチームの成長だと思います。
(前半奪われた2つのトライは、うまく獲られてしまった)コカ・コーラは入替戦を控えていて確かなモチベーションがあった。相当気合いが入っていましたよね。その気迫を受けた感じになりました。あとはしっかり準備されているなと。うちのディフェンスがラインスピードを上げてくるのに対し、後ろのスペースにチャンスがあるかもしれないということで、グラバーキックやハイパントを使ってきたり。我々としては一発目にいいパンチをもらったものだから、ちょっとバタついたというか、あわててしまった。
一言でいうとゲームプランを実行していなかったということですね。ディフェンスでは低くといっているのに上にいってしまったり、エリアを獲るといっているのにハイパントを上げてしまったりとか。ロングキックを使うべきところで、チップキックを使ってしまったり。
(なかなか主導権を奪えず、5−14の時間が長かった)前半20分が過ぎた頃から、だいぶ正気を取り戻してきたかなと。敵陣でしっかりスクラム、セットプレーをやって。スコアにはつながりませんでしたけれどね。そういったところで、ハーフタイムにはコーチの方からゲームプラン実行を念押しし、それが後半の安定した戦いにつながったと思う。
(後半は逆転したあと、少し停滞したようにも見えた)あそこもゲームプランですよね。風上に近いシチュエーションだったのだから、ロングキックを蹴って、相手にラグビーをさせるにしてもコカ・コーラ陣内でというのが鉄則。ゲームプランの徹底は来シーズンに向けて強いメッセージを出していきたいですね。個々の力だけで圧倒できるほどのチームの力も、中盤でボールを回してトライまでつなげられるほどの力もまだないと思っているので。これからトップを目指していくには、正しい判断と正しい実行力をさらにつくっていくことが大事な課題になってくると思う。
(これで1つの成果を出せた。振り返ってみたとき、成果を引き寄せた準備面での変更などを挙げるとすれば何か?)当然、入替戦に出場することになり、このままのやり方でチームが浮上するとは思えませんでした。うまくいかなかったことを分析して振り返って、いろいろな手を打ちました。これっていう1つのものはないんですけど、例えば身体を大きくするためのアプローチだとかは、S&Cコーチたちが僕のメッセージに対し真摯に取り組んでくれて、サイズもかなり大きくなりました。選手とのヒアリングの中で聞こえてきた「フィットネスはあるが、身体をぶつけていくとしんどい」といった言葉から、コンタクトフィットネスが足りないのではないかと考え、それもS&Cに落とし込んで「当たっても疲れない」そういう身体をつくれたのも大きい。
ラグビーの部分ではディフェンスをダミアンに見てもらったこと。一番手を加えないといけないところを一番信頼できるコーチに担当してもらいました。新しくアタックコーチになった武川(正敏)が成長してくれたというのもあります。もちろん、入替戦に出なければならなかった悔しさが、チームに一体感をもたらしたというのもある。それ以外にもたくさんの、いろいろなことがうまく回り始めたシーズンだったと思います。
(手応えが自信に変わったタイミングを挙げるならば?)1つは開幕戦でしょうか。公式戦でNECに勝てたのは自分の中では自信になりました。プレシーズンの試合は実力を図りにくいものなので。その後もサントリー戦や東芝戦という大きな試合もありましたが、やっぱり開幕戦の勝利ですかね。
(ここから上を目指すのは、ここまで来ることよりも何倍も難しい)はい。かっこをつけるようですが、ここまでは本当はもっと早く来れたと思うんです。でも、5位、6位から上に挑み続けて、実現できていないチームが多くあることからも、ここから先が険しい道のりであるのは間違いありません。選手一人ひとりの成長が必要ですし、チームとしての成長も必要。セットプレー、アタックの精度、身体のサイズ、フィットネス……すべての面で今を上回っていかないといけないと思う。でも必ずできると信じて挑みたいと思います。
(まだまだチャレンジが続く)当然、この結果に満足している選手はいないと思います。1つの目標の達成としては喜びたいですが、まだまだ通過点です。リフレッシュを終えたら、またすぐにスイッチ入れていきますよ。

馬渕武史キャプテン

 今日の前半は苦戦しましたが、相手に崩されているというよりは、自分たちのミスが多かったと。リコーがちゃんとしたプレーができていればああはならなかった。前半に関しては、コカ・コーラさんのほうが勝ちたいという思いが強かったようにも思いました。ハーフタイムにはコーチからそういう話もありました。選手もそれに納得していたと思う。最終的にはリコーのラグビーができたのでは。
(目標の6位に入った。今シーズンはいける、というような感触を得たタイミングはあったか)ひとつ挙げるならサントリー戦。少し手応えをつかんだかなと思います。NTTコムに負けて1勝1敗になったところで立て直せたと思う。それでキヤノンに勝って、波に乗れたのかなと。(春から開幕にかけての準備で、この結果を引き寄せたと思うものはあるか?) コミュニケーションでしょうか。もちろん毎年とるようにはしてきましたが、昨シーズンのような結果もあったので、より一層多くとっていたのかなと思います。選手同士も、選手とコーチも。
(キャプテンとしての自分を振り返ってみて、どうだったか?)発言は増えたと思います。でも声を出してというよりも、行動してというやり方になりました。やっていることは、これまでとそんなに変わらなかったのかもしれません。個人よりもチームの成績に対して責任を持たねばという気持ちは強くはなりましたが。
僕がどうというよりも、チームのみんなが危機感を持って、今年はやらなきゃいけないと思って取り組んでくれたことが大きかったと思う。昨シーズンの悔しい思いを、一年間忘れずに過ごしてくれたことがこの結果につながったと思います。
(来シーズンはさらに高い目標への挑戦になる。課題を挙げるなら?)15試合を通して力を出すことはできてきているかなとは思います。だから技術やフィジカルをプラスアルファしていくということが、一番大切なのかなと感じています。ベースを崩さないようにしながらですね。

FL武者大輔ゲームキャプテン

 今日はありがとうございました。素直にコカ・コーラさんに勝てたこと、リコーとしての最高順位になれたことはうれしく思います。ただゲームの内容は、シーズン最後を締めくくるゲームとしては課題が残るものだったかなと思っています。まだまだ上を目指して、来シーズン、頑張っていきたいと思っています。
(ディフェンスの部分、選手として思う、良くなった要因は?)一人ひとりのコミュニケーション、隣の選手としっかりつながることを意識して、一人だけ飛び出したりしないようにすることなど、チームのルールを守ることを意識できたからじゃないかと思っています。
昨シーズンは抜かれて、そのあとボロボロになることもありましたが、抜かれたあとにも前を見ながら横との連携をしっかりとって、ほどよいスペースでディフェンスができるようになったと思います。しかし、まだ改善するべきところはあるので、また来シーズン頑張りたいと思います。【以上共同記者会見にて】

NO.8松橋周平(マンオブザマッチ)

 (出し尽くした一年?)自分としても飛躍できた一年だったと思います。一戦一戦、ALL OUTしていて、その結果代表に入れたりしたので、そうなのかなと。(自分がどこまでやれるかはやってみないとわからない、そんなシーズンだった?)そうですね。手応えをつかみながらでした。
(大学生までの積み重ね、社会人になってからの経験、その両方、この結果につながったと思うのは?)僕としては、大学から何も変わっていないと思います。プレースタイルも変わっていないかなと。そこに一枚、二枚、ハードワークすることだったり、ボールキャリーの回数を一回でも多くすることだったり、そういう部分は、トップリーグで戦いながらレベルアップできたのかなとは思います。(長いシーズンを戦うという部分のきつさは?)問題ないですね。若いからかもしれませんが。ケアの部分などの大切さも学び、試合に向けて自分をコントロールできるようになったとは思います。
(シーズンが深まるにつれて、プレーの激しさはそのままに冷静さを増していったようにも見えた)そうかもしれません。「スマートにやれ」というのはFWコーチのマット(コベイン)もよく言うのですが、代表での経験を通じてそれを一層強く意識するようになりました。代表のラグビーもハードですが、スマートです。ジェイミー(ジョセフ日本代表ヘッドコーチ)もそれをよく話していました。だから、「ではスマートとはどういうことなのか?」というのを突き詰めることをしていきました。そこは変わった思います。
(来シーズンはここから上を目指す)今シーズン負けている試合は逆転負けもしくは、あと1トライ獲れば勝てたとか、惜しいところまでは来ていたように見えると思うんです。ただ、負けたチームと自分たちの間にあるのは実は、かなり大きな差ではないかと考えています。まだ終わったばかりでその差が何なのかはわかっていませんが、大きな差だと思う。でもそこを改善できれば、リコーは必ず上にいけると思う。そこに対してどうアプローチしていけばいいのかというのは、よく振り返って考えたいと思います。
(個人的には?)ベースは変えずに、スキルを磨きたいと思います。激しさの中にも冷静さを持って、ですね。

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