2010-2011 トップリーグ 第5節 対 NECグリーンロケッツ戦

2010.10.14

「高いモチベーション」に気を引き締めるリコー

 トップリーグ第5節は雨中の闘いとなった。熊谷ラグビー場でのNECグリーンロケッツ(NEC)とのゲームを前に、リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)は「NECのモチベーションは今まで以上に高いはず」と気を引き締め、布陣でも、スティーブン・ラーカムがSO、FBに河野好光を置くなどして重要な一戦を迎えた。

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 14時を少し過ぎた頃、試合開始の笛が鳴る。NECのキックがリコー左サイドへ蹴り込まれる。こぼれ球を拾ったNECが22mエリアに侵入。ボールはタッチを割り、リコーボールのラインアウトとなる。このラインアウトでリコーがノックオン。NECは左中間22m付近のスクラムを押し込むがこちらもノックオン。雨中でのハンドリングの難しさがうかがわれた。

リコーはスクラムのボールを出し、インゴールエリアからFB河野のキックでタッチに逃れ、22mラインまでエリアを押し戻す。NECがラインアウトからのモールを押し込むとリコーに反則。NECはタッチに出し、ゴール目前でのラインアウトを得る。

5分、NECはラインアウトボールをキープし、モールで前進。ゴールに迫ると、モールの左サイドを7番が判断良く抜け出しトライ。コンバージョンは左にそれたが、0対5とNECが先制する。

CTB金澤良のキックで試合再開。左サイドでNECが弾いたボールをリコーが拾い攻撃。ほぼ正面でボールを得たSOラーカムが、10mラインを少し越えた付近からドロップゴールを狙う。これは惜しくも届かず。NECの選手が拾ってタッチダウン(防御側の選手が味方のインゴール内で、ボールをピッチに接地すること)した。

試合再開のキックをキャッチしたリコーは、右サイドでラックをつくる。ここから展開し、SOラーカムからのボールを受けたCTB金澤がキックして、左サイドを攻め上がる。NECはボールをキャッチして蹴り出すがミスキック。ダイレクトタッチに。

左サイド22mのラインアウトを得たリコーは、力強くアタック。WTB小松大祐の果敢な前進などでゴールに迫るが痛恨のパスミス。ボールを奪ったNECは、左サイドをカウンターアタック。15番が自陣22m付近から一気に駆け抜け、ゴールに到達。9分、左隅にトライ。コンバージョンは外れたが0対10とNECがリードを広げた。

NECペースは続く。ペナルティキック2本でリコー陣内に迫り、左サイドゴール間近のラインアウトから再びモールで押し込む。13分、ブラインドサイドを突いた7番がまたもトライ。コンバージョンも決まり0対17。

河野がPG成功。しかし前半最終盤に痛い失点

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 リコーも相手の反則を突く。グラウンド中央からのアタックでNECがノットロールアウェイ。タッチキックからのラインアウトをキープし、SOラーカムが縦への突破を図ると、今度はオブストラクション。18分、ほぼ正面の位置からFB河野がペナルティゴールを決めて3対17とする。

徐々にペースを取り戻すリコー。20分、ラックでの倒れ込みで得たペナルティキックで前進すると、22m付近左のラインアウトからオープン攻撃。このチャンスはノックオンで逃す。

NECにエリアを挽回されるが、右サイドハーフウェイライン付近からのラインアウトをキープして、WTB小松がパワフルな突破。止めにかかったNECが倒れ込みの反則を犯し、リコーは左サイドにタッチキックを蹴り、再び22mエリアに侵入する。ラインアウトからもう一度オープン攻撃。しかし、ラインブレイクはならず。

34分には、左サイド22mライン手前のラインアウトからアタック。左中間にラックをつくり、密集をジャンプで越えたNO.8ロッキー・ハビリが前進を図るが、ディフェンスに阻まれ、トライならず。

攻勢を仕掛けたリコーだったが、得点することはできなかった。逆に37分、久々にリコー陣内に侵入したNECが、ゴール前のラインアウトからモールでプッシュ。7番が3本目のトライを決めた。コンバージョンは外れたが3対22。19点差でハーフタイムに。

ラーカムの突破でつくったチャンス生かし、5点差に迫る

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 リコーは、NO.8ハビリに替えハレ・ティーポレを入れて後半に臨む。早い時間帯にトライが欲しいリコーは攻め続ける。

リコー陣内のスクラムでNECがオフサイド。リコーは右サイドへタッチキックを蹴り、ラインアウトをキープして左サイドをCTB山藤史也、WTB星野将利とつないだがラインブレイクできず、ボールはタッチを割る。相手ボールのラインアウトを奪い再び攻撃。結果的にノックオンで相手にボールは渡ったが、前半苦しんだラインアウトの修正の成果が見えはじめる。

22m付近のスクラムから、NECはロングキックをリコー陣内に蹴り込む。WTB小松がキャッチしてFB河野がカウンターアタックを仕掛けたが、ハーフウェイライン付近の密集でノックオン。

NECのノットロールアウェイの反則でボールを奪い返したリコーは、ゴールライン間近へとキックを蹴り出し、マイボールラインアウトのチャンスを迎える。これをキープし、ゴール正面22m付近でラックをつくる。11分、LO相亮太が縦に抜けてトライ。コンバージョンも決まり7点を追加、10対22と点差を縮めた。

19分には、SOラーカムが前半から厳しかったマークをかわし縦に突破。ゴール前に迫りラックをつくる。左に出し、激しいディフェンスに抗いながらパスをつなぎ、最後はPR長江有祐からパスを受けたNO.8ハレが左中間にトライを決める。コンバージョンにも成功し17対22。連続トライで5点差に迫り、残り20分。逆転が視界に入ってくる。

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 NECは、25分には10mライン付近から、長い距離のペナルティゴールを狙うなど、キックを増やしリコーの勢いをかわしにかかる。一進一退の時間が続いたが、確実にボールを処理し続けたリコーは、カウンターアタックにつなげ、徐々にNEC陣内へと攻め込んでいく。リコーは25分にLO金泳男に替えて金栄釱、PR高橋英明を伊藤雄大に。30分にはSOラーカムに替えて横山伸一、CTB山藤をロイ・キニキニラウへと交代。逆転に向け布石を打っていく。

一歩及ばず。だが、4戦連続でボーナスポイント確保

 22mエリアに何度も侵入し激しく攻めたてたが、激しいディフェンスやノックオンに阻まれ、目前のゴールラインを割ることができない。
33分にはインパクトプレーヤー・CTBキニキニラウが力強く前へとボールを運び、WTB小松がサポートしながら前進。ゴールまであとわずかにまで迫る。捕まり倒されたが、前のプレーでNECにノックオンがありゴール前のスクラムに。リコーはこのスクラムで反則。再びエリアを挽回されてしまう。

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 39分、左中間22mのスクラムから最後の攻勢に望みをかけるが、倒れ込みの反則を取られる。NECはボールをリコー陣内に戻し、ラインアウトからモールをつくりボールをキープ、ホーンを待つ。40分が経過――ボールをタッチに蹴り出したところでレフェリーはノーサイドの笛を吹いた。リコーラグビー部は17対22で敗戦。7点差以内の敗戦に与えられるボーナスポイント1は確保した。

 前半と後半で様相を違えたこの日のゲーム。SH池田渉に聞いた。
「ハーフタイムには、ボールを持ったときはもっと前に出よう、という話をしました。一人ひとりが前進を心がけ、できたラックに人数をかけて、ボールを出していく。もちろん、エリアマネジメントも確実にやる。メリハリのある試合にしようと。ただ、2本取った後はもっとテンポアップしたかった。ボールの上を通過して相手を排除していくというフェイズをもっと重ねられれば……」

ラインアウトの精度の向上なども、後半の反撃を下支えした。トライも奪ったLO相亮太は言う。
「細かい修正指示が出て。ラインアウトの立ち位置、モールへの対応など、フォワードのプレーに対していろいろとアドバイスがあり、それを実行しました。しっかり前に出る。ルーズボールなんかにも相手より一歩先に仕掛けていく。そんな意識が高まれば、後半のような展開にできる」

敗れはしたが、試合の中で問題点を解決し修正に成功した。昨季以上の粘り強さがチームに芽生えた試合だった。それは、ボーナスポイント奪取という形で結果にも表れた。

次節は10月16日(土)13時から、ニッパツ三ツ沢球技場での東芝ブレイブルーパスとのゲーム。トップリーグ前半戦も残り2試合。リコーラグビー部は、持ち前の粘り強さで、昨季王者に挑む。

(文 ・ HP運営担当)

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