全日本選手権事戦記 谷川 俊昭 00.2.5 <棋譜>

 考えてみると今年初めての将棋だった。対局数が少ない私でもこれは珍しいという
かひどい。
 前日、ネット将棋でも指そうかとパソコンに向ってみたが、結局、何局か人の将棋
を並べて終わった。


 さて、七将、ここで勝たないとチームに申し訳ない。若干のプレッシャーを感じる
。運良く先手番となったので、
 得意(単に時々指しているというだけ)のカニカニ銀に出る。たぶん、この日本選
手権でも2局目だと思う。
 前回うまくいったので、2匹めのドジョウを狙ったが・・・。



 20手目、岩本君の穏やかな△6四歩に、思わず5五歩と突っかけてしまう。何故
かこの日はいつも以上に手が前に
 行ってしまっていた。勢いになればいいのだが、焦りだったろうか?
 25手目▲5四歩に本局の運命を賭けたが、気合だけで、読みが入っていないのは
否めない。
 すんなりこの歩が拠点として残れば良さそうだが、奪回されると苦しそうだ。
 対して、岩本君の4二銀は柔軟な手、これで中央の位は確保できなくなった。



 仕方なく、2筋で一歩交換し、銀交換から再度41手目▲5五銀とぶつける。もは
や勢いであり、落ち着くと陣形の差で
 とても勝てない。対して6三銀打は冷静。銀を引いて節約すると4四銀の強襲があ
る。

 銀交換して45手目▲7一銀は情けないようだが唯一の狙い。これで二枚銀でぼち
ぼち攻めようというもの。対して
 4二飛ならはっきり悪かったが、7二飛だったので、重たい8二銀打から後の当た
りがきつくなり、少しは指せるのでは
 と感じはじめた。


 他の将棋を見る余裕も生まれる。頼もしいメンバーは比較的優勢の将棋が多いよう
に思えた。

 席に戻って、岩本君は4一玉から3三角と落ち着いている。角交換でこちらの狙い
の成銀の活用(7三成銀には9五角!)
 を防ごうというもの。対して、あまり考えずに2五桂と態度を聞いたが形勢はとも
かく、もっとよく考えるべきだった。
 2四角とさせて角交換はなくなったものの、5七に効いてきたのは大きい。

 こちらはこれしかない成銀の活用。55手目▲8三成銀には7二銀を心配していた
ので、7四銀には驚いた。以下、
 攻め合いとなるが、全然こっちが良いと楽観していたからひどい。


 △7六銀と打たれて、少し危ないかなと思い始める。でも、6八金くらいで大丈夫
かなと初めて受ける。そして、▲5三歩
 と打って、勝ちになったと思ったのだからひどい。△6八角成を完全に見落として
いた。同飛は5七銀、本譜の同玉も7八
 銀で受けがない。そして、相手玉は全く見えなくなっている。

 どうも、カニカニ銀の王様の固さ(もろさ?)を良く判っていなかったような気が
する。何か全体的にテンションが高くて
 前ばかり見ていたかもしれない。そんな反省すべき将棋だった。




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