全日本選手権自戦記 00.2.2 菊田 裕司 <棋譜>

  今回の日本選手権の目標は選手としてはもちろん勝つことであるが、それよりも
  まず大会をしっかりと運営することであった。昨年はいろいろと私に不手際があ
  ったので今回はそういうことがないように気をつけたつもりだ。
  ただ大会当日に会場設営を手伝うはずが寝坊してしまい、11時ころ会場につい
  たらもう安宅さんがほぼ終わらせてしまっていた。すみませんでした。いつもあ
  りがとうございます。


  さて対局相手の任田君はNo Time将棋のときに会ったことはあるものの対局ははじ
  めてである。どうも慶応というとあのときのふざけた(失礼)イメージしかない
  のだが、実際にはまるきり違っていた。
  34手目△7五歩は対局中はこの一手だと思ったが、あまり良くなかったかもし
  れない。というのも▲5七角が好手で、ここで少し苦しくしたと感じた。本譜は
  ▲4五歩と先攻され、どうも一手遅れているような感じだ。それでも△3七歩で
  まずまずと思っていたら、▲2八飛を見落としていた。ここではっきり不利を自
  覚した。ただ本譜▲6五歩はありがたかった。単純に▲3三銀から殺到されて簡
  単に負けだと思っていた。


  驚いたのは△7四桂に▲5七角!?  「なんだ、これは。わざわざ2手かけて角
  を覗いた意味がないではないか。」その後も先手先手と攻めて、これは楽勝だと
  思った。しかし実際には難しかったようだ。△9七角成としてぴったり一手勝っ
  ているつもりでいた。そこに飛んできたのが▲6九金!  普通こんなところで受
  けさせて悪いはずがない。しかし読んでみるとわからない。秒に追われ△9五桂
  はこれではだめだと思ったが、これくらいしか浮かばなかった。
  最後はぴったり詰まされた。洋次に言わせると▲6九金と打ったところでは先手
  玉が見えなくなっているので、もうだめなんだそうである。改めて検討してみて
  も確かにそうなのかもしれない。ただ対局中は勝ちを信じて疑わなかった。結局
  のところ大局観が悪いということなのだろう。
  投了直後の学生側の反応を見て、まさかチームが負けたのではないかと思ったが
  、にわかには信じられなかった。しかし確認すると自分のところが最後で
  3−4負けだった。今回は絶対にチームが勝つと思っていたのでかなりショック
  であった。


  運営側としては今回の大会はまずまずうまくいったと思う。印象的だったのは慶
  応の学生が非常に礼儀正しかったことだ。大会終了後の反省会などは高校の野球
  部のようで、すがすがしかった。
  最後になりましたが、会場を設営していただいた安宅さん、自作の駒を提供して
  いただいた田中さん、その他ご協力いただいた皆さんに感謝いたします。




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