全日本選手権自戦記  99.2.13 野山知敬 野山−岡安戦:棋譜解説
<上京>  真冬のまっただなか、朝早めの新幹線に乗る。試合は1時 からだが、念のため7時40分新大阪発にて。なんせこの時 期は雪のため立ち往生することがよくあるのだ。かつて私は ちょうどこのあたり(2月はじめ)の時期、新幹線内に9時 間閉じこめられた経験があるので、やや神経過敏になってい る。  今回は数分遅れただけで無事東京へ到着。よく晴れていて 窓から見える富士山の美しさは格別だった。時間に余裕があ るので秋葉原へ行ってパソコンの見物。大阪なら日本橋だが どちらも同じぐらいの大きな電気の街だ。  東京−大阪の往復ももう何百回目になるのだろうか。そう 思うほどしょっちゅう上京している。今年は既にこれが3回 目。だが、翌日は大阪で正棋会のため本日中に帰らねばなら ない。 <三将>  昨年は東大に3−4負け。今回は早稲田が相手。今や学生 のチャンピオンはそのままアマチュアのチャンピオンと言っ ても言い過ぎではない。とにかくレベルが高い。  実は今回のリコ−オ−ダ−は既に1ヶ月も前に私の独断で 決めたものだが、私はなんとなく3将あたりに強豪が来そう な気がして自分の位置をそう決めた。  相手は岡安さん。学生王座戦で全勝したという情報は知っ ていた。気を引き締めると同時に若手強豪と指せる喜びも感 じていた。 <穴熊>  果たして戦形は岡安さんの四間飛車穴熊。対して私は最近 よくやる6六角戦法。8筋を交換して一歩持ち、2筋で使お うという単純な狙いだが、これがなかなか面白い。本譜もそ のような展開になった。  岡安さんは玉頭の桂を目標に反撃。実はこの桂頭が本戦法 の弱点なのだ。だが、ここは強く攻め合って指せると見た。 <食いつき> 局面はいつしか中盤を通り過ぎ、終盤近くになっている。 王手龍の筋がちらついてなかなか受けきるのは大変だ。  岡安さんの気合いは鋭い。だが、私も気合いの良い相手と 指すと相当闘志がわいてくる。戦っているという充実感を味 わえて、むしろ楽しい気分になってくるのだ。 <失着>  岡安さんに失着が出た。4四角成と8四角である。まだま だ攻めが続くはずだったのに、これで攻め合いに転じること ができるようになった。急に私の手つきもはずんできた(?) かも。 <一手勝ち>  と金を活用できてからは一手勝ち。いつものことながら勝 つということは大変なことだとつくづく思う。  総合でもリコ−が5−2と幸いした。相手は違うが、昨年 の雪辱を果たしたと言えようか。 <打ち上げ>  対局後の楽しみはやはりこれ。打ち上げの席で私の前に座 ってくれたのは若手女流のおふたり(馬場さんと安食さん) ここでもビ−ルが進むにつれ、とめどない話でおおいに盛り 上がる。  大阪名物はやっぱりたこ焼きと551の蓬莱やで−。細川 君、賞金80万円はどないつこうたんや−。いや、このとき の話題の一部です。内輪話で失礼しました。  いや−、若いって素晴らしい!私もいつまでも若手強豪の つもりでがんばろうと思っている。                    (了)


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