全日本選手権:七将戦自戦記  99.2.13 牧野正紀 牧野−安芸戦:棋譜解説   
また、今年も日本選手権に出場できる機会に恵まれた。 とはいえ、去年対東大戦でひどい目にあっているだけに、今回は、是非と も雪辱を果たしたいと思っていた。また、もし、武運つたなく(実力がた りずに)負けたとしても、去年のような不甲斐ない内容の将棋だけは指す まいと、朝から気合いがはいっていた。 メンバー表交換の結果は、安芸君であった。昨日プリントアウトしてきた 情報(といっても単に、リコー将棋部のフォーラムなのだが)を読み返す と、どうも居飛車党のようである。普通に飛車を振るか変態戦法を使って みようかと迷ったが、やはり、負けたときに後悔が少ないように振飛車に することにした。 私が先手だったので、7六歩、8四歩、1六歩の出だしになった。5年前 なら「なめとんのかコノヤロー!」と言われそうな序盤だが、いまでは、 だれも奇異に思う人はいない。 局面は進んで、私に四間飛車に安芸君の6四銀急戦となった。 安芸君の28手目9四歩と、30手目9五歩が趣向である。私 の4六歩から3六歩を待っているようであるが、私も気合いで 4六歩から3六歩と突いた。 安芸君は、私の3六歩を待って5五歩。中盤戦にはいった。 40手目に、5五銀とぶつけられた局面では、私の3六歩くが咎められた 気がしてあまり自信がなかった。だが、この日は珍しく、勝敗にかかわら ずのびのび指そうと思っていたので、6五歩と勝負にいった。 後手の46手目の5五歩は、手が多くて迷うところである。私としても何 か後手に好手があれば一遍に悪くなってしまうという怖いところである。 対して、私は6六角。これもさっぱりわからなかった。後手は、5四金。 ここも、3三角なども考えられ、難しいところである。 54手目5三金は、危険な手ではないかと思った。私は、5三銀と打た れたらどうしていいかわからなかった。自信が持てる変化がわからなけれ ば、とんでもない悪手を指すよりはと、5四銀、同銀、4五銀、5三銀、 5四銀、同銀、4五銀の千日手を選んだかもしれない。 57手目7五角で少し良くなったと思ったのだが、6七角と打たれてまた わからなくなった。 61手目1五歩でなんとなく指せる気がしたが、同歩、1三歩に2四銀と 頑張られると今でもどう指していいのかよくわからない。 65手目1二銀とは何とも露骨だが、なんとかなると思った。2二玉では、 1三桂打の方が攻め方が難しかった。71手目1三歩で優勢を意識した。 73手目4二同角成は、平凡に、1二歩成、3二玉、2一とで良かった。 角を切ったために、指し切る心配が出てきた。 80手目6一桂がしぶとい頑張りで、またわけがわからなくなってきた。 4二金打は秒に追われた手、逆転されたかもしれないと思った。 82手目3三玉は敗着だと思う。4二同飛、2二と、4一玉、4二金以降 まだまだよくわからないと思っていた。2五桂と打てて寄り筋となった。 日本選手権では、これまで多分負け越していると思うので、本局は、勝て て本当にうれしかった。また、リコーが勝てて本当にホッとした。内容的 には、いろいろ疑問手もあったが、総合的には、前向きに指せたと思って いる。 打ち上げのビールは、自分もチームも負けた去年の何倍もうまかった。 あんまり調子にのりすぎて、下りエスカレーターのかけ登りをしたり、 2次会で飲み過ぎたりで、次の日は完全に寝たきりになってしまった。


                   (了)


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