トップページイベント・レポート> 2007年度社団戦第二日

イベント・レポート

2007年度社団戦第二日

〜〜〜将棋の手応えを感じる〜〜〜

年月日:2007年7月29日(日)

場所:港区「東京都立産業貿易センター浜松町館」

レポーター:西田 文太郎

【参議院選挙の投票日】

 東京に、梅雨明け宣言はまだ無いようだが、とっくに土用に入り、暑い日が続く。明日は土用の丑の日だ。今日も曇り空ながら、朝から暑い。
 参議院選挙なので、近くの中学校まで家内と投票に行く。我らの清き一票がどこでどう役に立つのかわからない。のれんに腕押しといった感じなのだ。それでも、選挙はほとんど欠かさずに行く。
 その足で、一人浜松町に向かう。駅までの道中は暑い。ロビンソンクルーソーのように、男でも日傘をさしたい。幸い人通りもあまり無い裏道なので、折りたたみ傘を開いてみる。若干の温度差を感じる。日傘と雨傘と、何が違うのだろう。さすがに人通りの多い場所では、傘をたたまざるを得ない。

【産業貿易会館】

 今日も行列が出来ている。しかし前回のようなコミック系のコスチュームの人は見あたらない。どこぞのバーゲンセールのようだ。
 エレベーターが4〜5機ある。混んでいる。将棋だけでも1000人前後の人がいるのだから、しょうがないけど。
 同じチームのメンバーがぽつぽつ集まってくる。仲間のFさんが、今年は社内の強豪が他のチームで出ている人が多く、メンバー集めが大変だと嘆く。チームの成績も当然悪く、士気が上がらないとも。
 複属社会の生態がだんだん広まってきているのかなあと思う。以前から強豪の中には他のチームで出たいという声があった。社団戦は集まる人数は多いし、強豪の面々も多い大会で盛況ではあるが、企業チームとしては職団戦の方が全国区なのでどっちで優勝したいかと言えば今のところは職団戦であり、そのコンセンサスはとれている。
 従って、今回のようにバラバラのチームで出場するというのも1局だろう。ただ、チームとしてのわだかまりがメンバーに残っていることは事実であり、この局面に至るまで、手順を尽くしているとは思えない。

【第1局】

 目の前にはシチズンのチェスクロックがある。我々には目新しいものだ。30分30秒の設定をしようとしたが、うまくいかなかった。相手チームに設定の出来る人がいた。いろいろと機能が増えているようで、その分設定が難しくなっている。ふと商品のスペックを決めるときの悩ましさがよぎる。
 初戦は後手番となり、四間飛車に振る。穴熊を警戒しながら美濃に組み、左側の銀を中央に繰り出したところ、いきなり▲5五歩とその銀の進退を聞かれる。危ないけれど、出た銀は、元々引っ込むつもりはないので、目をつぶって、前進する。この銀を銀ばさみなどで歩で召し捕られるとほぼ負けとなる。逆に銀が中央線を越えて突進し、飛車の援護射撃ができれば、ほぼ勝ちとなる。
 従って、敵は飛車を浮いてこちらの玉頭銀を捕獲しようとする。こっちはその飛車が働かないように歩を垂らしたり、角が出たりする。結局チャンバラが終わって手元を見ればこちらの角と向こうの銀桂との2枚替えでしかもこちらの飛車はよい場所にいる。圧倒的に有利となった。
 向こうは銀のえさに食いつきすぎたようで、角交換を強要するような指し方を選べば、また違う展開になっていた。おかげで幸先良く勝って、チームも勝っていた。

【昼休みは竹芝桟橋へ】

 ここへ来ればどうしたって、竹芝桟橋に足が向かう。曇天の東京湾に船が何艘も行き交っている。竹芝桟橋にはヴァンテン号が横付けされていて、ランチクルーズの客が沢山乗っている。12時の合図と共に、汽笛が鳴ってヴァンテン号が滑り出していく。ラヴ・ラヴ・ラブのメロディーが出航を引き立てている。

 1999年8月31日に、限定600人の観客をパシフィックヴィーナス号(?)に乗せてZARDの初ライヴが行われた。黒っぽい縦縞(?)のパンツスーツはスタイルが良いのでよく似合う。定番のポニーテールが整った顔立ちを引き立てる。ドライアイスの煙幕の中、オープニングは「揺れる想い」だ。揺れる海面を観ながら彼女の揺れる想いを感じつつランチを食べる。レインボーブリッジの下を船が通っていく。
 2曲目は、奇しくも「君がいない」だ。坂井泉水はもういない。でも私の心の中には美しいまま、永遠に息吹が生きているだろう。船上ライブのラストソング「負けないで」に背中を押されて、会場に戻る。

【2局目】

 後手番で、対向飛車。敵は玉を手早く囲って、飛車交換をねらっている。その狙いを封じている内に、ぺこぺこにへこまされて、卑屈な姿になってしまった。蛇に睨まれた蛙状態で、身動きも出来ない。どう指されても勝ち目がないがピンポイントの決めに来る手だけが、唯一逆転のチャンスがあると思っていた。何度か見送った後で、ついに敵は禁断の実を食べに来た。そのため、遠く島流しに遭っていた飛車が敵の龍にがちんとぶつけることが出来て、逆転模様となる。
 かなり良くなったところで、得意の甘い緩い手が出始める。何度も何度も勝利の女神も揺れる想いであっちへ行ったりこっちへ来たり彷徨っていた。最後は、こちらにほほえんでくれたので、個人もチームも勝ちとなって、ラッキーだった。

【3局目】

 後手番で、四間飛車にする。敵は、ミレニアムに囲う。こちらは美濃にするが、一瞬の隙をつかれて、大展開した角の自玉へのにらみで、苦しい状況に追いやられた。そして、飛車角交換などの斬り合いをして、うまく捌いたと思ったのは錯覚で、よく見ると銀の丸損となっていた。おかしいなあ・・・どこで損したのかな。やはり銀と金と二つ離れ駒が出来ていたのがまずかったのだ。それでも角のにらみを利かせ返して、敵玉に迫ったが、今二歩ほど届かない。将棋はつまらんなあと思うのは、こういうときだ。だいたい頭がボーとして頭脳持続力がとぎれている。あとでMさんと話したのだが、酸欠かもしれない。何しろ大勢だからね。

【4局目】

 シルバーシート組は3局で、帰ろうと思っていたが、Tさんが風邪で帰るというので、もう一つ指すことになった。
 後手番で、四間飛車に構える。敵は威勢の良い若者で、急戦でやってきた。ごそごそやっている内に、思わぬ形で、勝負形に持ち込むことが出来た。敵の龍が王手龍のラインに入っているのだ。それをさけるため、やや無理な攻めをしてきたので、いったん受けて、それから気合いよく攻めてみた。
 玉を下段に落とすところまでは、かなりうまくいったと思う。敵玉の逃走経路をふさぐための銀を打ったのだが、そのあと、見物している人から、金捨てから詰みがあったと指摘された。そうか、あの銀は詰めろだったのか!読み切れていなくても指が正解を選ぶというのは気持ちの良いものだ。時々、終わってから相手や観客に駒捨ての詰みを指摘されることがある。詰将棋では第一勘駒捨てが、実戦で、自分の頭には浮かびにくい。これからは、捨て駒を忘れないで検討の中に入れることにしよう。
 結局最後は、押しつぶされてしまったが、内容的には臆さず指せたと思う。将棋が面白いと思うのは、こういうときだ。勝っていれば尚良いのだが、負けても一太刀浴びせたという手応えがあるので、次は勝てるかもしれないなどと思ってしまう。坂井泉水の「遠い星を数えてを聴きながら、楽しい夢を見よう。


【前のレポート】 【次のレポート】 【イベント・レポート】

Copyright (C) 1999-2007 Ricoh Co.,Ltd. All Rights Reserved.