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イベント・レポート

2006年度リコー将棋部冬合宿

年月日:2006年12月9日〜10日

場所:神奈川県湯河原「杉の宿」

リポータ:星出 明

【当日まで】

 前回の熱海合宿から早半年、その際に快くチェスクロックを貸し出していただいた杉の宿に合宿委員は感動。その恩を忘れず必然的に今回の場所は決まった。
 ここ数ヶ月というもの洋次アマ名人獲得に続けて職団戦S級優勝とリコー将棋部にとってまさに良いこと尽くし。その流れで合宿も盛り上げていこう!…と意気込んだが、日程が運悪く奨励会の対局日と重なってしまったため常連の伊藤沙恵ちゃん親子が不参加、太田氏も数名の奨励会員を誘いたかったらしく、執拗に「日程を変えろ」と無茶なことを言う。ここ数年外部ゲスト頼みになりつつある合宿、人数の激減が予想され、俊平とも「今回は少人数でも仕方ないか。」と半ばあきらめ気味で話していた。だが、「良い流れ」はまだ持続していた。締め切り間近になってリコー将棋部員が常連から久々の方まで続々参加申し込み。結局44名という大人数の参加にうれしい悲鳴を挙げた。相変わらず直前でバタバタと準備をして当日に臨んだ。

【当日の朝】

 小田原で豊岡さんと待ち合わせし、洋次アマ名人も早起きできて合流。前回と同じく豊岡さんお勧めのパン屋で買い物をし、湯河原に到着。俊平と合流して昼食を済ませ、駅でタクシー相乗りの斡旋。屋敷先生、初参加の三村さんとも無事にお会いすることができ一安心。細川軍団も電車遅れのトラブルに巻き込まれたが何とか間に合った。

【杉の宿到着】

 今回は初めて2Fの対局場を使用、杉の宿の意外な広さに驚く。会場ではすでにあちこちで練習将棋の熱戦が繰り広げられていた。いつも腰の低い坂下さんには袖山さん、塚越さん、冨川さんという3人ものご友人を呼んでいただいた。また自称OBの太田氏には今回の目玉ゲスト伊藤大悟君という超強豪の他、友田君、鈴木君兄弟といった小学生〜高校生の若手を呼んでいただいた。リコー将棋部を去ってなおいつもたくさんのゲストを呼んでいただいて助かっている(本人はともかく(笑))。さて予定より少し遅れて開会式。今回は風邪引きの細川に変わり俊平に司会をお願いした。

【開会式】

 まずは洋次主将の挨拶。さすがNHKにも出演しただけあってカンペを見ながら堂々の挨拶。
 続いて俊平が作った力作の将棋部ニュースを発表。一時期部を離れたこともあったが部のために自分からこのような物を作ってくれたのは部がまとまってきている証拠だ。大活躍の洋次主将に棋王戦、銀河戦出場の抱負を無茶振りするが、まるで昼食時に打ち合わせでもしたかのように堂々と決意表明をしていた。引き続き初参加者の挨拶。三村さんは後から聞いた話、何と同じ会社の同期ということで驚いた。将棋部の存在は知っていたがなかなか入る勇気がなく、今回の大学の先輩でもある洋次アマ名人の活躍を知って合宿に参加してみたとのこと。これからの活躍を期待したい。笠井さんは数々の女流学生タイトルを獲得している強豪。九州出身ということで、私(佐賀大学出身)の大学の後輩と組んでペアマッチで優勝したこともあり話にはよく聞いていた。開会式も無事に終わり対局開始。

【昼の部】

S1クラス

 S1クラス。ゲストの伊藤大悟君が屋敷先生を破る大金星を挙げそのまま優勝。最初の挨拶で「大学に入って弱くなったと言われる」と言っていたがとんでもなかった。谷川さんは健在ぶりをアピール。室井さんは今回も独特の戦法で盛り上げていただき、島井先生に金星。「一手損坂田流」からじっくり腰を落とした構えに急所がわからず桑山君も私も苦労した。島井先生は海外での仕事を終えたばかりで時差ぼけがひどく将棋どころではなかったらしい。そんな状態ながら参加していただいて大変感謝してます。

S2クラス

 S2クラス。上位陣が安定。星のつぶし合いとなったが洋次主将が広瀬四段の快進撃を止め、S1、S2ダブルでアマチュア優勝という快挙を達成した。アマ名人にアマ準王将とその勢いは止まることを知らない。伊緒先生が合宿での連敗をついにストップ。部内でもファンは多いが一同ほっと胸をなで下ろした。初参加の鈴木君もまずまずの成績。

Aクラス

 Aクラス。3回戦を終えた時点で全勝が3人。袖山さんが塚越さんとの身内決戦に敗れ、直接対決を制した笠井さんが見事全勝優勝。女流アマトップの実力を見せつけた。点数設定が低すぎたかもしれない。水上さんも3勝1敗と女性陣が大活躍。友田君、鈴木君も共に3勝1敗と大器の片鱗を見せた。子供パワー恐るべし!初参加の三村さんも片目が開いた。本当に楽しんで指していたのが印象的。やはり合宿はこうでなくては。

昼の部

【宴会】

 お忙しい中駆けつけてくださった柳川部長より乾杯の挨拶。いつも豪華な差し入れをいただいてありがとうございます。部長就任以来我が子のように部員を見守ってくださっている柳川さんにとって今年は最高の年になったに違いない。盛大に乾杯!
 一生懸命働いた後はやっぱり腹が減る。忙しそうな仲居さん達に気を使い飯注ぎ係を自ら買って出る(自分が食べたかっただけなのだが…(^^;)。自分の分はこっそり「超圧縮まんが日本昔話盛り」にしてむさぼっていたら見つかってしまい周りの人に失笑され、西田さんには写真まで撮られる始末。恥ずかしいったらありゃしない。
 隣に座った市原さんはリコー将棋部の礎を築かれた方。当時の思い出を興味深く聞かせていただいた。まだ野山さんや谷川さんが入部するだいぶ前の話だ。

宴会

【クイズ大会】

 さてそうこうしてるうちに宴もたけなわ、余興の時間となった。今回は職団戦優勝メンバー(山田、野山、馬上、細川、武田)が勢ぞろいするため、それにちなんだ企画ということで実現した。細川、俊平もいじられ役となるため仕方なく司会を担当、久々で緊張した。まず5人に並んでもらって軽くインタビュー。当時の興奮を思い出しながら思い思いの表現で優勝の喜びを語っていた。
 続いてメインイベントのクイズ大会。5人にはそれぞれ事前に自分に関するクイズを考えていただき、それを順番に出題してもらった。3択クイズで答えを皆さんに当ててもらう形式。

 野山「今回の朝日アマ出場は何年ぶり?」 (答:10年ぶり)
 山田「アマ名人戦前夜のスパーリング相手は?」 (答:うまくん)
 馬上「学生時代細川との対戦成績は」 (答:対戦なし)
 細川「早稲田大学に何年在籍?」 (答:7年)
 武田「職団戦で個人的に勝ったことのないチームは?」 (答:日レス)

といった無難な問題からスタートし、なかなかチャンピオンが決まらないとネタが尽きてきて即興で問題を作り出す。「プライベート問題はイヤじゃ!」とゴネていた野山さんももうノリノリ。

 野山「私の嫌いな食べ物は?」 (答:好き嫌いなし)

などというもろプライベートな問題に思わず吹き出してしまった。
 賞品の最近出版された屋敷先生の本は先生自身に宣伝していただいた。「印税生活を送りたいので読まなくていいので買ってください。」と無茶なことをおっしゃる。意外と本音かも?NHK講座の内容を単行本化した「囲いの崩し方」という本で、私もパラパラっと読ませていただいたが従来の本で触れられていないような実戦でよく現れる囲いの崩し方まで丁寧に解説してあり、実戦例も豊富に掲載されていて思わず欲しくなってしまった。

クイズ

【夜の部】

夜の部

 さて夜の部。いろいろ企画を考えついたがなかなか意見がまとまらず結局無難なリレー将棋に落ち着く、というのは毎度のパターン。好き勝手言ってくるあの二人の意見をまとめるのは至難の業だ。まあなんだかんだでリレー将棋が一番盛り上がるのだけれど。
 私はこういう企画物はやたら強そうな俊平とチームを組む。その一回戦、四間飛車対居飛車穴熊というおよそリレー将棋らしくない本格的な将棋となった。途中鈴木恵介君の絶妙手により明らかに不利になるが、相手チームも決めきれずに一進一退の攻防が続く。笠井さんも「リレー将棋って楽しい!」と大興奮。微妙な均衡を保ったまま大詰めを迎える。
 第1図の一手前より私の番。目の前に座った伊藤大悟君の勝負手▲7九金にびびってしまい△8九金と取った手に一同大ひんしゅく。以下▲同玉△6六飛成と進み先手玉はほぼゼットとなって話にならない。しかし正着と思われる△7九金と取ったところで▲同銀△同竜▲9二銀成△同香▲9三歩成と必至をかけられたときに先手玉が詰むかどうか?局後赤旗名人戦静岡代表太田氏とちびっこ軍団がさんざんつつき回してそれでも詰むかどうかという局面だったため「実戦で詰めるのは不可能」という結論に達し、少し罪が晴れた。

第1図
(第1図)

 だが話はこれだけでは終わらない。これを書いているときにふとすごい手を思いついた。
 △8九金▲同玉のときに△7八金!という手があるではないか!▲同玉△6六飛成(第2図)と進んだ局面が6筋に歩が効かないため妙に受けにくい。
 以下▲6八金打は△4五角▲6七金打(▲5九玉は△3九飛〜△4七桂)△5五桂、▲8九玉は△4五角@▲7八金打に△6九飛とわざとくっつけて打つのが妙手。以下▲7七金打△同龍▲同銀△7八角成▲同玉△6七金以下寄り。
 A▲7八角には△同角成▲同金△6九飛▲7九金打△4五角で同一局面となる。利かしの▲6二歩がどこまでも祟ってくるわけだ。たかがリレーされどリレー、将棋って改めて奥が深い。

第2図
(第2図)

 早々と敗退してしまったため時間に余裕ができ、ここで初めて風呂に入る。激動の一日を終えまさに至福の時間だ。

【夜の自由対局】

 対局場に戻るとまだリレー将棋の熱戦が続いていた。あちこちで自由対局もはかどっている。合宿名物、樋口さんと槙さんの対決は早くも16局目を迎えて8勝7敗の好勝負。樋口さんは80歳をとうに過ぎて衰えぬこの体力、頭が下がる。私は恒例の宮崎さんとの2枚落ち。ついこの間まではカモにしていたがここ最近は勝てなくなった。この日も2連敗で大喜びされた。「宮崎さん、強くなったんじゃないですか?」と言うと横から勝又さんに「星出が弱くなったんじゃないの?」と茶々を入れられた。悔しい…。
 その勝又さんとも一局。勝又システム(小林システムのパクリ?)と名乗る破天荒な構えに余裕をかましていたら見事にハマってしまい序盤でどうにもならなくなってしまった。途中から本気を出すものの初勝利を献上してしまった。勝又システム、決してあなどれない。 日付もとうに変わって人もだいぶ少なくなってきた頃、藤原さんが「将棋盤の上はマズイだろ。」と盤の上に無造作に置かれたゴミを捨てて回ってくれていた。今の若手はこういう姿勢を見習ってほしい。
 柳川さんの差し入れや夜食のおにぎりもほとんどなくなり、同部屋の勝又さん、杉本さんらと共に就寝。時計は3時を回っていた。話によるとうちの部屋は夜中に怪獣の鳴き声が聞こえたらしいが唯一人私だけが気づかなかった。不思議なことはあるものだ。

夜の部

【二日目の朝】

 朝食を軽く飯4杯ほど食べて対局場に行くと早くも練習将棋で盛り上がっていた。樋口さん、槙さんの姿はなく、樋口さん14勝、槙さん17勝と書かれた成績表が静かに置かれてあった。

【表彰式】

 全員集まったところで会費を徴収。パソコンが無く手こずったがようやく金額が合ったところで、いよいよ最後のお勤め表彰式。クリスマス仕様に包装された図書カードを配っていく。プロの先生方に書いていただいたサイン色紙も賞品として提供。伊緒先生の年齢に似合わぬ達筆ぶりにはいつも驚かされる。広瀬四段の色紙は笠井さんが快くゲット、数年後には何倍もの価値が出るに違いない。全ての賞品を配り終えたところで暖かい拍手に包まれながら2006年度冬合宿は幕を閉じた。
 参加していただいた皆様、どうもありがとうございました。


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