イベント・レポート

第17回アマチュア将棋団体日本選手権(速報レポート)

年月日:2005年2月11日(祝)

場所:東京都大田区「(株)リコー・大森年金会館」

主催:(株)リコー、全日本学生将棋連盟

後援:週刊将棋

(敬称略)

レポーター:西田 文太郎

【12:00 初のWeb中継開始】

 リコー将棋部Web管理人の平田聡を中心に企画された日本選手権初めてのWeb中継、レポート担当の西田、張り切ってやりますので、お楽しみください。将棋倶楽部24(http://www.shogidojo.com/)では12:30から大将戦の対局中継を行います、併せてお楽しみください。
 ここまで、社会人10勝、学生6勝とやや差が開いている。団体チームとしてどこが一番強いのかを決める大会なので、学生チームの奮起を期待したい。特に今年は3年連続出場を果たした立命館大学なので頑張ってほしい。
 とはいうものの、社会人チームは、毎年アマトップクラスの超強豪揃いなので、この厚い壁を破るのは容易ではない。今年も、NECの7人の顔ぶれを見ただけでうなってしまうメンバーだ。
 将棋の団体戦はユニークだ。個性の強いものが集まって、チームを作るチームプレー。何でもないことのようだが、意外に大変だ。社会人になれば各自いろいろな事情が発生し、思うようにいかないことも多い。学生側も団結力で優勝を目指してほしい。

【12:15 場所】

 ここは、東京都大田区馬込、環状7号線の外周に沿って(株)リコー大森事業所があり、内周側一路内側にリコー大森厚生年金会館がある。3階建てで、1階に体育館があり、2階、3階に会議スペースがある。リコー将棋部は決まった部室というのはないのだが、ここの一部に盤・駒などを置かせてもらっている。
 今日は、冬日が戻り外は寒い。厚く覆われた雲からお日様が見え隠れしている。葉を落とした周りの木々も茶色く寒そうだ。

【12:18 チーム紹介】

社会人代表:NEC
 第86回職団戦(春季)優勝、第87回職団戦(秋季)第三位。日本選手権初出場。
 社会人最強軍団。プロキラーの瀬川さんを筆頭にアマ名人経験者の長岡さん、支部名人経験者の林さん、アマ王将経験者の清水上さん、今年度アマ竜王の加藤さんなど全国トップが集まるドリームチーム。日本選手権でもその強さをいかんなく発揮できるか!?

学生代表:立命館大学
 学生王座戦優勝。3年連続4回目の日本選手権出場。
 主将の鈴木さんを中心に抜群のチームワークで今年度の王座戦で優勝を果たした。今年度学生名人の稲葉さんや準アマ王将の山中さんなど強豪が揃う。ここ2年間では、社会人の厚い壁に阻まれていたが、三度目の正直なるか!?

【12:20 メンバー交換】

NEC        立命館大学
瀬川 晶司  大将  石本 優
清水上 徹  副将  奥村 龍馬
加藤 幸男  三将  山中 恵介
伊藤 雅明  四将  鈴木 雄貴
林 隆弘   五将  禰保 拓也
加藤 徹   六将  稲葉 聡
長岡 俊勝  七将  宮原 洋介

【12:30 対局者プロフィール:NEC】

瀬川 晶司(せがわ しょうじ)
対プロ戦・739!の驚異的な勝率を誇るNECを超えてアマ棋界のスーパーエースA。日本選手権初出場にて今回最後との噂がある今大会でNEC将棋部に日本一をもたらすか!


清水上 徹(しみずがみ とおる)
平成15年アマ王将。明治大学時代、主将として全日本選手権に出場するも、ジュポン化粧品に3−4で敗退。今回初制覇を目指す。「切れ味鋭い攻め将棋」と思っているのは本人だけで、「粘り強い棋風」


加藤 幸男(かとう ゆきお)
今年度はアマ竜王を獲得するも、団体戦では全く役に立たず肩身が狭い。母校の立命戦でその汚名返上に燃えている。 将棋とプライベートの両立に悩むフレッシュマン。[本人談]


伊藤 雅明(いとう まさあき)
現在58歳。遠い昔横須賀名人、稲毛道場名人などローカル地区で活躍。全国区ではベスト16が最高現在将棋よりゴルフだが、再度全国区を目指しますか。isps(将棋を世界に広める会)の理事、会員の会費で運営しており是非会員になってください。[本人談]


林 隆弘 (はやし たかひろ)
日本選手権には学生(早稲田)時代に2度出場経験があり、独自の戦法を開発するなど全国大会優勝9回を誇るNECドリームチームのひとり。将棋はオールラウンドプレイヤーで、終盤での競り合いに強みを発揮する。


加藤 徹 (かとう てつ)
清水上と並ぶNEC将棋部でダントツの振り飛車の名手(特に四間飛車)
朝日アマ南関東代表1回。幹事の方針でNEC2に前回職団戦で出場するも「何とか優勝→昇級してNEC1と戦えるよう頑張ります」とNEC将棋部の底上げに貢献。


長岡 俊勝(ながおか としかつ)
2001年埼玉県代表初のアマ名人。ここ数年強豪選手NEC入社により立ち上げた‘NECドリーム’チーム幹事。今回初出場の日本選手権にNEC将棋部在席13年間の集大成をぶつける。[本人談]


【12:35 対局者プロフィール:立命館大学】

石本 優 (いしもと まさる)
熊本から来た期待の新人。のっぺりとした独特の棋風で相手を惑わすこともしばしば。団体戦では持ち前の勝負度胸とド根性でチームに勢いをもたらす。文学部一回生。


奥村 龍馬(おくむら りゅうま)
好不調の波は激しいが、ポテンシャルの高さと勝負強さはピカイチ。天王山で局面を支配する馬のような存在感は、まさに一騎当千の千両役者である。経済学部二回生。


山中 恵介(やまなか けいすけ)
王座戦二年連続全勝を達成したイケメンアマ準王将。団体戦での安定した破壊力はまさに不発のないハイメガ砲。来年度は主将としての期待も大きい。理工学部二回生。


鈴木 雄貴(すずき ゆうき)
チームの精神的な柱の役割を果たす主将。山中とは中学以来の青森じょっぱりコンビ。うなぎ屋秘伝のたれの研究には余念がなく、最近新味も出たらしい。国際関係学部三回生。


禰保 拓也(ねほ たくや)
一年ぶりに復活したエース。学生準王将・学生名人戦三位・関西学生名人と実績も申し分ないが、それ以上にチームに対する思いは熱いものがある。経済学部三回生。


稲葉 聡 (いなば さとし)
入学直後、期待通りに学生名人を獲得した。クールな表情とさわやかな笑顔をあわせ持ち、男女問わずファンも多いが、内にはマグマのような闘志も秘めている。経営学部一回生。


宮原 洋介(みやはら ようすけ)
関西学生名人・西日本学生名人と二冠を達成し、名実ともにチームの顔となった。しかも劇的なイメチェンにも成功し、女性部員からの悲鳴が絶えない。経済学部二回生。


【12:40 対局開始】

(以下対局者敬称略)
 主催のリコー将棋部主将山田洋次の挨拶が終わり、馬上のルール説明の後、振り駒で立命館奇数先手となった。
 対局開始。立命副将奥村は、先手の▲7六歩を見て、いきなり席を外す。
 大将戦横のパソコン席で、将棋倶楽部24へ、対局棋譜を送る。
 会場には女流棋士 坂東香菜子さんの姿もある。応援が多くざっと30名ほどが見守っている。
 大将戦は先手石本の中飛車。
 立命四将鈴木四間飛車。
 立命六将稲葉四間飛車。
 NEC七将長岡四間飛車。
 ほかは戦型がまだ見えない。

【14:12 一時間経過】

 将棋倶楽部24では、観戦者が360人を超えている。
 戦局は、お互いに龍を作りあっているが、先手の龍は自陣にいる。24のチャットでは、後手指しやすいという評判だ。後手の瀬川さんは、プロとの勝率も高く、今回も瀬川さんを追いかけた取材が入っている。今アマチュア将棋界の話題の人だ。対局の表情も、ゆったりしている。
 副将戦は相振飛車の形になっている。先手が四間飛車後手が向飛車。双方角を持ちあっている。
 三将戦は、相居飛車で、双方玉は一つしか移動していない。
 四将戦は四間飛車対斜め銀で、振飛車側の角が居飛車の飛車の小瓶をねらっている。
 五将戦は、矢倉模様で、先手の馬対後手の持ち角。
 六将戦は、後手向飛車対居飛車。
 七将戦は、先手四間飛車に後手が居飛車穴熊。

【14:26 14:20過ぎ】

 大将戦24観客は380人を超えている。残り時間先手18分、後手35分考慮中。
 副将戦残り時間、先手24分、後手28分考慮中。
 三将戦残り時間、先手23分考慮中、後手25分。
 四将戦残り時間先手4分対48分考慮中。
 五将戦残り時間先手17分、後手34分考慮中。
 六将戦残り時間先手17分、後手33分考慮中。
 七将戦残り時間先手33分、後手17分考慮中。
 女流棋士の早水さんの姿が見える。
 会場は、静かにエアコンの音が響いている。大将戦の人気が高い。先手石本果敢に攻めている。

【14:54 秒読み始まる】

 四将戦で秒読みが始まった。後手鈴木が1分を読まれる。しかし局面は、居飛車の角を封じ込め後手が指しやすそうだ。先手は、薄くなった玉側の端にねらいを付けている。
 緊迫した雰囲気が漂う。今年は、対局者の要望があり、秒読みを記録係がやっている。今まではチェスクロックだったので、対局者の負担は減っている。
 大将戦は、先手石本の攻めがなかなかほどけない。残り石本12分、瀬川16分考慮中。

【15:05 三,七将戦も秒読み】

 三将戦は先手山中が秒読みになった。後手加藤残り19分。
 七将戦は後手長岡が秒読みに。飛車角を封じ込められて、後手がやや苦しそうだ。先手宮原残り18分。
 四将戦は、先手伊藤が、打ち込んだ角と作ったと金を守りの金と交換され、攻めを催促されているが、なかなかいい手が浮かばない。

【15:26 終盤戦に突入】

 三将戦が終わった。NEC加藤幸男の勝ち。
 大将戦は、人だかりで、見えない。金銀の細い攻めが瀬川玉をとらえきれるかどうか。
 四将戦が早く終わりそうだ。苦しいのかと思っていたが、居飛車側がうまく攻めをつないで、攻めている。

【15:33 四将戦も終わる】

 四将戦NEC伊藤勝ち。

【15:37 七将戦終わる】

 七将NEC長岡勝ち。
 大将戦立命館の石本が押し切った。

【15:41 六将戦、NEC優勝決定】

 六将NEC加藤徹しっかり勝ちきる。これでNECが優勝決定。
 さらに副将戦、NEC清水上勝ち。

【16:14 五将戦は熱戦続く】

 五将NEC林対立命館稲葉戦は、秒読みの中熱戦が続いている。先手林が押している。
 今回は、秒読みを人がやったので、対局時計は、最初に3時間15分の持ち時間に設定した。残り2時間を切った時点で、記録係が秒読みを始める。時計が後ろ向きなので、少しやりにくい。対局者が、秒読みをお願いしますと言っているところもある。
 将棋倶楽部24での観戦者はピーク時に500人を超えた。今回は初めてなので、目標人数も設定しなかったが、500人超はすごいと思う。ログインできるのが3000人くらいなので、その中の500人だから。ゲストでは、チャットが出来ないこと、観戦者が増えると2300点以上持っていないとチャットに書き込みが出来ないことなど、今回初めて知った。

【16:29 坂東香菜子さんインタビュー】

 女流棋士の坂東香菜子さんのインタビュー
 馬「今日はどんな印象でしたか?」
 坂東「社会人の方が、学生を終わってから社会人となって、仕事があるのに、強いのに驚きました」
 文「前にも見えたことが?」
 坂東「ええ、明治がでたときに応援で」
 馬「今もどこかに行って勉強を?」
 坂東「ええ、自分は女子大でそこに将棋部はないので、ほかの大学に行ってます」
 文「内容的には、どうでしたか」
 坂東「個人的には、四間飛車や相振りを見られてよかった」
 今日は、ピンクのニットのワンピースに、桜色のカーデイガンで、清楚で、しっかりした話し方で、かわいらしく、すてきな淑女にお会いできた。これでは、バンカナの応援団にならざるを得ない。
 五将戦は、今黒山の人だかりだ。

【16:38 最後は立命 立命館大学、意地を見せる】

 最後に残った五将戦は、先手禰保が、うまく寄せきった。これで、NECの5勝2敗となった。学生側は、残念だったが、来年のリベンジを期待したい。
 NECは、社会人日本一の実力を遺憾なく見せつけてくれた。3月に控えた春の職団戦でも、NECを巡る優勝争いとなる。リコーもがんばって、来年は全日本選手権社会人代表として出たいもの。
 観戦ありがとうございました。
 最後に、将棋倶楽部24の久米さん、枠をくださってありがとうございました。
 Web中継を終わります。
 Webレポーター西田文太郎


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