イベント・レポート

平成15年度社団戦一部リーグ RICOH一軍自戦記

〜〜〜10年振り4度目の復活Vへの軌跡〜〜〜

場所:港区「東京都立産業貿易センター浜松町館」

リポータ:太田 博朗 e-mail : hiroaki_ohta@tokyo.ricoh.co.jp

 平成15年度社団戦一部リーグ。今年もまた一年、アマチュア最強団体の座を懸けた勝負が始まった。

【苦難の9年間】

 今年の一軍は、細川くんと武田くんの超大型新人二人の加入により、チーム内でも戦前より、今回は絶対に・・(!)、との思いが強かった。メンバーは(敬称略)、野山知敬、瀬良司、山田洋次、武田俊平、細川大市郎、馬上勇人、藤森保、佐々木修一、牧野正紀、太田博朗の10人。S級とA級で最多29回の優勝を誇る職団戦も、最近は厳しい勝負になっているが、社団戦は何と9年間も優勝から遠ざかってしまっている。毎年のように新たなアマ超強豪が一部リーグの各チームに加わるようになり、いつしかトップアマも容易に勝てない次元の勝負になっていた。
 個人的にも2年前、社団戦初参加で一軍メンバーに加えて頂き、その時から「近い将来必ず一軍を復活させる」との決意を胸中に秘めていた。強敵は今年も数多いが、中でも優勝候補は現在3連覇中の翔風館一軍と、アマGCで学生三冠の清水上君が加入した、NECが有力チームだ。現実に4日間15ラウンド、R一軍を加えた3強の、紙一重程の僅かなスキも絶対に許されない、アマ棋界の歴史に残る好勝負が展開された。

【初日:6月8日】

 去年までレギュラーだった菊田裕司さんが移籍して強化された紅萌(京大OBチーム)、優勝2回の実績を持つ難敵スーパーゴールドに 大苦戦しながらも4−3で辛勝。前回の最終日にV決戦を挑んだくるくるチームにも5−2で快勝し、チームは4連勝と上々のスタート。この日は紅萌戦では野山さんと藤森さんの、スーパーゴールド戦では牧野さんの粘り勝ちが大きかった。他のメンバーもまずまずの成績。
 最終ラウンドで、翔風館一軍に4−3で競り勝ったNECと、勝ち点&勝数、大将勝ポイントが全く同数(!)ながら幸運にも前回順位のポイント差で首位!初日から展開にも恵まれ、二日目の最終ラウンド、翔風館一軍戦に向けて、ムードは相当いい感じになっていた。

【二日目:7月20日】

 野山主将がアマ名人戦予選に出場の為、OBの田尻隆司さんを招待。翔風館一軍との対戦を最終ラウンドに控え、今年最初のヤマ場だ。蒲田大嘉、東工大OB会、早稲田一軍と強敵を相手に3連勝し、いよいよ翔風館一軍との決戦。メンバーの意気は最高に上がっていた。出だしは洋次さん、武田君、佐々木さんが快調に飛ばして3連勝!他の人もいい感じで、正直これは行けると思っていたのだが・・・。
 その後はまさかの4連敗で痛恨の逆転負け。NECはくるくるに4−3で競り勝ち。待っていたのは3位転落という厳しい現実だった。チームも大将も8連勝のNECが首位、勝数ではNECを上回る翔風館一軍が2位となり、自力Vが消えて苦しい状況に追い込まれた。

【三日目:9月14日】

 厳しくはなったが、まだ絶対逆転Vは諦めない!今年最大且つ第2のヤマ場である、NEC戦に全てを懸けて三日目を戦う事になった。
 現実に波乱は起きた。2強との直接対決を終えて一番気楽な立場だった翔風館一軍が、紅萌に痛恨の3−4負けで2敗目を喫したのだ。やはり勝負は最後まで何があるかわからない。この結果がチームに再び活を入れた。これで翔風館一軍は脱落。絶対にNECには勝つ!そして、勝った!!大将勝ポイントはもう届かないが、勝ち点と勝数でNECと並んで2位となり、全てを最終日に懸ける事になった。正直NECには本当に勝てるか?とも思ったが、何と言ってもうま(馬上)くんが、NECの大将連勝を止めた(!)のが大きかった。

【最終日:10月26日】

 ついに最終日。依然自力Vは復活していないが、間違いなく流れはうちにある(!)と思った。ダメ元で追走すれば逆転出来ると・・。現にNECは追われる立場の重圧が微妙にあったか、第1ラウンドで5−2と星が延びず、こちらは完封勝ち。ついに勝数2ポイント差で逆転した!第2ラウンドは互いに6−1勝ちで臨んだ最終ラウンド。ここまで来たら、あとは精神力の勝負!しかし・・、まだ最後の難関が待っていた。相手はほぼベストオーダーのオール東大。ぎりぎりの勝負になるのは戦前からわかってはいたつもりだったが・・。
 こんな状況に追い込まれるとは。五、六、七将を立て続けに取られてしまい、あっという間に0−3!正直、ここでは敗戦を覚悟した。

【激戦の終焉:悲願は現実に】

 しかし・・、今回は本当に女神さえも味方についていたのだろうか。NECも五、六将が連敗し、チームが勝てば優勝(!)となった。そして・・、三将の洋次さんと四将の瀬良さんが連勝し、残るは大型新人の二人。大将の細川君と副将の武田君に全てが懸かってきた。
 局面は既に終盤に差し掛かり、二人とも勝勢。まるでドラマのように、わずか勝数1つの差での劇的な優勝が目の前に迫ってきていた。最後はそのまま・・、NECは5−2で勝ったが、新人二人がともに押し切って4−3で勝ち(!)、悲願は本当に現実のものとなった。


平成15年度社団戦一部リーグ結果はこちらにあります。

【歓喜の復活V】

 こんな劇的な幕切れで、10年振りの復活優勝。全く言葉にならなかった。本当に現実なのか・・、と思ったのは自分だけではなかったはずだ。個人的にも、リコー将棋部員となってからの夢が一つ、このような形で達成出来た・・!!この感動はおそらく、今後も永久に忘れないだろう。また後日わかったのだが、4度目の優勝(第1、2、4、14回)は、3連覇の実績がある翔風館一軍、オール東大を抜いて、最多記録となった。

 祝勝会では、一軍メンバーはもちろん、部員全員が最高に盛り上がっていたのは言うまでもない。今日だけは、この歓喜にいつまでも酔いたい。メンバー全員の表情が、チーム一丸となって全力で戦い抜き、栄冠を奪還した達成感に溢れていた。本当に・・・、最高に嬉しかった。

 最後に、一軍メンバー全員とそして・・・、リコー将棋部員の方全員に御礼を言って、締め括りとしたい。
「本当にリコー将棋部に入ってよかった。この栄冠はみんなの存在無しには絶対に有り得なかったはず。ありがとうございました。」


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