イベント・レポート

第6回軽井沢将棋フェスティバル

〜〜〜秋晴や 天高く舞う ドラボンボン〜〜〜

年月:2000年11月25日(土)11時〜11月26日(日)

場所:軽井沢町塩沢「山城館」

リポータ:西田 文太郎 e-mail : nishida@cs.ricoh.co.jp

【霜月の趣向】

 

 びゅーびゅーと砂塵を巻き上げる北風。枯れ草がごろごろと転げ回る、荒野の西部劇。ギー、観音開きの扉をならし、たった一件の酒場に集結したガンマン3匹。人呼んで、ドラボンボン。壁に貼られたポスターには、お尋ね者3匹の似顔絵が描かれている。人呼んで、チャボ。チャボは去年、海外旅行に行った廉で追われている。引っ捕らえた者への賞金は、なんと海外旅行が。

【ハイヨーシルバー】

 ドラボンボンが乗るは、ハイヨーシルバー(ちと古すぎるか、キマサベ)ならぬミスター・ビーン号。高田の馬場をでたのが朝の6時半。車に乗り込むやいなや、3匹のガンマンはすやすや眠りについた。下手に寝たら朝起きられないというまっとうな理由で、徹マンをしていたのだ。

 明治通りも、目白通りも土曜の朝にしてはすいている。7時過ぎには関越自動車道の入り口にさしかかる。関越も車は多いが順調に流れている。

 紅葉に彩られた山並みが、墨絵のように浮かんでいる。太陽が徐々に力をまして、山裾の霞が溶けた頃に、妙義山の景観が現れた。私の年代では、どうしても学生紛争の赤軍派を思いだしてしまう。集団心理の恐ろしいエスカレートぶりを新聞やテレビで見てしまった。荒れ狂った歴史の流れの中に巻き込まれて、今が見えなくなっていた。狂気の時代、我はいかに生きようとしていたか。いかに生きるべきだったのか。

 

今、平和が戻り、平和な賞金稼ぎの旅に出ている。人々は自由の中にいて、自由が見えなくなっている。ちょうど、自然の中に呼吸して、空気や水が見えなくなるのと同じように。何ものにもとらわれず、自分の生きたいように人生を創造している若者たち、それがチャボ、それがドラボンボン。

 

【中軽井沢のそば屋】

 

 中軽井沢の駅前に、駐車場付きのそば屋があり、朝10時前だというのに、オープンしている。中の、テーブルや椅子は、いかにもそば屋という感じの作りだ。客はほかに二組ほどいた。壁には有名人の色紙が沢山飾ってある。

 天ぷらそばや、とろろそばがでてきた。そばはみどりがかった色で、やや平たく、太い。たべると、しこしこと、こしがあって、うまい。皆勢いよく、あっという間に飲み込んでしまう。

 

【山城館】

 会場となる山城館は、中軽井沢の駅から南の塩沢にある。広い体育館が、会場になっている。壁に、次の一手と詰将棋が張ってある。いずれも、ゲストのプロ棋士菊池常夫七段の作だ。ドラボンボンのメンツは一目見るなり、解答用紙に答えを書いて、箱に入れた。

 ぞくぞくと集まってくるガンマンたち。およそ70人ほど。地元の長野、近くの群馬、埼玉などの人が多い。チャボは横浜方面から、ドラボンボンは東京、横浜、大分から。(^_^;)(_) オイオイ、気は確かか? おうともさ、気分転換にはもってこいの軽井沢だ。

  

【初日】

 初日は、団体戦予選、個人戦予選、初段位争奪戦。予選は、スイス式で、対戦を組んでいく。団体戦は、上位6チームが、明日Aクラスで、賞品のグアム島をかけて戦える。個人戦は、上から6人ずつA、B、C・・とわけていく。

 持ち時間は、30分切れ負け。切れ負けは、最後は将棋とは思えないゲームになることもしばしばだが、スケジュールを円滑に進めるにためには、やむを得ない。

 去年優勝したチャボと、今年それを阻止しようというドラボンボンは、大方の予想通り(う?おおかたか? ほんとは当事者たちだけだが・・・)3戦全勝で、対決した。ここは3対ゼロで、ドラボンボンの勝ち。

 個人戦に出場したローンレンジャーも、悪い将棋を相手のミスで拾い、優勢な将棋をポカで失って、3勝1敗で、Aクラスに紛れ込んだ。

 夕食は、宿泊所に指定された青樹荘でとる。ドラボンボンの森の石松は、食べるの食べないのって、4杯も平らげた。なかなか手頃な夕食だった。

 夜は、7時から、お好み対局。菊池七段対大分の次郎長親分。アマの先手ということで、▲76歩、△34歩に対し、▲77角と面白い手を指した。どう応対するか見物であったが、ノータームで△44歩と角交換を拒否した。すかさず▲88飛と向かい飛車になる。

 その後、先手は、穴熊に囲い、後手は玉頭位取りを見せながら、ぐいぐい圧迫していく。先手やや苦しいかと思ったが、敵の73の桂頭めがけて、仕掛ける。うまい具合に、駒がさばけて先手優勢になる。そのまま優勢が続き、まだ早いかなと思う局面で、しずかに後手の投了がつげられた。

 そのあとは、10秒将棋での3人勝ち抜き戦ということで、チャボの大将やドラボンボンの大政などが、あっという間に勝ち抜きを決めていた。

【二日目】

 宿で朝食を取り、8時前に出発。庭の灌木に霜がおり、斜めから射す太陽に照らされて、きれいな朝の景色になっている。駐車場に眠っていた、ミスター・ビーン号は、屋根もガラスも白い霜で覆われている。だはっ、さすがは、軽井沢。

 決勝は、各リーグでの総当たり戦。チャボ対ドラボンボンは2回戦で早くも激突し、2勝1敗で、チャボが破れた。その後、快調に飛ばしたドラボンボンは5連勝で、優勝した。特筆すべきは、アマ強豪揃いのチャボ、ドラボンボンからほかのチームの強豪が3つ勝ち星を奪ったことだ。大政に負けた古強者は、感想戦のあと大政に対し、「序盤がまだまだじゃのう」とコメントして、すまして立ち去った。

 ローンレンジャーは、2勝3敗で、4位となった。多くのスポンサーから寄せられた、飲み物や、ジャンパー、Tシャツなど抱えきれないほど商品をいただいた。全員に商品が行き渡り、豪勢な大会であった。

【結果】

 団体戦 Aリーグ 優勝 ドラボンボン(早咲誠和、山田洋次、細川大市郎)

          準優勝 チャボ(下山知徳、馬上勇人、清水上徹)

          3位 栃木県中B(不明)

          4位 栃木県中A(荻野谷学、斉藤知明、藤沢賢二)

     Bリーグ 優勝 藤原組

          準優勝 へボックス

個人戦 Aリーグ 優勝 松田政示

         準優勝 石川治利 

         3位 清野義勝

         4位 西田文太郎

     Bリーグ 優勝 上條籐安(正しくは日の下に安:文字が変換されない・・・)

     Cリーグ 優勝 高橋広

     Dリーグ 優勝 原泰昭

     Eリーグ 優勝 清水貴志

初段獲得戦 獲得者 秋山敏行

 (完:記00年11月26日)Copyright (C) 1999-2003 Ricoh Co.,Ltd. All Rights Reserved.