イベント・レポート

リコー’99夏合宿(高橋編)

年月日:1999年8月7日(土)、8日(日)

場所:湯河原 杉の宿

リポータ:高橋 定光 e-mail : sadamitsu_takahashi@tokyo.ricoh.co.jp


1.合宿風景

いよいよ待ちに待ったリコー将棋部夏合宿。

場所は例年通り、神奈川県は湯河原町にある民宿・杉の宿。

13:00集合なので、品川駅発の10:00過ぎの東海道線の鈍行列車に乗り込む。湯河原駅に着いてからはバスに乗り換え、現地に到着したのが12:30頃。

バス停から上り坂を15分程歩いたが、天気も良く少し暑かったけれども、不思議とそれほど苦にはならなかった。

夏合宿は毎年、会社のこの夏休み前後に開催されるが、部内の強い人達に教わることの出来る数少ない機会でもある。徹底的に将棋三昧に浸ることを胸に秘めて、勇んで旅立つ。

宿に到着後、はやる心を押さえて部屋を見渡すと、谷川さんと藤森親子が先に来ていた。腰を下ろしてあらかじめ買っておいたパンをかじり終わると、まず最初に藤森さんとこのガキ、じゃなかった御子息(以下Jr)と5分&30秒で将棋を指す。

とりあえずスパーリングと称して気楽に指したのだが、あっという間に2連敗。(><)

昨年は、自分が2−1でまだまだだななんて強がっていたのが、とうとう無様な結果となってしまった。以前菊田さんも言っていたが、早指しは若ければ若いほど有利なのだろうか。

な〜んて、ここではもう、自分がどう言ったところで、もはや言い訳にしかならない。

聞くところによると、とうとうJrも今年奨励会に受けるそう。塚田泰明門下で6級受験らしい。つわものがいっぱいいるということなので、是非とも頑張って欲しいものだ。

しかしこの将棋に限らず、自分としてはここ最近特に、将棋に全然元気がないので、この合宿も出だしがこれでは、目の前が一層まっ暗になる。もっとも将棋に元気がないのはいつものことなんだけどね。

そんな中、人も集まりだして来て合宿が開催された。野山主将の将棋部活動報告・プロ棋士の紹介等が淡々と進められ、各クラスによるリーグ戦が開始された。なお今回の招待プロ棋士は、屋敷師範と早水女流プロのお二人。

昨年はもう少しいたのだが、今年はプロの方の都合がどうしてもつかなかったようだ。それでもアマチュアの、中規模の団体の会合(それも1泊)に来て頂けるのは、嬉しいことこの上ない。さらに将棋には無縁のはず? の女性の姿も今回は多く見受けられた。

これも来て頂いたプロや女性の方達の人柄か、それともT川さんを始めとした人達の根回しのうまさ、失礼しました、人望か。

また「彰ちゃんが行くから行く」と言っていたF原さんだったが、中倉彰子女流プロが都合で来られないことがあらかじめわかっていたので、もしかして氏も不参加か、なんてこの日まで思ったりもしたが、これは私の考えすぎだったよう。岩手から遠路はるばる、元気な顔を見せていた。

なお以下のリーグ戦は、上からレーティング順にS・A・Bクラスと別れ、持ち時間は20分&秒読み30秒。そして自分の参加するSクラスは今回全部で15名でスタートした。

2.1回戦 屋敷戦

さて初戦は屋敷師範。嫌な顔ひとつせず、平気で平手で指して頂く。昨年は稽古で角落を教わったが、見事に終盤ひっくり返され負けてしまった。

さらに言うと、師範が中学生名人となった年に(十ン年前)、週刊将棋主催の団体戦で対局し、作戦負けのままそのままいいところ無く、ずるずると負けたことがある。

でも昨年の冬合宿にこのことを話したら、さすがに覚えていなかったよう。次回はその棋譜を持って感想戦の続きをなんて思ったが、あまり意味がなさそうなので、これはやめておこう。

将棋の方は自分が先手で、師範の四間飛車に左美濃とした。さらに銀冠に組み上げてから、まずは角頭の3筋にイチャモンをつける。以下序盤作戦が成功し、なんとか大ゴマを捌くことが出来て、中盤優勢になった。とは言っても、駒得が約束されている程度のこの差は、実力差を考えると、すぐにひっくり返されそうである。自玉は固いが相手王も固い。少し駒の効率が良い位か。

でもプロ対プロならば、こういった形になれば、絶対に形勢の良い方が勝つんだろうな。

終盤、玉頭からの猛攻に合うも、なんとか凌ぐ。そして1手空いたその時に、とうとうこちらも緩手を指してしまう。今考えてみても、どうして11の馬で21の桂馬を取らなかったのか。そうすれば、遊んでいた馬も54の地点まで利かすことができ、まだまだ面白い局面が続いていたのに。

竜底の歩を利かすために1歩を補充したのだけれども、その程度では相手のさらなる猛攻を防ぎ切ることは、到底できなかった。やはり攻め合いに持ち込むのだったか。結局最後は大差で順当の敗北。感想戦でも師範は、相手の立場をうまく立てるところなんぞ、さすがだなあと変なところで感心してしまった。

そして気を取り直して2回戦へ臨む。

3.2回戦 藤森Jr戦

次なるは、先程連敗を喫した藤森Jrとの対戦。さすがに3連敗はしたくないが、だけどなんとなくやりにくい。自分が後手で変則的な序盤から、結局矢倉模様に。慎重に指し進めたはずなのだが、どうも作戦負けっぽい。時間を使って悪くしたのでは、何をかいわんやである。

それでも王様を一応囲ってから、中盤駒損を覚悟で果敢に攻める。

これが功を奏して? 一気に優勢から勝勢へ。おそらく相手が途中受け間違えたのだろう。そして終盤、こちらはいわゆる『Zの局面(絶対に詰まない形)』なので、必死さえかければいいところまで来た。さらに言うと、こちらには現状、有効な詰めろさえかかりそうもないので、駒を渡さずに2手スキで迫りさえしてもいいのだ。

しかしそこは秒読み。寄せの構図を描けず、やってはいけないと思いつつ王手王手の連続で、とうとう入玉されてしまう。形勢も混沌、いやもしかして逆転されたかもしれない。おそらく最善を指されていたら負けていただろうが、なぜか有効な駒が手に入ったので、何とか入玉王を詰ますことが出来た。

辛うじて勝ったが、反省の多い将棋である。察すると、Jrは非常に悔しかったようで、感想戦でも口数が少なかった。

他では牧野さんが大豪・野山さんに勝ったようだ。後で聞いたら必敗の局面で時間の切れ勝ちというものだったそう。そこには無言ながら憮然とした野山さんの姿があった。

4.3回戦 小野戦

休む間もなく、続いての対戦は小野三枝子さん。過去に1度、御徒町将棋センターで指したことはあるが、おそらく御本人はお忘れになっていることだろう。ちなみに結果は自分が四間飛車での勝ち。

本局は自分が先手で妖しい出だしながらも、結局は角換わりとなった。お互い下手に攻めにいけないので、何となくそれっぽく61に角を下ろす。しかしあまり構想的に良くなかったようで、以下悪くなる。

なんとなく1手負けが見えてきた終盤、事件が起こる。相手に1手受けられれば、ほとんどそれまでとなっていたのだが、強引にも寄せ合いを目指して来た。願ってもいない最後のチャンス! わざと必死の局面に追い込まれるも、最後相手王への頓死を狙う。

が、秒読みの中読み切ることはおろか、詰めあがり図がなんとなくさえつかめない。そして結局詰ますことができず、十数手後に投了。しかしその時! 歓声と共に、背後から拍手喝采が鳴る!?

いやあ、照れるなあ(違うだろ!)。

後で問題の局面を調べたらなんてことない、手順前後を犯したため詰まなかったのだ。将棋に勝つのはやはり一瞬なのかなと思うも、その一瞬を逃さぬのはやはり至難の技であると実感。難しいなあ、将棋って。

すでに2勝目を上げた小野さんへの激励が周囲から起こる。なんとなく複雑な気分だが、これで勝ち越す可能性も出てきたとあっては、応援する人達も含めて、御本人も自然、気合が入ることだろう。

5.4回戦 早水戦

ラストの4回戦は早水女流プロ。初手合である。確か原始棒銀が得意と何かの雑誌で読んだことがある。自分が先手の矢倉模様から、やはりその通りとなった。

自分は受け方をあまり研究したことはないので、77銀型のまま、とっとと中飛車にし、5筋の位を取る。端歩を受ければ、一応これで角頭は防げるのだ。要は5筋を突いてから中飛車にするか、中飛車にしてから5筋を突くかの違いだけなんだろうけど。

以下ねじりあいが続き、99に角を成られ駒損するも、相手の84の銀も遊んでいるので、玉形を考えるといい勝負か。しかし相手の構想ミスで、97にあるこちらの角をいじめに、99の馬を98とやってしまう。結果、この馬が遊んでしまい、形勢が少しづつ良くなって来た。

しかしその後、楽観によって相手の攻めを受けすぎたために、とうとう形勢不明から逆転模様に。

そしてまた、前局と同様、自分の王を自ら受け無しに追い込み、最後の1手で相手王の頓死を狙うというコスイ(ズルイ・ワルガシコイ)やり方で望みをつなぐ。

決して自分は終盤が得意というわけでもないが、偶然とはいえあまりこんなことをやっていると、いつかしっぺ返しが来るのだろうなあ、なんて思いながらも、最後の手番がやって来た。

おそらく詰みだろうという根拠の無い自信(過信)より、盤上遠くにある2枚の飛車を使って、相手王を王手王手で迫る。以下局面がわかりやすくなったこともあって、何とか詰みにしとめる。

だが検討してみると、どうやらこれは詰みがなかったよう。秒読みということもあって、相手が逃げ間違えてくれたのだ。本当はもっと深く研究したかったのだが、すぐに夕食となったので、切り上げざるを得なかった。

(豪華な料理を食べ尽くされてしまうもんね? でも不謹慎?)

ということで成績は2−2となり、あまりぱっとしないまま終わった。なんかもの足んない。

なおSクラスの優勝者は屋敷師範、準優勝は牧野正紀さん、3位は佐々木修一さん、4位が藤森保さん。Aクラスの優勝は来年リコー入社予定の桑山君、準優勝は西田さん。Bクラスは優勝竹中さん、準優勝矢口さん。

その他入賞された皆さん、どうもおめでとうございます。パチパチパチ。(^_^)

ちなみに上位陣の野山さんと谷川さんは意外に振るわず、と言ってもやはりその上位陣のつぶし合いの結果、2−2で終わっていた。

そして注目の(?)小野さんは、最終局を負けてやはり2−2だった。

6.夕食(宴会)

適当に空いている席に座る。隣は山田洋次君のお友達の吉野さん(女性)。女性の話はN田さんの方が得意なので、ここではやめておくことにする。(^_^;;)(N田レポート参照)

テーブルを見ると、豪華な料理がわんさかある。はて、何から手を付けようか。マナー違反とはいえ、箸を持ちながら、ついそれぞれの皿を物色してしまう。やだねえ、貧乏かついやしい人は。(^_^;;)

目の前にいる藤森さんが「哲(Jrのこと)がカモ(高橋)に負けたから、調子が悪くなっちまったじゃねえか」とおっしゃる。相変わらず言ってくれるぜ、このおやじ。(^_^)

そのJrは今回調子が出なかったようで、1−3だったようだ。当然本人は優勝するつもりでいたのだろうが。

またこれは後から出た話だが、豊岡さんと将棋部用のフォーラムについて少し話をする。いろいろな人の意見を聞きたいので、臆せず投稿して欲しいとのこと。

その時たまたま近くにいた野山さんをつかまえ、投稿するのは別に構わないのですが、何か面白いネタはありませんかねえ、と問うたら苦笑しながらも答えに窮していた。

7.リレー将棋

夕食後のレクリエーションとして恒例のリレー将棋を指すことに。そのチーム(3人1組)を決めるのに、合宿委員の伊藤誠さんがてんやわんやである。

なんてったって、わがままなオジサン?達はみな既に酒が入っていることもあり、騒がしいばかりでなく委員の言うことを全然聞かない?伊藤さんにとっては一番大変な場面ということで、ここで改めて同情申し上げます。m(_ _)m

どうにかこうにかでようやく対局が始まる。私のチームはシードで、谷川さんチームと坂下さんチームの勝者と当たることに。で、前者が勝ち対局が始まった。局面はこちらの四間飛車穴熊に相手の居飛車穴熊右四間飛車。

並みのチームなら苦戦するのだろうけど、相手チームは穴熊を毛嫌いする?谷川さんがいる。谷川さんの、なんで穴熊なんかに! という表情が対局していて見て取れる。

そして終盤、相手の見損じで飛車をただ取れては勝負あった。しかし初戦を勝つも、次の対局で惜敗。

結局このリレー将棋の優勝は藤森保チーム。翌日、賞金の1万2千円をGetしていった。うらやましい。

8.MidNight研究会

入浴後、有志にて研究会と称してリーグ戦を行う。一度、リコー将棋部でやってみたかったんだよね。数多くの人達と指せる絶好の機会だし。メンバーは牧野さん・坂下裕水さん・藤原隆幸さん・今年入社の宮田暁君・来年入社予定の桑山尚志君と自分の計6人。

持ち時間は10分&秒読み20秒。秒読み30秒にすると延々と終わらない可能性が高いので。とりあえず会費制の総当たりリーグ戦でやってみることに。開始は23:30頃だっただろうか。

わずかばかりでもお金がかかっているということもあって?、それぞれもくもくと将棋に打ち込む。全局終了したのが、3:30を過ぎていただろうか。

ちなみに成績は4−1で、牧野さんと桑山君のダブル優勝となり、わずかばかりの賞金をさらに2人で分けた。ここでの自分の成績はひどいもので、一人負けの0−5。しっかし我ながら、よく負けるよなあ。(><)

目的は強くなるためのものなので、成績自体はあまり興味は無いのだが(でも本当は、ものすごく悔しい)、しかしその目的は果たして、いつになったら達成できるのやら。

研究会終了後、うだうだしながら4:00過ぎに部屋に戻る。○□さんと△☆さんのいびきがやたらうるさいが、気にせず眠りにつく。(^_^;;)すでに外は、青白い空が、天に幅を利かせ始めていた。今日も暑くなりそうだ。

9.起床後

昨日の夕食のメニューとはうってかわって、朝食のメニューが少し貧弱なような気もするが、気を取り直してしっかり食べる。図々しくも朝からご飯を3杯も食べたのはのは、何を隠そうこの私です。(^_^;;)ちなみにあのM野さんでさえ2杯だったとか。

この後は適当に、限られた時間の中で、強い人を強引に捕まえて将棋を教わる。そして間もなく表彰式・閉会・解散となった。合宿リーグ戦・リレー将棋の結果は既に述べた通り。

人がまばらになって来た頃、テレビではすでにNHK杯戦が行われていた。帰り際の11:00過ぎ、ちょっと見てみたが、米長−阿部戦で、終盤ながらも難しい攻防が繰り広げられていた。

その場にいた屋敷師範が「難しいですね。まだ(終わるまで)相当かかるでしょう」と解説。生の解説をまさか聞けると思わなかったので、なんとなく得した気分。でも将棋は先手の阿部陣が強固な居飛穴がまだ健在ということもあり、最後まで見る気も無く、皆で帰ることになった。(湯河原駅まで載せて頂いた高田さん、ありがとうございました)

しかしまだ日も高く、乗り込んだ列車が東京駅に着いたのは13:30過ぎ。勿体無いのでホームグラウンドでもある、御徒町将棋センターへ行く。本当はこの日、アマ名人戦の埼玉県大会が行われていたので、見に行こうかとも思ったのだが、やっぱり将棋は見るよりも指した方がいいので、これはやめにした。

しかし合宿の成果無く、ここでも散々な目にあう。日を見ることが出来るのは一体いつの日のことか・・・。

うっ、夏の日差しが、まだまだ暑いぜ!

とにもかくにも、合宿委員の伊藤さんをはじめ、皆さんお疲れ様でした。事故も無く無事に合宿が終了したことは、私にとっても心の財産になると思います。ありがとうございました。

P・S アマ名人戦の埼玉県大会は、遠藤正樹VS古賀一郎の決勝で、遠藤さんが優勝しました。なお代表は遠藤さんと、先に決まっていた松本誠さんです。ちなみに高橋は、6月の予選でとうに負けていました。

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