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イベント・レポート

第9回 社会人団体将棋リーグ戦 初日

  〜〜〜リコー第3チームもエントリー〜〜〜


月日:98年6月14日(日曜日)

場所:港区長谷工体育館

主催:東京アマチュア将棋連盟

リポータ:西田文太郎 e-mail : nishida@cs.ricoh.co.jp

梅雨もまた楽し

みんなで運べばあっという間

第3チーム参戦

第一試合前半

第一試合後半



第二試合

第三試合

第四試合

うなぎ屋

山田洋次のデビュー



梅雨もまた楽し

 細かい雨が降っている。昨日も寒かったが、今日も最高気温は20度という。 長袖のシャツに薄手のジャンバーをひっかけて電車に乗る。新宿まで息子殿と 一緒に行く。荻窪から田町へ行くには、東京周りがいいか、渋谷周りがいいか 聞いてみる。そしてすぐに後悔した。

「好きにすれば」

さすがにそれではあまりにもつれないと思ったのかフォローする。

「今日は日曜日だから中央線でもいいかもね」

 田町の改札付近にはそれらしい人が大勢居る。私は傘を広げて、すり抜けて いく。駅前の第一京浜は、信号が長いし日曜の朝は車も少ないのでので、去年 は交差点に行く前に突っ切っていた。しかし、世の中はどんどん変わる。道の 真ん中に冷たくしれっとしっかり柵ができている。

みんなで運べばあっという間

 かなり広い長谷工体育館会場に、長テーブルとパイプ椅子が並んでいる。将 棋盤やチェスクロックもでている。各チームが順番に当番制で設営する、手作 りの大会だ。以前、始めてきたとき、アマ強豪の田尻君がせっせと椅子を運ん でいる姿を見て、妙に感動を覚えた。リコーは今日たまたま当番で、9時半ま でに来るようにということだったが、すでにほぼ完了していた。それでもよく 見ると安宅さんは手際よく残った仕事を片づけている。

 こうして6月から10月までのリーグ戦が始まった。1部を見ると、アマ強 豪はぞろぞろいるし、全体にハイレベルで、チーム構成も自由でしかも7人の 団体戦で、更にリーグ戦で、全て時計を使うという、ユニークで面白い大会だ。

第3チーム参戦

 私は昨年参加していて、大会が面白いので他の部員にもチャンスを与えたい と思った。R将棋部の悪しき風習の「言い出しっぺの原理」にはまって、フォ ーラムで呼びかけることになったが、期待通り反応は良かった。私の心配は、 ひどい負け方をしたら困るという点だったが、主将の野山は「負けるのはかま わない。不戦敗は困る」というものだった。それなら大丈夫、トップクラスを 除けばRのメンバーは質よりも量を誇るのだ。職団戦だって40人近く集まる。 今日も、伊藤君が幹事を担当してくれて、9人を集めてくれた。一つだけ私 の狙いは外れたが、みんな楽しんでくれたと思う。

 私の狙いというのは、若手にチャンスを与えて、強くなってもらいたいとい うことだった。しかし現実は、もう一息でOBチームを作れそうな構成になっ た。まあ、これはこれでもいい。でも、もう少し若手に参加してほしい。おう い若者達よ、書を捨てよ。

 第一チームは8人、第二チームも8人でスタート。
 1部だけは40分、30秒で、他は30分、30秒だ。

第一試合前半

 第二チームの幹事吉中は、自分を外して私をいれてくれたが、初戦の写真を 撮っておきたかったので、代わってもらった。

1部リーグを中心に見てまわる。瀬良、谷川、野山と並ぶ。序盤を熱心に見 ていると、足が頭脳のコマンドを無視して数少ないマドンナに向かうので、将 棋好きの私も抵抗できない。

 なにわのマドンナこと、棚田真由美さんがいる。アマ女王、女流アマ名人と 立て続けにタイトルをとっている。髪を短くして爽やかだ。なんと藤森ジュニ アの哲也君も同じ蒲田オールデイーズでデビューしている。対局中にじゃまし てごめんねと心でいって写真を撮る。

 しゃきしゃきのマドンナこと小野三枝子さんはフェアリープリンセス1を率 いている。ちょっと目を離していると、遠く関西まで足を運び、関西アマ女流 名人戦で優勝している。また府中桜花杯でも優勝している。競馬ではないので 念のため。フラッシュが光ったらにっこり笑って応えてくれた。でも、写真に はその笑顔は写らない。

 久しぶりに神秘のマドンナの姿を見つけた。髪を切ったらしく大分感じが変 わったので、別の人かとも思った。やはり神秘のベールはいつまでも神秘のま まがいい。

 第一チームは翔風館相手。瀬良、谷川、藤原、山田が良さそうだ。
 第二チームは3部で対立教大学紫雲会。どこも芳しくない。
 第三チームは4部で対横浜。結構みんないい線いっている。




第一試合後半

 一回りして第二チームに戻ってきたら大将の田中の姿がなく盤上の田中サイ ドがぐちゃぐちゃになっている。負けた方は、証拠隠滅のためか悔しさのため か、たいがい原形をとどめないものだ。

 結局副将小林だけが相手に恵まれたらしく1勝6敗だ。げっ、やっと3部に 昇級したばかりなのに暗雲が漂う。ライエル・グリンベルゲンと対戦した室井 さんという人が、元学生名人だそうで、盛んにライエルが強いという。ライエ ルはもう少しで勝ちそうだったのを、珍しく秒読みで間違えたらしい。

 みんな良いと思っていた第三チームも、慎重な土肥さん以外はころころと転 んでしまったようだ。
 第一チームは藤原が信じられない逆転負けで3勝4敗だ。 なんと、さい先悪くみんな負けてしまった。

 会場が狭いので、第二チームのメンバーは外に出た。生憎の霧雨なので、ガ ード下のようなところで10センチほどのコンクリートの出っ張りにちょこん と座って、窮屈そうにお弁当を食べた。値段の割には中味が乏しい。田中さん などは持ったとたんに空ではないかと思ったという。

第二試合

 第二チームの七将で参加、相手は白門2だ。後手番で合横歩取りになった。 最近瀬良ちゃんの指すのを見てやってみたくなっていたので中原玉を試してみ た。
 見たことはあっても定跡手順を覚えていないので、似た格好にはなったがど うも作戦負けをしている。このままではじり貧になるだけだ。
 敵は更に好形にしようと思ったのか、一瞬壁銀になった。ここしかない、桂 馬の高飛びから飛車交換して飛車を打ち合った。

 局後の検討ではこのあたり何度やっても私の勝ち筋はでてこなかった。本譜 だけはピンポイントで勝ち手順に進んだらしい。壁銀に泣いてもらった。

 チームも4勝3敗と勝っている。

 第二チームはフェアリーの1とあたり、しゃきしゃきのマドンナを宮崎さん が、おしとやかのマドンナを矢口さんが粉砕して、5勝をあげている。何て非 情な男達なんだ。きっと矢口さんは、ばっしんばっしん駒をたたきつけながら 指したんだろうな。

 第一チームは光オカチに、またも3勝4敗だった。

第三試合

 第二チームはオール大泉戦。やはり後手番で、先手3間飛車対後手75歩の 仕掛け。別れは後手が良いようだ。局後の検討では、あそこでああすれば、こ こでこうすればと、全て私の勝ちになったが、本譜は負ける手順ばかりを選ん でしまった。

チームは日曜出勤で遅れてきた大将椋木と私以外は皆勝っている。

 第三チームも王子に4勝して勝っている。

第四試合

 ありというチームが相手だ。何でも飲み屋の仲間らしい。社団戦チームはほ とんど何でもありなので、ユニークなチームがたくさんいて、面白い。
 私は、またも七将ででた。今度は先手番で、合横歩取りに進んだ。途中で形 勢を悲観したために、最後の粘りに欠けて惜しい負け方をしてしまった。3手 前までは勝っていたようなのだ。
 結果は1勝2敗と冴えないけれど、時間も全部使ったし、内容も悪くなかっ たので、頭脳のいい汗をかくことができた。

 チームは4勝をあげて、勝っている。これで、今日の第二チームは3勝1敗 だ。今期はせめて、10勝はあげて、上位に食い込みたいものだ。

   第三チームは本業の宿敵富士ゼロックスに2勝5敗で負けてしまった。それ でも2勝2敗は、まずまずだ。

 4試合が終わり、第一チームの結果を聞くと、またも3勝4敗で敗れている。 相手は宿敵スーパーゴールドだけに惜しすぎる。インドに菊田を人質にとられ、 佐々木を銀座の日曜出勤に取られ、痛い痛い。人使いの荒い会社だ。でも本当 はチアリーダーの晶ちゃんの出現が遅かったからに違いない。

うなぎ屋

 反省会は、いつものウナギ屋だ。第一チームが残念な結果なので、今一つ盛 り上がりに欠けそうなところを、さすがにチアリーダーが盛り上げる。いやあ 君たちよく頑張ったよと。

 また外人のパーセンテージが下がったよと、鼻をひくひくさせるライエル。
 去年よりも参加チームが増えたのだ。そして見渡す限りは外人は彼だけだ。

 「何が好き?」
 「あの、まるいの」
 「ああ、つくねね」
 「そう、どうしても覚えられない」

日本語の達者なオランダ人の、好物はつくね。嫌いなものはレバー、またナ ンコツも一口しか食べなかった。そして、さっきの「何が好き」の会話は、少 なくとも2回以上、下手をすれば5回くらい同じような場所で繰り返している ことに気付いた。

山田洋次のデビュー

 リコー期待の大型新人は、研修期間中だ。初の対外試合は強敵ばかりとの対 戦となったが、2勝1敗と、好成績だ。学生の大会の秒読みは60秒が多いと いう。社会人は30秒が多い。

 にぎやかでおしゃれなシャツ姿で、長身、やや長髪の現代的な若者だ。学生 時代に作ったというホームページがまだ残っている。しなやかな手つきで、や んわりと指す。剛の豊島英と柔の山田洋次で良いコンビになりそうだ。だんだ ん層が薄くなってきたR将棋部の、この二人への期待は大きい。
 山田君は、北の国からの純くん吉岡秀隆に似ている。もっとも私の誰それに似て いるというのは、あまり賛同を得られないことが多い。特に家族のものには不 評だ。
 若い二人の好みはたとえば、仙道敦子と、中江有里だという。さあ、どちら がどちらでしょう。因みに、後者は、同姓同名の山田洋次監督の「学校」に出 ているそうだ。

 いずれにしても、学生時代との自由時間の少なさのギャップを乗り越え、お 金を払う側からもらう側に来てしまったことを認識して、先ずは社会人として の足場を固め、次にR将棋部員として、二人ともこれからますます頑張って欲 しい。

(記:98年6月15日)

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