イベント・レポート
第8回 社会人団体将棋リーグ戦 最終日
リポータ:西田文太郎 e-mail : nishida@cs.ricoh.co.jp
- ●開催日 :97年10月26日(日曜日)
- ●開催場所:東京 田町 長谷工体育館
【喜びと口惜しさと】-
山よりも高い喜びと海よりも深い口惜しさに複雑な心境だ。
のっけからベレー冒のマドンナの加賀さやかさんの口癖の影響を受けている。
実は、口惜しくてたまらない。チームが勝ってそれはそれで喜ばしくてとてもいいのだけれど、個人的には3連敗もして
しまったのだ。
こんな時、レポートなんか書きたくなあい。口もききたくなあい。
…そしてあっと云う間に一週間。時は色んな悩みを解決してくれる。
【98チームの頂点はスーパーゴールド】-
今回は一部リーグ12チーム、二部16チーム、三部赤16チーム、三部白16チーム、四部赤20チーム、四部白18チームの合計98チームが参加。
6月8日、7月13日、9月14日、10月26日の4日間に一チーム7人で、各リーグほぼ総当たりのリーグ戦。持ち時間は一部リーグが40分、30秒、そのほかは30分、30秒だ。
各リーグとも上位5チームが表彰され、賞品がでる。しかも1〜2位は無条件で昇級、3〜5位は一つ上のリーグとの入れ替え戦にでられる。下位5チームのうち下の二つは無条件で降級、残り3チームは入れ替え戦だ。
結果は、つぎのとおり。
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リーグ名称 | 優勝 | 準優勝 | 三位 |
一部リーグ | スーパーゴールド 10勝1敗 | 蒲田将棋クラブ 9勝2敗 | リスボン 8勝3敗 |
二部リーグ | 光OKACHI 14勝1敗 | 東芝 12勝3敗 | 稲棋会都の西北 11勝4敗 |
三部リーグ赤 | 日大桜棋会 14勝1敗 | 日立 11勝4敗 | 全逓 10勝5敗 |
三部リーグ白 | ヨコハマ西口将棋クラブ 13勝2敗74勝数 | 池尻将棋クラブ 13勝2敗73勝数 | 白門棋道会 13勝2敗72勝数 |
四部リーグ赤 | 東北大学OB会 13勝2敗74勝数 | 三洋電機 13勝2敗68勝数 | NEC第2 12勝3敗 |
四部リーグ白 | 富士通 14勝1敗82勝数 | 稲棋会早稲田の栄光 14勝1敗76勝数 | リコー2 12勝3敗 |
一部リーグ優勝は、10勝1敗でスーパーゴールド。準優勝は蒲田将棋クラブ9勝2敗。リコー1は6勝5敗で、6位、商品も降級も無関係、わずかに昨年より順位を一つ上げた。
社団戦は、同じ職場とか会社とかにこだわらず、チーム構成が自由だ。これまでの単一帰属社会からこれからの複属社会を象徴するかのように、将棋道場チームや飲み屋仲間同士、或いは同窓会メンバーなどとチーム構成がバラエテイーに富んでいる。
一部リーグにはアマ強豪の有名人のそろったチームが多く、優勝するのは大変だ。12チームを見渡しても、同じ会社のチーム構成でエントリーしているのは3チームだけだ。その中での6位は捨てたものではない。
リコー1は、今期は必勝を期してS研というトレーニングを始めたけれど、どうやら顕著な効果は春の職団戦優勝だけで、それ以降については効果不明だ。
今年も、いろいろハプニングがあったから、結果だけでS研効果なしとはいえない。むしろ種々の悪条件(企業秘密だから明かすわけにはいかない…というほででもないのだけれど)を克服して良くやったともいえる。
しかし将棋は勝たなくては面白くないから、課題を克服して来年は優勝を目指していきたいものだ。
【リコー2は3位入賞】-
四部リーグ白は、18チームの参加で、各15試合の対戦が組まれた。優勝は富士通で14勝1敗82勝ち数、準優勝が稲棋会早稲田の栄光で14勝1敗76勝ち数、そして3位にリコー2が12勝3敗で食い込んだ。
富士通の1敗は早稲田の栄光に、早稲田の栄光の1敗はリコー2に喫したものだ。
将棋の団体戦は対局の組合せによって勝負の行方が変わることが間々ある。だから順番を変えたり工夫することも多い。
しかし、今期はリコー2は大将から3将まではほぼ固定の椋木、田中、ライエルで戦ってきた。この3人の出来が良かったこともあって好成績をあげることが出来た。また、若手の小林、岡田も順調に自力をつけてきているようで、頼もしい。
社団戦は、職団戦に比べて規模はやや小さいけれど、粒ぞろいで、かなりレベルが高い。従ってここでそこそこ戦えるようになれば自信につながる。年に4回で、アマチュアには日程調整の苦労がつきないけれど、リコー将棋部の長期的な繁栄のためには、伊藤君や高橋君のような若手を中心にしたリコー3も参加させると将来が楽しみになる。
【一回戦、赤胴鈴之助発見(古すぎる?)】-
リコー1は、優勝に手が届かないこともあって、メンバーが一人足りないまま、6人でリスボン戦を戦っている。やはり人数は揃えたいものだ。アマチュアの良いところと言うといこともできるけど。
オール東大が優勝目前の蒲田将棋クラブと向かい合っている。大将の樋田さんが駒をふる。
「東大偶数先手!」と凛々しい声でメンバーに伝える。昔ラジオで聞いた赤胴鈴之助を思い出してしまった。あの声は気持ちが引き締まり、対局にも気合いが入るだろう、素晴らしい。
我々は、振りゴマのあと、「エッ、どっちどっち、エッ先手?」などと周りを見るのが普通になっているので、この定跡は是非取り入れたいものだ。
あの声が効いたのかどうかわからないが蒲田は敗れてしまい、急に自力優勝が無くなってしまった。
リコー2は、今期全く出てこない相手との組合せで、ラッキーな不戦勝。
手持ちぶさたなメンバーは10秒将棋を始めたりしている。
田中さんが社交ダンスの「デモ」を演じた写真を見せてくれる。映画の「Shall we dance ?」を彷彿させるしゃきっとした姿勢でパートナーのピンクのドレスの女性と格好良く踊っている。7〜8年前から始めたという。
普段の強面の風貌からして、ダンスではタキシードに決めて華麗に舞っているのが不思議だ。「デモ」に選ばれるのは、とても名誉なことなそうだ。週に4日間ダンスに通い、麻雀、将棋に飲み会と夜は大忙しとのこと。
【昼休みはうららかな外へ】-
そんな田中さんでも負けがこんでくると「やりたくなくなる」ことがあると云う。
そうか、俺などはまだまだその域にも到達したことがないんだ。ぐずぐず余計なことを考えずに「指したくなくなるほど」指さなきゃいけないんだなと思う。
NECビルの庭園で、ライエルが日なたぼっこしながら日本語の本を読んでいた。
日本語をしゃべる外人は大好きだ。それにしても、何故外人は1〜2年で外国語をちゃんとしゃべれるようになるのだろう。私なども10年以上も英語を習い、それなりの成績なの碌にしゃべることが出来ない。
不戦勝の間にベルギービールをたっぷり仕込んできたそうで、重そうに持っている。
日本のビールはどれも似たようなもので、ベルギービールの方が好きだという。あのこくのある感じがいいのだろう。
残念ながら味については旨く会話を交わすことが出来なかった。「こくがある」って英語ではどういうんだろう。やっぱ、それなりの成績でなかったことがばれてしまう。
【二回戦、リコー2の入賞確定】-
リコー1は翔風館戦、これが最終局となる。勝てば商品がもらえるというのを忘れたらしく、今期1勝しかあげていない相手に貴重な2勝目を進呈してしまった。
リコー2は羽生棋友会戦。「はぶ」ではなくて「はにゅう」と読むそうだ。ここまで9勝4敗と入賞を狙っている相手で、油断は出来ない。
私は4将、敵は矢倉模様だったので後手番で雁木を選んだ。最近雁木が面白い。勝率は今一だけど、薄い玉形で、ゴリ
ゴリ攻めるのがスリル満点だ。
玉頭に銀が盛り上がって、敵飛車を封じ込める展開になった。ほぼ完封寸前に、端から手を付けられて、角が飛び出す手をうっかりしたために堤防に穴が開きボロボロになってしまった。やはり自分の玉頭から攻め込むのは構想がまずいのかな。でも、もう少しで完封できそうだったから、悪くはないと思うのだけど。敵の玉を攻めるわけではないからやっぱり変だ。
チームは4勝3敗で勝ったという。これで、5位以内の入賞が確定し、次の富士通戦に6勝すれば2位になれる。
【三回戦、ちょっと手合い違い】-
リコー2の最終戦は、富士通が相手だ。今期から復帰と云うことで実力的には一部リーグにいてもおかしくないチームだという。
しかし早稲田の栄光に負けているし、その早稲田の栄光に我がチームは勝っているから、全く勝てない相手ではないだろうなどと思っていた。
吉中作戦で、今期初めて順番を大幅に変えた。しかしそんな小細工の通用する相手でないことがすぐにわかった。
私は6将で、敵の四間飛車に対し左美濃に組んでみた。しかし、角のラインが厳しくすぐに作戦負けに気付いた。しかも、その角のにらみを効かせて細い攻めを的確につないでくる。こういう敵に勝てるようになりたいなと思わせてくれる見事な攻めっぷりだった。
チームは小林が7将で唯一の貴重な1勝をあげた。負けたけれど、3位になった。
あとは入れ替え戦で昇級を目指すのみだ。
【表彰式】-
各リーグの5位までの表彰式が行われた。今年の商品はずしりと重い、開けてみると、6枚組のお皿セットだった。
女性だけでチームを作っているフェアリープリンセス1は、四部リーグ赤で4勝をあげ、20チーム中、通算15位と大健闘だった。
【入れ替え戦、やった!】-
入れ替え戦の相手は、三部リーグ白で14位の特別区職員文化会だ。
去年の入れ替え戦では負けてしまい、昇級できなかったので、皆今年こそはという思いだ。一軍を代表
して新戦力の豊島君が応援に来てくれた。
私は6将。どうも気持ちがうわずっている。読みに集中できないというか、何か雑になっている。これは危ないと思いながらこちらの指し手は早い。落ち着けと言い聞かせてもどうも手が滑る。
中飛車に対して急戦を仕掛けた。しかし、と金をじっくりと引きつけられて、怪しい。負ける相手ではないと思いながらも、焦りが負けを早める手を選ばせる。残念、今期一番大事な星を落としてしまった。
チームは吉中曰く「豊島君のオーラが伝わって」4勝3敗のきわどい勝ちを決めた。
来年はもう少し強くなって優勝を目指したいものだ。
(記 97年11月1日)
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