event-0041

イベント・レポート

平成9年アマ最強戦

日時:1997年8月15日〜17日

場所:大阪梅田・中津「ホテルサンル−ト」

リポータ:野山知敬 

過去最高人数

 恒例の平成アマ最強戦。今年は8/15〜17とお盆をはさんで日取りもよく、大人数の参加が予想された。
 場所は大阪梅田・中津のホテルサンル−ト。新大阪から2駅と地理条件もよく、宿泊してその場で大会参加できるのがメリットだ。

 さて、私(野山)はこの大会の世話役をつとめているのであるが、申込者の組合わせなどの資料を事前に作ることになっている。アマ連からニフティで送付されてくる名簿をロ−タス1−2−3に順次組み込み、そろそろ満杯になった状態で乱数を振り、組み合わせを作る。今年はなんと事前に238人という過去最高人数であった。


ハプニング

 ところで、この作成作業をする前に個人的にとんだハプニングがあった。
 8/9〜11兵庫県城崎郡香住町に住む大学時代の先輩から誘いを受け、親睦将棋と海水浴に行っていたのだが、最終日の8/11、海の岩場を歩いていたらぬるっと滑り、尖った岩に右ひざをニ−ドロップ。あいたたた!!ひざが曲がらず、歩行困難になってしまった。

 診察の結果骨や皿には異常はなかったが、打撲がひどいので湿布して右足を伸ばしたままの生活。風呂に入るのも難儀やで−。和式トイレはでけへんな−、という日々。

 8/14まずは熊本から田尻が我が家へ宿泊に。早速当日の資料作成手伝いと運転手の依頼。私はたたみに座れないので低いテ−ブルに六寸盤を置き、ビ−ル片手に肩慣らし。久しぶりの再会はやはり楽しい。


ミニ最強戦

 8/15いよいよこの最強戦の前座である、ミニ最強戦の開幕。一日で終わらせてしまうため、20分切れ負けという強行軍。ここでもなんと146人という大人数。もちろん県代表以上の強豪ばかりで、本番の最強戦より密度が濃いとの話もうなずける。

 私はここでびっこを引きながら出場。足が痛くても将棋は指せるんですね。なぜかこの日は絶好調で、石井豊、瀬川晶司、木村秀利、山田洋次、松広隆二と破ってベスト8、ここで山田敦幹(やまだあつもと)さんに当たる。彼には昨年の社団戦で痛い逆転負けを喫しているので闘志がわいた。将棋は氏の三間飛に5七銀左からの急戦。会心の一局のはずが終盤のポカで苦杯。結局山田さんが決勝で林隆弘さんを破って優勝。賞金は最強戦の10分の1ということで7万円。それでも大金ですね。


前夜祭

 ミニ終了後は前夜祭。事前の呼びかけが足りなかったせいか約30名と少ないが、近鉄将棋まつりで大阪に帰っていた林まゆみさんが参加してくれたのとカラオケ大会で盛り上がった。

 こんなとき、将棋以外の一面が見られて愉快ですね。ミニ最強の鬼、長岡俊勝さんはカラオケの鬼でもあることを再認識致しました。

 田尻に運転手をお願いして家に帰ると佐々木、南、菊田が早くメンバ−をそろえたいと手ぐすね引いて待っていた。田尻は一年ぶりで打つとのことで、南、佐々木との決戦を楽しみにしていた。


平成最強戦:一日目

 いよいよ本番。私は世話役ということで予選免除。朝はひざの診察を受けていたためやや遅れて会場に到着したが、壮絶な熱気に圧倒される。

 この予選を抜けるのは大変。なんせ参加者248人(飛び入り参加で増えた)のうち全国大会優勝経験者が42人、なんと6人にひとりがタイトルホルダ−というわけだ。早咲誠和−長岡俊勝、桐山隆−山田洋次、菊田裕司−吉田幸夫、鈴木英春−北村公一、美馬和夫−河原林秀典などなど、予選から恐ろしい組み合わせが続々。
 この組み合わせはパソコンが決めたんだから、文句があるならNECかロ−タス社に言ってくれ−。

 予選終了後はト−ナメント。
 アマ強豪約120人による大ト−ナメントはすごい光景。まるで狭い部屋に恐竜がうごめいているみたい。ここでは予選通過者自らがくじをひく。「ぎゃあ」まず声をあげたのが佐々木修一。なんと鈴木純一氏と一回戦。朝日決勝と同じとはねえ。鈴木さんに伝えたら「なんだかうれしそうですねえ。」とこちらは平然。まあ、誰と当たろうが同じですよね。次に顔をしかめたのが前回優勝者の松本誠さん。なんと昨年の決勝の相手、遠藤正樹さんに当たってしまった。こんな偶然も珍しい。

 一日目は32人が残る。ということは248引く32で216人が落ちたということ。32まで残ったらとりあえず賞金5千円キ−プできるんですね。落ちた人には敗者戦があり、またここで賞金を狙えるのがうれしいところ。

 ところで私は元奨励会三段の小泉有明氏に逆転負け。調子良かったのになあ。残念。
 一日目終了後はリコ−関係者+林女流でお好み焼き屋にて反省会。リコ−関係で残ったのは田尻と菊田のみ。誰ですか、明日はひまになったから朝まで卓を囲めるなんて言ったのは。(SかNでしょうね)


平成最強戦:二日目

 二日目残った面々を見るとやはりさすがだと思わせる。
 田尻と菊田はどうなった?と気になるが、いずれも優勢のまま勝ちきったもよう。ベスト32では早咲アマ名人が学生強豪の杉原徹さんに討ち取られた。
 尚、アマ連ではこの大会のもようを小冊子にしたいとのことで終局後選手が棋譜を残していた。

●ベスト16(左が勝ち)
・鈴木純一−林隆弘 :相がかり。銀得した鈴木さんが圧勝
・渡辺俊雄−神辺忠宏:矢倉急戦。渡辺さんの快勝。
・長岡俊勝−島貫隆行:急戦石田。長岡さんが居玉で勝つ
・遠藤正樹−松田一彦:相矢倉。遠藤さん最近の得意形?
・田尻隆司−山田敦幹:三間飛。急戦が決まって田尻勝ち
・藤井真司−桶屋郁夫:相振飛車。藤井さん逆転勝ち
・瀬川晶司−杉原徹 :相矢倉。見応えのある中終盤
・辻清治 −菊田裕司:四間飛。意表の飛交換で優位に


 いずれも面白い組み合わせで熱戦だった。
 目立ったところでは「暴れん坊」神辺敗れる! 遠藤、矢倉で快勝といったところか。
 菊田は本棋戦優勝経験者の強豪辻さんに敗れる。



●ベスト8(左が勝ち)
・鈴木純一−渡辺俊雄:相矢倉。鈴木さん攻めきる
・長岡俊勝−遠藤正樹:相穴熊。すさまじい終盤
・藤井真司−田尻隆司:三間飛。秒読みで逆転
・瀬川晶司−辻清治 :四間飛。瀬川さん食いついて逆転


 ここで田尻も終盤で逆転負けを喫す。
 これでベスト4に元奨励会有段者が3人。「将棋が違う」と、観戦者からつぶやきがもれていた。



●準決勝(左が勝ち)
・鈴木純一−長岡俊勝:横歩取り。長岡さん、中原流で惜敗
・藤井真司−瀬川晶司:角換り。中盤、瀬川さんに見落とし


 いよいよ決勝進出者が決まる。ここまで来る人の将棋はやはり輝いている。いい将棋を指すもんだと感心しながら観戦していた。決勝も面白そうだ。



●決勝
・鈴木純一−藤井真司:角換り。鈴木さん、猛烈な攻め合いを制する。


 角交換、次いで銀交換となり先に角を敵陣に打ち込んだ鈴木さんだが、藤井さんの5筋の歩突きに手抜きして攻め合ったのには検討陣もびっくり。「これはいくらんなんでも無理でしょう。」皆藤井さんの勝ちと思ったが、検討してみるとなかなか大変。それでもわずかに藤井さんが残っている変化があったが、受け間違えてからは一方的になってしまった。

 かくして平成9年アマ最強戦は神奈川の鈴木純一さんが二度目の優勝を成し遂げて幕を閉じた。
 鈴木さんは今年に入ってから朝日アマ、グランドチャンピオン戦に続いてのビッグタイトル獲得。本最強戦も2回優勝というのは並ではない。まさに「平成最強」と呼ばれるにふさわしい人となった。



Copyright (C) 1999-2005 Ricoh Co.,Ltd. All Rights Reserved.