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イベント・レポート -0007-

最強戦 〜東京大会〜

月 日 :1996年5月4日〜5月5日
場 所 :東京都新宿区 都庁
リポータ:西田文太郎

目次

最強戦 大会結果
最強戦 第1日目 予選
最強戦 第2日目 決勝
おまけ:第九回東京都知事杯争奪都民将棋大会 楽屋裏

大会結果

予選
・日 時 :5月4日(土)10:00〜18:00
・場 所 :都庁都議会第2会議室
・参加者 :112名(事前申し込み+当日飛び入り)
・持ち時間:35分、30秒
・ルール :アマレンルール
・枠抜け  一回戦はくじ引き。
      二回戦からは同じ枠内で同星同士の対戦。
      二敗失格。
      三勝で決勝トーナメント進出。約30名。
決勝
・日 時 :5月5日(日)9:30〜18:00
・結果
      優勝  木村秀利
      準優勝 金子タカシ
      三位  木村恵作
      四位  藤山順一
ベスト8トーナメント
 小田 寛一┓━木村 秀利┓━木村 秀利┓━木村 秀利
 木村 秀利┛
 鈴木 英春┓━木村 恵作┛
 木村 恵作┛
 藤山 順一┓━藤山 順一┓━金子タカシ┛
 松本 誠 ┛
 黒部 修 ┓━金子タカシ┛
 金子タカシ┛

 尚、同時に第九回東京都知事杯争奪都民将棋大会が開かれた。結果は未入手。

最強戦 第1日 予選

 ゴールデンウイークもあっと言う間に後半に突入。
 私の前半は、風邪に奪われてしまった。風邪という奴も給料のかなりを持っていく税金のようなものなのか、確実に一年の何日かを勝手に持っていく。
 せめて後半は好きなことをして満喫しようと、都知事杯にチャレンジするために都庁へ行った。

 休日の朝の都心は、道路が空いていて走りやすい。桜はピンクが影を潜め、緑がまぶしい。
 副都心の高層ビルが突き刺さっている青い空に風邪を突返し、元気を取り戻す。

 ところが、、、
 都知事杯出場申し込みの時間帯に、平成最強戦のくじを作っていたので、参加を見送ってしまった。
 気安くアマレンの手伝いを引き受けた報いが来てしまったようだ。
 おまけに、最近悪化している腰痛の為じっと立って対局を見ていられない。
 仕方なく手当たり次第に椅子と友達になる。

 最強戦には100人以上参加している。
 リコーからは、瀬良さんと菊田さんが来ている。
 久しぶりにホームページの棋譜鑑賞が充実すると嬉しくなる。 ただ、牧野さんがいないのが変だ。
 昨年準優勝で赤旗名人の長岡さんや、アマ王将の樋田さん、大阪将軍の沖さんなどアマ強豪がひしめいている。
 予選は2敗失格、3勝通過というシステム。
 菊田さんは、順調に3連勝してあっさり通過。
 瀬良さんは、実戦不足なのか、調子が出ないうちに残念ながら二つ相手にプレゼントしてしまった。
 そこで私が鳶になって一局教えて貰って大儲けをした。
 もちろん勝つわけはないのだけど、この頃少し囓っている矢倉のいろんな変化を局後に教えて貰ったから。

 同時に開催されている都知事杯は、三段以上のAクラスだけをやっている。
 会場の広さと参加予想人数の関係でB、Cと小学生クラスは明日。
 そのAクラスに、山田耕平さんや若林さんなどに混じって小学生が出ていて、7位に入賞していた。

 そして、圧巻は、先頃プロとの詰め将棋勝負で将棋マガジンや将棋部メールを楽しませてくれた山田耕平さん(ですよね?字は?)と菊田さんの詰め将棋コーナー。
 簡単な配置を前にして奥本さんがうなっている。
 山田さんと菊田さんは、まるで手品のようにいろんな図を次から次へ盤上に作り、それを見ながら二人でほとんど単語だけの会話をしている。
 外人同士がしゃべっているネイテイブ英語のようで全く分からない。
 こちらは夢を見ているよう。
 どうやら作品の姿が悪いとか余分な駒があるから減らすにはこうした方がよいとか言っているらしいのだけれど大分先の変化について中合いは桂がよいとか言ってもまるでイメージがわかない。
 なのに、側で聞いているとうっとりしてくる。ほとんど芸術の世界で、コンサートホールでクラシックを聴いているような心地よさがあった。

最強戦 第2日目 決勝

 翌日、子供の日。
 朝から大雨の上、強い風邪で、僅か100メートル歩くだけでずぶぬれになった。
 昨夜から仕事のトラブルが発生し、今日は、お客様の所に行かなければ成らないのでスーツでお出かけは結構悲惨な絵。

 菊田さんが青いリュックで颯爽と登場。
 なんとトーナメント二回戦で奥本さんと当たるではないか。どちらが勝っても絶対棋譜鑑賞にお願いしよう。
 しかし、奥本さんの形勢は芳しくない。隣から対局中の菊田さんも心配そうにのぞき込む。
 次に見に行ったら、菊田さんは奥本さんと対戦していた黒部さんとやっている。
 振り飛車の菊田さん、有利だったのに、いつの間にか美濃囲いをそのままに単身旅に出た菊田玉は中段で詰まされてしまった。
 美濃の▲4九金に△5八とと寄ってきたとき、▲同金と取ってしまったので△3九銀で▲1七玉と追い出されたが、我慢して▲3九金と寄っておけばどうだったかと感想戦。
 負けたのは悔しいけど棋譜鑑賞に載せてくれると嬉しいな、菊田さん。
 後で、菊田さんと京大同期の奥本さんに
 『菊田−奥本戦を楽しみにしていて見たかったのに』
 といったら
 『社会人になってからは対局していないので私も指したかった』
 と言っていた。
 黒部さんには京大キラーの特異なパワーがあるのかも。
 2年連続優勝を狙う金子さんは、居飛穴の木村秀利さんに苦戦している。
 居飛車側からの飛車角交換の急襲。
 意表を突かれた金子さんが形勢悪くない局面で悲観して2四の角を追う▲2五歩を逃し、あっさり指したため△4五歩を許し形勢が傾いた。
 その後は、大阪正棋会で野山さんに教えて貰っているという木村さんが素早く寄せに出て勝ちきった。
 30万を懐に、帰りの新幹線の中で自戦記を書くというので期待しましょう。
 先崎六段にニキビを沢山つけたような好漢、23歳というヤングパワーが爆発した。
 指す度に、駒に、頼むぞ、と慈しみながら盤に置く手つきが印象的で、将棋が好きなんだなと思う。
 朝日アマの挑戦者になった林さんや今日の木村さんのように若手が活躍するのはプロだけでは無い様だ。
 でも、おじさん族としてはベテランの活躍も期待している。特にリコーのまだベテランと言われたくないだろう人たちの活躍を。

都知事杯争奪都民将棋大会 楽屋裏より

 それは土壇場に始まった。
 都知事杯の優勝賞状に都知事の印を準優勝に議長の印を貰わねばならないと言う。
 貰う方はたかが賞状送る側はされど賞状。殊に都知事杯は賞金はともかくこの賞状 が立派だ。
 都のシンボル銀杏の金箔が輝いている。

 まず、賞状の交付願い書を書き、銀杏の入ったブランクの賞状を貰う。そこに中身を埋めて提出し印を貰う。
 手順はこの程度だが現実は面倒だ。

 まず交付願いは
  ・申請書
  ・事業概要
  ・会則
  ・公募要項のパンフレット
  ・会員名簿
  ・予算書
 から構成される。

 その申請書には
  ・行事の名称
  ・開催趣旨
  ・主催
  ・後援
  ・開催期間
  ・開催場所
  ・参加範囲
  ・行事の内容
 などを書かねばならない。
 今回のを見せて貰ったが厚さ5ミリ以上にはなる。

私はその最終工程の印を貰いに行くことだけを請け負った。

 都知事印。

 依頼のメモによると『都の第2庁舎の24階の生活文化部のSさんの所へ』とある。

 エレベーターで上まで行った。無い。ムムムム、謀られたか!
 通りがかりの職員に聞いてみる。調べてくれる。第1庁舎の24階だという。
 役所は時間がくればおしまいだから走る。
 天空に聳える摩天楼だから第1と第2の取り違えは大変なのだ。

 やっとたどり着くと

 『お待ちしてました』

 とやたら根回しは良い。

 交付願いの中にある賞状の文言と賞状の文言を一字一句指で追って確かめているではないか。
 おお、神よもし字句が異なっていたらどうなるのだろう。
 妙に長い間が流れる。

 『はい、では印を貰ってきますからお待ちください』

 と置き去りにされる。 よそのオフィスのど真ん中で独り、変ナノダ。
 やがてお待たせしましたと朱肉の乾ききらない賞状を手に入れた。

 次は議長印。
 例の怪しげなメモに寄れば『第2庁舎の6階の秘書事務担当のSさんの所へ』とある。
 今度は騙されない。電話をしてみたら『Sさんはここにはいない』という、議会庁舎の6階らしい。走れメロス、もう5時になる。
 ところが、議会庁舎は立入禁止の立て札だらけ、しかし人影は無い。そこらじゅうに首を突っ込み何度目かにやっと秘書受付を見つける。

 『ああ、アレね』

 良かった、根回し万全と思いきや

 『申請書が出てないから出せません』

というではないか。役所ですからね。私ごときが粘ったって駄目なのですよ。印の無い賞状と印のある賞状を持ってすごすごと引き上げる。

翌日、万全な根回しの保証の元、再度行くと

 『では調べて間に合えば何処何処に預けておきます』

ということで一件落着。

 予選当日。
 京王プラザホテルへ荷物を運びに行く。
 目と鼻の先の議会庁舎にぐるぐる大回り、さらに入り口までは車を入れさせてもらえず歩道に下ろす。役所だからね。権限のない人に粘っても駄目なのですよ、事前に一言お願いしとけば良かったらしいけど。

ここは入場できる時間がぎりぎりなので準備する時間があまりない。人はどんどん集まるし、時間は経つけど準備は進まない。
 くじを作ってと言われて作ってみる。
 でも、そのくじに対応する席の方の表示は間に合わない。ばたばたしながら何とか予選スタート。さすがに理事長やバイトの学生の手際はよい。
途中で、商品を包装紙に包むという。ゲ、我が苦手ベストテンに折り紙は楽々入るのでこれは見学ということで折り合いをつけてもらう。

 決勝当日。入り口が判りにくいので立っていて欲しいという。
 そうなのです。ここは判りにくいのです。

 『都庁に来てから40分もかかった』

とか

 『あったあったやっとあった』

と喜ぶ小学生のお母さんなど。

 最後は、やはり京王プラザへ車で運搬。これは簡単。
 商品包装と運営は私は向いていませんね。せいぜい運転手と道案内が当たり役。
 ただ、今年は珍しい体験をしたボランテイアなゴールデンウイークでした。

 おしまい。


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