99年7月10日:八ヶ岳・稲子岩南壁



参加者:甲谷・和田



天候はパットしないが前回と同様のツキを信じて出かけることとした。
そんなに厳しいところではないし、過去5回登っているので気は楽だ。とは言っても、いつも中谷の世話で登っていることが多い。今回は易しいとは言え、主体性を持って登ることを目標とした。

稲子湯奥の林道終点に2時到着。満天の星空、又しても晴天。甲谷さんは晴れ男か? しかし彼は宴会帰りなのか?酒臭いは、いびきはかくは、うなされて車のドアーを叩くはで、安眠を妨害される。
真っ青な空、6時を少し回ったころ歩き出す。
相変わらず甲谷さんはハイピッチで追いつくのもやっと。いつものことだ! いずれ動けなくなるのだからと静観する。「今回は距離が短かかったせいか、遅れることはなかった。」(彼の名誉のために追加する)
時間が早いのか、みどり池は静かな憩いの場であり、のんびりこれから登る稲子と硫黄・天狗を眺めて朝食をとる。しかし良く食べる人だ。起きていきなり「いなり寿司」を1パック食べ、更に1.5時間後に握り飯を口にしている。これだけの食欲は私の2倍。羨ましい。食事量とスタミナは比例しているか?
中山峠までの道程の途中から稲子岩末端めがけて薮を漕ぐのだが、いつも入口の判断がつかない。適当に突っ込むが、ぐんぐん直進しているつもりが左によってしまい、しまいには一般道に出てしまった。
一瞬、何が有ったのか、どうなったのか唖然とする。
結局無駄な薮漕ぎをしただけで、ここまで一般道を歩いて突っ込めば良かったのだ。気を取り直して又樹林に入る。
間もなく壁の末端のガレ場に突き当たった。
ガレをひとしきり登ると稲子岩南壁の取り付きへと到着。中谷から貰ったルート図と睨めっこして我々の登る左カンテを探す。
10時、まずは私がトップで登攀開始。易しいとはいえ緊張する。
一歩一歩確かめながらザイルを伸ばす。
この気分だ、徐々にゆとりも出てきたぞ! 乾いた岩肌、緊張の中にも岩場に咲く「イワベンケイ」の花に心安らぐ。古いハーケンを確認してシュリンゲを通す。
いつも中谷のやっていたことを、今自分がやっているのだという充実感が沸いてくる。
甲谷さんも快調に登ってきた。
硫黄岳の爆裂火口が見事だ。2ピッチ目リッジをまたぎ凹角へ。浮き石は有るが快適に登れる。
かぶり気味だがガッチリしたホールドで強引に越える。
ラバーソールの威力なのか、昔の人間にとってはまさしく忍者の道具だ。徐々に高度感を楽しむゆとりも出てきた。甲谷さんも快調そうだ。
3ピッチ目にテーブルの様な張り出した岩が有る。「見覚えが有るぞ!」このテーブル岩で写真を撮った。
35年前、鬼頭だったか、浦野だったか、そんな感傷に浸りながら這い松テラスへ。ここからは階段状の易しい岩を2ピッチ登ると頂上へと続くルンゼである。
甲谷さんも笑顔で上がってきた。
ここからが第2のクライマックスが待っていた。
ザレの頂上は一面「コマクサ」の群落、やや盛りは過ぎたが高山植物の女王だ。岩登りの充実感と開放感、シチュエーションはこれ以上のものはない。心いくまで満喫する。

盛りを過ぎた私だが、甲谷さんとのパーティーで登れたことに感謝、感謝。



記録:和田
写真:甲谷



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