97年12月27日〜98年1月6日:ポレポレキリマンジェロ


キリマンジェロ山



リコーと言う会社は山屋にとって良い会社である。勤続年数に応じファミリーボーナスなる特別休暇がもらえ、今回年末年始の休みに特別休暇をつけてあるツアーでキリマンジェロ山へ登った。


12月27日(土)

ついに出発の日が来た。キリマンジェロへはいつ行くかで大分悩んだものの、仕事の都合もさる事ながら料金は少々高いものの比較的天候が安定していると言われる年末年始に行くことを決め、この日を迎えた。
今日から冬休みに入る会社が多いことから、高速道路や空港はごった返しているものと思っていたが、予想に反してかなり空いていた。不景気を物語っているのだろうか?
空港に集まったツアーメンバーは、20代〜50代の計8名+ツアーリーダー(山岳ガイド)の9名であった。
15:00 PK861便は定刻通りカラチ(パキスタン)に向けて飛び立った。カラチで飛行機を乗り換え、ナイロビまでは23H。長い長い空の旅となる。


12月28日(日)

朝方カラチで飛行機を乗り換え、現地時間13:30ナイロビ(ケニア)空港に降り立つ。
アフリカが自分の足の下にある!
天候は晴れているものの、周囲には雲も多く、乾季とは思えない空模様である。
ケニアでは29日に大統領選挙があると言うことで、街は異様な雰囲気に包まれていた。


12月29日(月)

今日は陸路国境を越え、キリマンジェロの登山基地であるマラング(タンザニア)までの移動である。
大草原の中を延々移動するが、車窓からはシマウマ・ダチョウ等の動物を見ることができ、丸1日かけての移動ではあったが退屈するものでは無かった。
ケニアからタンザニアに入ると道がかなり悪くなる。これも国力の差なのだろうか?
17:20 キボホテル到着。明日からは登山期間となる。


12月30日(火)・曇りのち晴れ一時雨・行動時間:3.5H

5:30 朝を告げる鐘の音が村中に鳴り響き目覚める。カーテンを開けると空にはまだ星が出ているが、東の空が白み始めている。どうやら今日は快晴のようだ! 昨日の雨が嘘のようである。
ホテルへのデポ品・ポーターへ預ける荷物・個人の荷物の最終チェックを済まし、朝食の後出発点マラング・ゲート(1970m)へ車で向かう。


8:40 ゲートへ到着するが、パーミッションが下りるまでここでしらばく待機となる。
キリマンジェロ登山には現地ガイド・ポーターを付けることが義務づけられている。我々のパーティーは現地ガイド3名+ポーター15名にも及ぶ大所帯となる。ポーターが付くため自分たちで背負う荷物は小さなアタックザックのみである。まるで大名登山だ!
「これだから気軽に登れる5000m峰と言われてしまうのだ!」
10:40 やっとパーミッションが下りたと言うことで2700mにあるマラング・ハットへ向けて出発となる。
今日からは高度障害に備えて毎日4Lの水を飲まなければならない。非常に苦痛であるが仕方が無い。何事も登頂優先である。
ゲートで待っている間にガスが下りてきた為に長袖のカッターを着たが、歩き出すとすぐにピーカンとなり日焼けを心配しながらTシャツとなる。
ポーターは頭に荷物を載せ、スタスタ歩いている。今日はほとんど林道歩きの為、パーティーのメンバーとは別に一足先に小屋へ向かう。
14:20 マンダラ・ハット到着。森の中に三角屋根の小屋が点在する奇麗な場所である。
しばらく休憩の後、高度順化を兼ね20分程度登ったところにあるマウディクレーターへ散歩に出かける。
本来はここからキリマンジェロが良く見える場所らしいが、今日はあいにくガスの中で全く見えない。
今年の1月おきた大規模な山火事の影響か? この辺りまで木々が燃えた後がある。
クレーターではカメレオン(体長12cmくらい)を見つける。
今夜の泊りはこのマンダラ・ハットであるが、到着が遅れたこともあってメインダイニングの2Fのベットが割り当てられた。狭い階段を上がって2Fに行くと、屋根裏部屋のような感じで通路の両側に2段ベットが屋根にへばりつくように作り付けられていて、両側で30人程度入れる部屋であった。
ベットには湿っぽいがマットレスがひかれている。この上にシュラフを広げて寝るのであるが、日本の小屋の印象からすると、とても快適な寝床である。
水に関してはレセプションでミネラルウォーターが買えるが、ここではガイドが沸かしてくれたお湯を水筒に詰め、行動用に使用した。食事もすごい! スープに始まり、メイン、デザートと出てくる。
今日の服装:上=Tシャツ(長袖カッター)・下=ジャージ



12月31日(水)・晴れ・行動時間:7H

5:00起床。あたりはまだ真っ暗である。
今日は3720mにあるホロンボ・ハットまで登る。
今日泊まる予定のホロンボ・ハットは、上り・下りの両方の登山者が集まる場所の為かなり混むらしい。
そこでツアーリーダーがベッド確保の為にパーティーとは別行動で先行することになり早々に出発した。
今朝の朝食も凄い! パン・スープ・卵までつく! 山でこんなに食べられるなんて考えたことも無かった! まして全て用意してもらってである。今日の行動用の水(お湯)を、食事の間にガイドが水筒に詰めて持ってきてくれた。
パーティーの本体は朝食を済ませた後、7:15スタート。かなりゆっくりなペースで歩き出す。これも高度順化の一環のようだが私にはかなり遅いペースで物足りない。
約1H進むとマウエンジとキボ(キリマンジェロ)が見え出す。
雪を被ったキボは、やはりアフリカの象徴か?
今日は終始キボが見えている。
今日泊まる小屋はちょうど富士山の山頂くらいの高さであるが、平原を登っているとそんな感じは無い。ちょうど今年の夏合宿で歩いた北アルプスの裏銀座辺りのお花畑の感じである。
標高も3500m台に入りいくつかの小川を越えるともうすぐホロンボ・ハットに到着する。
14:05到着。休憩後、セルテックとO2キャンドルの使用方法に関する講習会を行い、本日も3950m地点まで高度順化の為の散歩に出かける。
今夜の小屋は、ツアーリーダーが先行してとってくれたこともあって、快適な小屋である。
我々の泊った小屋は、6人部屋! 壁に2段ベットが作り付けられた部屋であった。
部屋にはテーブルと椅子もあり、ここが3700mかと疑ってしまう部屋である。今日もふかふかのマットレスの上で眠れる!
ホロンボ・ハットのすぐ下には小川が流れていることもあって、ここでもあまり水は困らない様子であった。今日もガイドにお湯をもらい、今夜飲む分とした。
今夜もスープからデザートまでのフルコース? であった。
今日の服装:上=Tシャツ+ラガーシャツ・下=ジャージ




1月1日(木)・晴れ・行動時間:7.5H

5:00起床。年が変わった。今日は自分がこれまで体験したことの無い標高で泊まることになる。
体調は良好。食欲もある。この日の為に出発前3ヶ月の間に富士山頂に6泊して国内での順化活動を済ませてきたことが功を奏したようである。
足取りも軽い。今日もツアーリーダーはベッド確保の為に暗いうちに出て行った。体調を崩さねば良いが! ご苦労なことである。
昨日と同様の朝食をとり7:23スタート。現地ガイドを先頭に、昨日にましてスローペースで進む。
約2Hでラストウォーターと呼ばれる小川を渡る。もう4000m近いのだろうか?
ペースが遅いせいか? はたまた毎日きちんと4Lの水を飲んでいるせいか? 全くと言って良いほど高度の影響が出てこない。
13500ftのイーストリバーヒルを越えると、こんなところに砂漠があるのか?と思うような荒れた荒野に出る。サドルである。
ここからは今日の宿泊地であるキボ・ハットまで2H程度であり、サドルを越えてしばらく歩くと小屋が見えてくる。
高度が高いせいか?小屋は見えるがなかなか近づいてこない。上からは今日登頂した人々が下りてくる。明日は頂上かと思うとやっと来たかと言う気持ちと共に、「登るぞ!」と言う気持ちが込み上げてくる。
14:50キボ・ハット到着。登山者が泊る棟は1棟しかない。小屋からトイレが少し遠いのがこの小屋で一番不便なところか? 小屋の中にはいくつかの部屋があり、各部屋にはテーブルと2段ベットがあり、定員は14名程度である。
さてキボ・ハットであるが、地図には4703mと書かれている。しかし小屋のプレートには4750mと書かれている。どちらが正しいのだろうか?
少し休憩の後、今日も高度順化の為に4880m地点まで散歩に出かける。
17:00 早い夕食を取る。今日もスープ付きの食事であった。この小屋では水は貴重である。食事に使用するものはポーターがラストウォーターから汲み上げたものである。ガイドから明日の行動用にテルモスにお湯をもらう。今夜の水と明日の行動用の水はレセプションへ行ってUS$5で買って使用した。
お金を払えばミネラルウォーターとビールがどこの小屋でも手に入るのもここでの特徴か?
夕食の際、ツアーリーダーより明日の行動に関する説明があった。明日は1パーティーで登ると言う。既に体調を崩しペースの上がらない者までいる。本当にそんなことでウフルピークまで行けるのだろうか?
18:30就寝。19:30頃トイレに起きて外に出ると、昼間のピーカンは嘘のように雪が降り始めている。
今日の服装:上=長袖オーロン下着+ラガーシャツ・下=オーロン下着+ジャージ




1月2日(金)・曇り・行動時間:9.5H+3H

23:00起床。お茶とビスケットの簡単な食事をとり、0:10ヘッ電を点け山頂へ向けて出発する。
昨日に比べると少し早いスピード! そうそう、この位のスピードで登れないものが、ウフルなんか目指せるわけもない! その内パーティーを2つに分けるだろうと思っていたら、1本たてた後のペースが急にゆっくりとなってしまった。なぜ??? まあ時間はあるさ! そう思うことにしたが、身体に負荷がかからないペースの為か、かなり意識していないと深い呼吸をしていないことに気が付く。
もう少し早いテンポで登ってくれたなら、自然な呼吸ができるのに......
小屋を出たときはガス! しばらく登ったら満点の星空! さらに雪! と、今日はめまぐるしく天気が変わる。
ハンス・メイヤーズ・ケーブを越えると、富士山の砂走りのようなところをジグザグに登るようなルートとなるが、半分くらいのところからは積雪が出始める。
しかし今日は気温が高いせいか?雪が柔らかい! これなら何の問題もない!
6:00になっただろうか? 辺りが明るくなりだしたころ、現地ガイドがウフルに行きたければパーティーを分ける必要があると言い、しばらく協議になるがあまりペースの上がらない者までウフルへ行きたいと言い出し、私としては呆れてしまう。この辺りがツアーの面白いところではあるが迷惑なところでもある。ここでも全員で進むことになり歩きはじめるが、たまりかねた私はパーティーを分離するようにツアーリーダーに要望し、やっと2パーティー化が実現する。
この決断は遅すぎた決断だったと思う。あと1H程度でギルマンズ・ポイントの地点で今更2パーティー化してもウフルまで本当に行けるのだろうか?
更に問題がある。現地ガイドは雪山経験が無いのか?キックステップさえ満足にできない。これには聊か驚く!!
6:50登山者でごった返すギルマンズ・ポイント(5682m)に到着する。
ここで不安は的中した。現地ガイドはこれ以上進むのは危険だと言っている。これは現地ガイドがチップを吊り上げる為のお決まりの台詞である。
ギルマンズ・ポイントの積雪量は1m。ウフルは2mくらいのようだが、雪は柔らかく国内で雪山をやっている者にとっては全く問題は無い!
ツアーリーダーにどうしてこの程度の雪で行けないのか?と聞くが、「諦めて下さい」と言われてしまう。 冗談じゃない! この程度の雪でなぜ諦めなければいけないのか? 天候も曇り! ホワイトアウトしているわけでもなんでもない!!
厳しいようではあるが、技術の無い者だけに諦めてもらえばよいではないか? 国内の山ではない! チャンスは何度も無い! しかも私はこの時点でも全くと言って良い程高度障害が出ていない! 体力も十分に残している!
しかしここで長い時間交渉していたら、体調のおもわしくないメンバーが更に悪くなってしまう。契約の話もある。
頭の中で色々なことを考えたが、最終的に仕方無しに下山に応じる。
後で分かったことであるが、当日日本人パーティーを含む多くのパーティーがウフルピークを踏んでいた。もっと早いスピードで登ってさえいれば、十分チャンスはあったはずである。
これが私が手配旅行をやめ安易にツアーを選んでしまったツケとしたら、非常に高いものになってしまったことになる。
ギルマンズ・ポイント敗退! これが今回の山行の記録である!
7:30 先ほど別れた後組の到着を待って下山する。
ハンス・メイヤーズ・ケーブまでは砂走りのようなところを、まっすぐ下って行く。面白いような下りであるが、約1Hで終わってしまう。
ここからは今朝登った登山道を下りるのであるが、真っ暗の中を登ったせいか? 全く今朝の記憶とは違う! 途中でしばしトカゲをするが、9:45キボ・ハットに戻る。

ここまでの服装:上=長袖オーロン下着+ラガーシャツ+フリース+ダウン下着+カッパ・下=オーロン下着+ジャージ+フリース+カッパ

今日はこれからホロンボ・ハットまで下らなければならない。
ハットのベットで横になっていると、悔しさだけに支配される。
11:00頃ガイドがパンと紅茶の簡単な昼食を持ってきてくれるが、皆食欲が無いようで手を出さない。バクバク食べているのは私だけ!!
12:15キボ・ハットを後にホロンボ・ハットを目指し下山を開始する。
サドルを通過するとガス帯に入り、雨が降り出す。
もうバンバン下るしかない! 早くホロンボ・ハットに着いてビールでも飲みたい気分だ!
15:20 ホロンボ・ハット到着。
長い一日が終わった。

今日も豪華な夕食! ビールはUS$2で水よりも安い!
下山時の服装:上=長袖オーロン下着+ラガーシャツ(+カッパ)・下=オーロン下着+ジャージ(+カッパ)


1月3日(土)・晴れ・行動時間:6H

5:30 うとうとしていると雨音が聞こえ、今日もまた雨かと思う。
6:00 起床。外に出てみるとなぜか晴れている! 私の泊った小屋の裏手に水場があり、朝食の準備の音だったことに気が付く。マウエンジが昨日降ったのであろうか、雪を頂いて朝日に輝いている。
我々もまた雲海の上にいる。6Hも下れば全てが終わるかと思うと、寂しい気持ちでいっぱいである。
7:15 下山開始。今日もバンバン下る。登りでこの1/100でも良いから力を出してくれたならと思いながら...... 振り替えると真っ白に化したキボが我々を見送ってくれた。
10:30 マンダラ・ハット到着。しばし休憩の後、一気にゲートへと下り出す。
12:54 ゲート到着。ツアーリーダーが事務所で下山手続きを行った後、下の広場で我々のパーティーに付いてくれていたガイド全員とポーター全員と記念写真をとり、迎えのバンに乗り込み13:30ゲートを後にキボホテルに向かう。
今日の服装:上=Tシャツ+ラガーシャツ(マンダラ・ハット以下はTシャツのみ)・下=ジャージ



今日の泊りはアリューシャのモンベラ・ロッジであるが、途中アリューシャ国立公園の中を横切る。
こんなところに? と言うような道の真ん中にキリンがいる! キリンって草原にいるものと思っていた私は、印象が変わってしまう。
19:00 ロッジ到着。今日はパンクはするは、車が穴にはまるはで、楽しませてくれる移動だった。




1月4日(日)・晴れ

ついにアフリカを離れる日が来た。
少しだけミニサファリをすると言うことで、アリューシャ国立公園のゲートに向かう。
国立公園の中に入ると今日はちゃんと草原にキリンがいる。やっぱりキリンには草原が似合う(偏見かもしれないが)。近所にバッファローの群れもいる。
象やライオンも見たいと思うが、そう簡単にはいかない。今日はバッファロー・キリン・サル・etcで終わってしまう。
あとは18:15ナイロビ発の飛行機に乗る為に、車は100km/h以上のスピードで一路ナイロビを目指す!
ナイロビの市内のレストランで遅い昼食(ゼブラを食べる)をとり、16:00空港に到着する。
途中ローカル空港にDC3がいっぱい止まっていた。もう博物館でしか見られないと思っていたが、ここではまだまだ現役なのだろう!
18:05 PK-744便はカラチに向けてゲートを離れる。帰りは32Hもかかってしまう! 気が遠くなる時間だ!


1月5日(月)

4:10 トランジットの客でごった返すカラチ空港に到着。眠い! 入国審査を越えるのに手間取るが、ギュウギュウ詰めのシャトルバスに詰められて、5:45やっとのことでホテルに入る。
昼頃起きると、皆はオプションツアーに出かけるとのことで、航空券をもらって自力でChek-inし、空港で合流することとしてロビーで別れる。
コンピューターがダウンしてボーディングパスをもらうのに数時間も待たされるは、ホテルからは早く出て行けと言われるは、タクシーは危ないのでやめたほうが言いと言われるは、シャトルバスが良くわからないはで、何だか良くわからない国である。ホテルで知り合った他のツアーの添乗員の方に大変お世話になる。
どこの添乗員の方だか聞くのを忘れてしまいましたが、その節は大変お世話になりありがとうございました。
19:30 1時間遅れでPK-860便は成田に向けて飛び立つ。


1月6日(火)

窓から九十九里の浜が見えてくる。やっと成田か! バンコク・マニラを経由して、長いフライトであった。パキスタン航空は酒が出ないことも退屈の1因か?
13:30 成田到着。
これで今回の山行の全てが終了する。

記録:澤田



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