2007年6月30日:前穂高岳・北尾根



参加者:CL中谷・山中・滝



6月30日雨
今回参加したのは山の会に入会して1年の経験が浅い2人。リーダーの中谷さんも内心かなり心配されたのではないか。本人たちも前穂まで登りきることができるか不安なものがあった。滝さんは20代でサッカーもやっているので体力的な心配は無いが経験が浅いので登攀技術に、山中のほうは還暦を6月に向かえ特に体力面で不安があった。

雨の上高地を7:40出発。明神、徳沢、横尾で休憩。横尾に着くころには肩が痛くなってきた。家をでるとき測ったザックの重さは15kg。そこに共同装備のザイル4kgが加わり温泉セットを車においてきたのでトータル17〜18kgある。

本谷橋を過ぎるころから急坂になりだんだんしんどくなって来てた。若い滝さんは中谷さんにぴったりついて足取りも軽やかそう。涸沢ヒュッテある丘が見えるあたりから雪渓歩きとなる。さらに歩くのがしんどくなってくる。休憩の時間ばかりきになりだす。
やっとのことで涸沢ヒュッテに到着。上高地からかかった時間を山と高原地図の標準時間と比較してみると、休憩時間を入れても今回のほうが少ない。やはりペースは、速かった。ここで長めの休憩。今日の夕食と明日の朝食の水を補給。水の運搬は免除してもらった。

本日の目的地の5・6のコルに向かって、涸沢カールの大雪渓を歩きはじめる。コルに向かって回り込む手前でアイゼンを装着して登る。急坂をジグザグに2時間ほど登り雪渓に平らな面(バケツ)をつくり一休み。
先頭の中谷さんは雪渓に蹴りを入れながら足場を作ってくれるので後に続くものは比較的楽に登れる。最後は練習のため自分たちで登るように言われ、滑り落ちそうで慎重に登った。雪渓は5・6のコルの数十メートル下まで残っていた。

 ・5・6のコルまでの雪渓にて
5・6のコルまでの雪渓にて

16:40コルに到着。三人でがっちりと握手。うれしさがこみ上げてきた。もう動きたくないとの気持ちだが、明日目指す北尾根は一般ルートではなくバリエーションルート。踏み後の怪しいルートをたどることになるので5峰の偵察が必要との事。身軽して5峰を3人で偵察後、テントを張りビバーク。スペース的に2張りはれるかどうかのスペースがある。夕方には雨も上がり外にいても気持ちがよい。

 ・5・6のコルにて
5・6のコルにて

7月1日晴れのち曇り
さあいよいよ今日は本番の北尾根登攀。天気もよく奥穂高の北穂高もくっきりと姿を現す。5:00出発。昨日昇ってきた雪渓を見下ろすと4〜5人のグループが見えた。これからここまでくるのは大変だろうなと思いながら5峰を快調に登る。

4峰ではルートがはっきりしないため若干時間がかかった。3峰の手前で登攀具を取り出し装着して登る。ザイルでの登りは3〜4ピッチ。ルート取りが良かったせいかあまり難しいと感じるところは無かった。3峰の途中よりザイルをザックに収納して、後は登攀具なしで山頂を目指した。3峰の頂上からは槍ヶ岳まではっきり見える 前穂高着は8:42。一番のりで山頂に立てた。3峰を過ぎてからはあっけないほど簡単に到着した感じがする。奥穂高岳の展望もよくここで大休止。展望写真もバッチリと撮れた。

 ・前穂高岳頂上にて1
前穂高岳頂上にて

 ・前穂高岳頂上にて2
前穂高岳頂上にて

後から4人のグループ(こちらはガイドツアー)はロープを4人でつなぎながら登ってきた。それと単独の年配でいかにも山男という感じの方でこれから明神岳に向かうという。昨日は涸沢ヒュッテに泊まったようだ。このグループで驚いたのは、5・6コルを出発したとき遥か下の雪渓を登ってくるのが見えたが、われわれが3峰をザイルで登っているときに先頭が追いついてきたこと。その登攀の速さに感心してしまった。

 ・ザイルを使った登り
ザイルを使った登り

山頂を一番最後におり、重太郎新道から前穂高岳登山道を下り途中の天然クーラーの涼風をうけ上高知に到着13:40。

今回のコースは急な雪渓登り、踏み後も怪しい岩稜の登り下り、本格的な登攀とザイル操作など盛りだくさんで変化富んでいて思いっきり楽しむことができました。しかし体力的にはかなりきついものがあり、次回からは少しでも荷物を軽くして参加したいと思いました。
初心者の面倒を見た中谷さんの心労は大きかったかも。中谷さんありがとうございました。


(追記)
山中さんにすばらしい文章を書いていただいたき、当日の現場の雰囲気がありありと目に浮かぶであろうので、ここでは、僕の心情、感想に重点を置いて文章とする。
今回は、今まで中谷さんに借りていた装備類をほぼ全て自分で揃えた初めての山行となった。誰でもそうかもしれないけど、新品の物を使うのは嬉しいし、これから自分の武器とでも言うべき装備を使い込んでいく楽しみもあり、山に行きたくて仕方ない気持ちでいっぱいだった。

そして、迎えた当日、いつも中谷さんに持っていただいているものを三人で分担して運ぶこととなったので(このことはほんと申し訳ない気持ちでいっぱいだった)装備はやや重い。けれど、そんなことは全く感じなかった。それは、新品を使う気持ちもあるだろうが、これから向かう場所がどんなところなのかわくわくしていたからだと思う。今までとは山に対する気持ちにずいぶん変化が現れてきている気がした。 ただ、涸沢までの明神、徳沢、横尾までは平坦な道が続くので、若干眠気が襲ってくることもしばしばだった。

ところが、涸沢ヒュッテが見えた瞬間、雪渓が目の前を覆い尽くし、初めての体験に目がぱっちり覚めて、がむしゃらに登った。さらに、ヒュッテを越えてさらに雪渓の傾斜がきつくなると今度は難しさを感じるようになった。アイゼンを使った初めての雪渓あるきにいやがおうにも緊張感が走った。5・6のコルはもう目の前なのに雪渓の壁が立ちはだかりなかなか前に進まない。やっとのことで、5・6のコルに着いて、自分たちが登ってきた雪渓を見たとき、思わず息を呑んだ。

 ・5・6のコルから見た雪渓
5・6のコルから見た雪渓

そして、お楽しみの夕ご飯。毎度、楽しみなお酒も中谷さんがウィスキーを持ってきていたので、それを頂き、ほろ酔い加減でドライカレーと野菜たっぷりの味噌汁を飲んで、酔いとともに就寝。

7月1日
この日はとにかく良く晴れた。前日の雨を考えるとつくづく付いているな〜と思う。ただ、前穂高までの道のりは決して楽なものではなかった、山中さんの記録のもある通りふみ跡も少なく一歩間違えれば谷底へ。と考えるばかりで山中さんに撮ってもらった写真も顔は笑っているが内心はびびりまくり。あの瞬間ほど、二度とこんなところには来たくないと思ったことはないと思う。そんなびびりまくりだったからか、あっという間に頂上に到着。 そこでは、今までのびびりまくっていた気持ちが嘘の様に消えた。飛行機に乗ったときぐらいにしか見えない雲の絨毯がそこ一面に広がっていた。そこでの空気は言葉でも、写真でも表せない。そこに、立った人のみが、苦労してそこまで登った人のみが味わうことのできる特権だと僕は思う。

その後、重太郎新道を通り無事に下山することができた。この、無事にというのも、大事なことだと思う。

ここは、山中さんと少し重複してしまうが、今回は行きと帰りの車をずっと運転していただき、慣れない二人の面倒を見ていただいた中谷さんには感謝しても感謝しきれません。今は毎回毎回が勉強なので、一刻も早く中谷さんに一歩でも近づけるようにがんばります。

最後に、山中さん、せっかく撮っていただいた前穂高頂上でのシングルショットがピンボケしていました。きっとこれはまた来いよという証だと思うので、またぜひいつかトライしましょう!!

記録、写真:中谷、山中、滝





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