Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

第55弾:選手がみせた、その横顔 45

Inside the RICOH BlackRams

2012.08.24

 リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。

多くの人の支えで掴み取った"大学準優勝" 社会人になって、プレーで恩返しをしたい(藤原丈宏)

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 昨シーズンの大学選手権。
関西勢として24年ぶりに決勝戦に進んだ天理大学。倒されても素早く立ち上がり、テンポを上げて攻めたてるラグビーを披露し、三連覇を狙う王者・帝京大学と堂々渡り合った。結果こそ準優勝に終わったが、自分たちのスタイルを貫く天理大学のラグビーに国立競技場は何度も沸いた。その天理大学でPR(1番)を務め、FWリーダーとして躍進を支えたのが、今季リコーに入社した藤原丈宏だ。

身長は172センチとPRとしては、けっして大きくない。
「だから仕事量で勝負するしかない。どれだけ動けるか。リアクションのスピードは常に意識しています」
ほぼ同じ身長で日本代表に入り、同じPRのリコー・長江有祐は、京都産業大学にいるときから目標にしてきた存在だった。

「春はジャパンに招集されていたので、あまりお話しする機会はなかったのですが、時々ウェイトトレーニングで一緒になることはありました。自分と全然違う重さでやっているのを見ては、すごいなと。サイズは変わらないけれど中味が違う。まず、長江さんは、入部1年目からトップリーグの試合に出ていましたよね。PRは大学と社会人の差が大きいポジションの1つなのに」
社会人1年目のプレーヤーとしてそのレベルを体感し、憧れの人のすごさを、改めて知った。

「社会人の練習の印象? 目的がしっかり示されていると感じました。なんのためにやっているかの説明がきっちりされている。だから集中できます。選手からも限られた時間の中で成果を上げようという意識の高さを感じます。天理大学も目標を掲げてやる部分は似ていたかもしれません。でも、時間については、できなければできるまでやることが多かった。自分は不器用で、何かができるようになるまでに時間がかかるほうだったので、大学のやりかたは合っていたと思います。
今は、夢中で取り組んで、もうちょっとやりたいなと、思っているところで練習が終わることがあります。これはもちろん自分の問題。理解力を高めて、『社会人ラグビーの練習』の中でも着実に力をつけていけるように変えていきたい」

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 ラグビーは中学校で始めた。それまではスポーツを始めても続かず、どちらかといえば家の中で遊ぶ方が好きな子どもだった。
「そんなだから、小学校4年生くらいの時にはいじめられたりもしていたんです。でも6年生ぐらいになって身体が大きくなったら自信がつき、そんなこともなくなった。それで、中学校に入って何かに挑戦したいな、という気持ちが湧いてきて」
そんなとき先輩から誘いを受け、入部を決めた。藤原の通った大阪市立東生野中学校はラグビーの名門だ。父親も同中学出身でラグビー部に所属、副キャプテンを務めた縁もあった。

「練習はすごく厳しかったです。スポーツ経験がないわけですから、耐えられずすぐに辞めようかと思った。でも、周りも同じで辞める仲間が出てくる。そうしたら『辞めたら負け』みたいな気持ちになってきたんです」
気づけば部活に出てこなくなったメンバーを家まで呼びにいくような役目になっていた。リーダーシップを買われたのであろう、上級生になると父と同じ副キャプテンとなっていた。入部当時は、今と変わらない身長がありながら体重は50キロ台だった藤原は最初WTBだったが、2年生で70キロ、3年生で80キロとウエイトを増やしていく。ポジションも前方のポジションに変わっていくと大阪の選抜チームに選ばれた。その試合でやはり名門の天理高校の関係者の目に止まり、誘いを受け進学を決める。大学も天理大学へ進み、冒頭の大学選手権決勝戦進出の快挙に至る。

だが、丁寧な言葉遣いで、冷静に自分の言葉で話す好青年藤原が、少しだけ感情を露にしたのがこの決勝戦の話だった。

「目標としてきた場所にたどりつけたという意味ではうれしいです。でも、試合については思い出したくない。正直、まだビデオも見られません。間違いなく人生で一番悔しい、一生忘れられない出来事です。FWはみんなそう思っていると思う」

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 多くの人が称賛した"準優勝"も、藤原にとってはただただ悔しい思い出でしかない。
「負けてよかったというのはおかしいけれど、次、頑張るための活力にするしかない。社会人になった今、これまで支えていただいた皆さんにプレーで恩返しをしたい。しかし、ハードルは思った以上に高く、険しいです」

悔しさを力に変え、目の前をかすめて消えた"日本一"を獲り直す。
リコーの新人・藤原にとってトップリーグはそのための絶好の舞台だ。

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