第50弾:選手がみせた、その横顔 40

Inside the RICOH BlackRams

2012.07.20

 リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。

今シーズンは、とにかく『自分』にこだわる、 それがチームの結果に繋がると信じている。(相 亮太)

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 リコーラグビー部に入部して9年目のシーズンを迎える相 亮太選手。
キャリア2年目にあたる2005年以降、ほぼすべての試合で、それも最前線で身体を張ってきた中心選手である。

昨年は怪我で公式戦出場は1試合。円熟期を迎える彼は、チームのために、そして自身のために捲土重来を期す。

「実はルーキーシーズン、試合にほとんど出れず、少し自暴自棄になりかけたこともありました。ただ、ある先輩の言葉でスイッチが入りました。『ここであきらめたら一生後悔するぞ』と。その先輩ですか? 名前を出すと怒られちゃうからなぁ・・・。滝澤さんです(笑)」

そこから相は、一昨年までの公式戦ほぼすべてに出場を果たしてきた。また2006年には日本代表にも選出されていて、リコーラグビー部で輝かしいキャリアを持つ選手の一人である。

「友だちから『アイスをもらえるから』と誘われてラグビースクールに遊びに行って、やってみたら『これだ!』と思いましたね。実は私の実家がJリーグ・浦和レッズの選手寮の向かいだったこともあってレッズサポーターです。ですから、自然とサッカーもやっていたのですが、サッカーは少し接触するとすぐにレフェリーに笛を吹かれてしまう。これに違和感があって・・・。一方、ラグビースクールでは、相手にあたっていく。つまりコンタクトスポーツ。しっくりきていました(笑)」

自身がプレーするのはラグビー。ただ、今でも浦和レッズのことは気にしているという。
「レッズは街のシンボルです。街全体がレッズへの強い思いを共有していて、あの何とも言えない、醸し出される雰囲気がたまらなく好きです。最近はあまり観戦にいってませんが・・・。機会があれば、ぜひまた埼玉スタジアムに足を運びたいですね」

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 これまで、このコーナー「Inside the RICOH Black Rams」で、様々な選手に取材を行ってきたが、若手の選手たちから相 亮太の名前が挙がることがとても多い。
「それは嬉しいですね。最近になってここまで積んできた自分の経験を、他の選手にうまく言葉で伝えることができるようになってきた気がします」

それは彼が将来、教員を目指すために、大学院修士課程を修了していることと関係があるのだろう。

「実は高校を卒業するとき、『学校の先生になる!』と周囲に宣言していたんですよね。ただその後、大学、社会人とラグビー漬けの毎日で・・・。ふと"ラグビーしかしていない"自分に気づきました。これではいけない、と。職場(リコー)のご理解も頂くことが出来て、大学の教職課程に通い始めました。ラグビーを一生懸命やることは当然として、もう一つ、目標として教員免許を取得する。この2つの目標に取り組み続けました。学生時代は勉強なんてあまり好きではありませんでした(笑)が、この年になって改めて勉強というものがおもしろくて。そしてそのまま大学院に進み、修士課程を修了したことで、この目標に関してはひとつ区切りがつけられたと思っています」

そして今シーズン。ラグビープレーヤーとして勝負の年だと相はいう。

「昨シーズンは、チャンスを逃してしまった。今シーズンは、それを絶対に取り返したい。一人のプレーヤー・相 亮太として、常に"昨日よりも一歩先"を目指しています。自分へのこだわりです。このことが、チームとしていい結果を得ることに繋がると信じています。
今の日本代表で、以前一緒にプレーした伊藤さん(鐘史選手、神戸製鋼、2009年までリコー在籍)、他にも同年代の選手たちが頑張っています。このことは、もの凄く刺激になります。
彼ら代表選手たちは、ラグビーの話をするとき、その主語が"自分"ではなく、"チーム"なんですよね。"リコーはね、"と自然と話せるような、そんなチームになりたいと思っています」

普段のオフは、一人で大好きな珈琲を飲んで過ごすことが多いという。ただグラウンドで若手の顔を見ていれば、なにか悩んでいるなと分かるので、その時は声を掛けて食事に連れていくこともあるという、まさにチームの良き兄貴的存在である。最後に、弟である相 紘二選手について質問をしてみると、「(聞かれると)少し困惑もするのですが・・・」と前置きして答えてくれた。

「口にはあまり出しませんが、やはり気になります。ついつい厳しい口調になったり。弟も同じチームでやりづらいところもあると思います。ただ、弟は頑固で不器用な人間です。その一方で、周囲から愛されているとも感じます。またラグビーについても意外と天才肌で、自分より才能は上。なんて言ったら良いのでしょうか・・・。兄から見て、彼は正しい道を歩いていると思います」

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 今シーズンに向けた強い決意を語ってくれたときの表情とはまた違う、兄としての愛情溢れる表情を見せてくれた相 亮太選手。

自分へのこだわり。
そして、チームとしての"結果"を勝ち取る。

そのために信じて行動し、並々ならぬ決意を持ってシーズン開幕を待つ。

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