Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

~ラグビーW杯2015を終えて~ マイケル・ブロードハースト編

2015.11.13

 日本代表のFLとしてラグビーワールドカップ(RWC)全4試合に先発出場し、南アフリカ代表戦での歴史的な勝利などに貢献したマイケル ブロードハースト選手がチームに戻ってきました。 RWCでの出来事と、次なる戦いトップリーグに挑む今の気持ちを聞きました。

7、8月のPNCを終えて、スイッチが入った感じがあった。

——まずはお疲れ様でした。RWCでは大活躍でしたが、帰国後はリコーでの生活にうまく戻れていますか?

10月13日に日本に戻ってきて、2週間ほど家族と過ごさせてもらいました。この5、6ヵ月は子供たちとの時間が持てなかったので。動物園に行ったりしました。

それで今朝(10月27日)が初セッションでしたね。フルタイムで練習しはじめたら問題なくやれると思います。いいシーズンを過ごしたいですね。RWCは規模の大きな大会なのでそれを終えてすぐにトップリーグに集中するのは難しいという人もいます。でも僕はリコー所属なので頑張らないと。いいパフォーマンス見せなければいけないと思っています。ケガもないしね。

——激しい試合が続いたので、ケガだけは心配しながらテレビを観ていました。

神さん(神鳥裕之監督)からも、出発前に気をつけてと言われてました。

——いいメンタルに見えます。
(photo by Akio Hayakawa / Studio Aqira )

タフな6ヵ月でしたけど、トップリーグでのプレーはずっと意識してきました。帰ってきてお休みと言うのは簡単だけど、しっかりいいプレーをしたいと思っているよ。

——RWCを振り返って。この4年間、かなりの時間代表としてプレーしてきたわけですが、RWCに向かう5、6ヵ月は別の空気みたいなものがあったのでしょうか。

7、8月のパシフィックネーションズカップ(PNC)から、9月のRWC開幕まででもだいぶ違ったね。スイッチが入った感じがあった。RWC本番でいいプレーができるようなトレーニングができていたんだと思う。PNCはミスが多かったでしょう。ターンオーバーもよくされていた。あの頃もハードにやっていたし常にいいプレーをしようとはしていたんだけど。

それなのに、なぜかはわからないけれど、RWCでは断然いいパフォーマンスができた。メンバーの中の無意識的な「いいプレーを」っていう気持ちが高まったのかもしれない。

雰囲気が違うというのもありますね。期間中は記者やレポーターのような人たちがどこにいってもいたので。あそこまで注目されるのにメンバーは慣れていなかったけれど、結果的にそれはプラスだったと思う。悪いプレーをすれば誰かが見ているっていう意識が、いいほうに働いたんじゃないかな。

——大会に向けたステップが、うまくプログラムされていた。

RWCは試合の間隔が短かったりもしたので、それを意識したんだと思うのだけど、今年はある程度疲労が溜まった状態で試合をすることが多かった。それで疲れた状況でプレーするのに慣れることができたんです。当初は、エディー(ジョーンズ日本代表チーム前ヘッドコーチ)に「疲労がたまり過ぎている。いいプレーができない」と伝えたこともあります。そうしたらわかっていると。「RWCは、これに比べれば楽な状態でプレーできるようになる」という説明がありました。タフな期間がずっと続いたけれど、フィジカルだけではなくメンタルも鍛えられたと思います。

南ア戦の逆転トライの瞬間は、全部出し切り逆サイドで倒れていました。

——いちばん印象に残っているのは、やはり南アフリカ代表戦でしょうか。

その試合になりますね。WTBカーン(ヘスケス)が最後のトライを決めたときのスタジアムがどよめく様子は本当にすごかった。僕は疲れ果てて、グランウンドで倒れていたんだけど。

——あの瞬間は……

トライの起点となった逆サイドのラックには入っていたので、そのあたりにいました。何度も流れた映像には映ってないのかな。走っていって、みんなの喜びの輪に入っていく余裕はなかったですね(笑)。

ボールキャリーをする場面はあまりなかったけど、ラックは50以上入ったのかな。それくらい入るとかなり疲れます。普通の試合は目立っていいパフォーマンスを見せる選手がいるものなんだけど、そうじゃなくて全員がいいプレーをしていたと思います。あとは試合を通して突き放されている感じがなかった。

プレマッチの結果で見えた宿題もこなして、しっかり準備できた。5ヵ月、6ヵ月、ずっとスプリングボクス(南アフリカ代表)に勝つことを考えてやってきていたし、みんなは勝つと思っていなかったかもしれないけど、僕らは必ず勝てると思って試合に臨んでいました。

——個人的にフォーカスしていたのは?

相手の7番に負けないこと。だから繰り返しラックにも入った。ターンオーバーされる数を増やしたら負けるのはわかっていたので。PNCではターンオーバーをかなりされたので繰り返すまいと。

——イングランドでは、多少リフレッシュする時間はあったのでしょうか。
(photo by Akio Hayakawa / Studio Aqira )

オフはあったけど。必ず何かしていました。リカバリーだったり、ウェイトトレーニングだったり。どこかに行くような時間はなかったです。

——リカバリーで海に入って魚に……というアクシデントもありましたね。

背中に針がある魚らしくて。そこに毒がある。刺された選手の足はものすごく腫れていました。でも、あのビーチで刺されるのは年間2人くらいらしいので、かなりのアンラッキー。予測するのは難しいよね。

——南アにもトップリーグでプレーしている選手が何人かいたと思います。それはやりやすいのでしょうか、やりにくいのでしょうか。

NO.8のスカルクバーガー、SHのフーリー デュプレア(ともにサントリー)、WTBのJP ピーターセン(パナソニック)。どういうプレーをするのかがわかっていたのはプラスかな。僕が主に対応する第3列の選手は、バーガー以外はどちらかというとボールを持って突っ込むタイプで、唯一策を講じてくるバーガーのプレーを間近で観ることができていたのはよかった。

バーガーとは試合が終わってから話す機会がありました。彼はチームメイトに絶対に日本を軽く見るなと伝えていたらしい。でもリラックスし過ぎた状態で試合に入ってしまったと残念がっていました。次からは警戒してくるでしょうね。今回みたいに静かに近づいていって倒す、というわけにはいかないと思います。

——「世界で勝てばラグビーは注目される」と信じてきましたが、確信があったわけではありませんでした。今回の勝利でそれを証明してくれました。

反響の大きさに、日本全国からサポートされてきたんだなと改めて感じました。選手が注目されて、僕らのことをもっと知りたいと思っている人が増えているのはありがたいこと。日本のラグビーにとっても幸せな状況だと思います。

小さい子供でラグビーをやりたいって言い出す子供も出てくるだろうし。今だけではなく、次のジェネレーションへのいい影響があると思う。この間なんか、サッカーボールにサインしたよ。サッカー少年にラグビーに興味を持ってもらえたみたい(笑)。

リコーも今以上に勝てばサポーターは増える。応援しているチームが負けているのはできれば見たくないものだろうから。キヤノン戦に応援に来てくださっているくらいたくさんの方々が、いつも観に来てもらえるように、その上で毎試合勝つ。勝ち続けるのが大事ですね。

今度はリコーで勝って、リコーの新しい歴史をつくる

——世界に挑んだ日本、トップリーグの上位に挑むリコー。構図は似ているように見えます。

リコーにはいい選手がたくさんいる。力は十分あるので少し状況は違うかな。本人たちはそう思っていないかもしれないけど。FWパックはトップリーグで一番いいとすら僕は思っています。絶対にいいところまでいける。

NO.8ノグ(野口真寛)も帰ってきたし、話だとFL福本(翔平)がいいと聞いています。さらに小松(大祐)がCTBをやる。あとは相手をリスペクトしつつ、絶対に勝てると思って戦うこと。勝ってリコーとしての歴史をつくりたいですね。僕もRWCで3試合に勝ち、負けたくないという気持ちはすごく強くなっています。

——リコーに日本代表でもやれそうだという選手はいますか?

FBのナキ(アマナキ ロトアヘア)かな。いいコーチングを受けてハードトレーニングをすれば、もう一人のナキ(日本代表で活躍したアマナキレレイ マフィ/NTTコム)にも負けない選手になれると思う。FWだといいフランカーがたくさんいる。ただ代表ではラインアウトで飛ぶことを求められるので、代表のバックローはみんなジャンプできた。それも磨く必要がある。
LOのポヒ(ロトアヘア大和ポヒヴァ)もかな。今シーズンのプレーを見てみないとわからないけど。あとはタキさん(HO滝澤佳之)。若いときに代表に選ばれてもよかったはず。本人がどう思うかはわからないけど。日本代表のヘッドコーチも変わるので、それによって求められるものも変わるだろうね。

——若い選手が増えています。彼らの物怖じしない勢いも、チームに生きるのでは。

若手が頑張ることは年長者にとってはプレッシャー。それはチームにとってはプラス。競争があれば、シニアプレーヤーももっといいプレーしようとするからね。僕だって同じ第3列の福本がいいと聞けば、100%素直に喜ぶことはない。僕らの場合は外国人出場枠もあるし、やらなければ! と思う。

——今年はインターバルなしの集中的なシーズンです。

RWCが終わってもトップリーグでしっかりパフォーマンスしたいと思ってきましたが、集中力を保つのには限度がある。だから日程が詰まっているのはありがたい。やりやすいと思っています。

というか、以前からトップリーグのインターバルは長いと思っていたんです。イングランドは30試合くらい続けてやっているようだし。全然大丈夫です。

——今回のRWCで選手としての目標は変わりましたか。

特にそういうことはないけど、これまで以上にリコーでのプレーに集中して、このチームで優勝すること。家族との時間を大事にしながらね。それが目標になるのかな。

——最後に、RWCをブロードハースト選手中心に見ていたであろうファンの皆さんにメッセージを。

RWCでは応援ありがとうございました。皆さんのためにプレーしていました。トップリーグでもいいパフォーマンスをお見せしたいと思いますので、ぜひスタジアムに足を運んでください。皆さんのために勝ちます。

—今日はありがとうございました。

FL マイケル ブロードハースト(Michael Broadhurst) プロフィール

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