Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

FL/NO.8ジェームス・ハスケル選手インタビュー

2011.11.25

 今年9月から10月にかけてニュージーランドで行われたラグビーワールドカップ2011に、イングランド代表として参加したFL/NO.8ジェームス・ハスケル選手は、10月後半の合流以来急ピッチでチームへのフィットを図り、トップリーグ開幕戦から出場しています。短期間でチームに馴染みつつあるハスケル選手に、来日を決意した理由やラグビー観、山品博嗣監督やレオン・ホールデンヘッドコーチ、メンバーの印象を聞きました。

日本に来たのは、自らを成長させるためのチャレンジ

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―― はじめまして。まず、W杯が終わってから、日本に来るまではどんな時間を過ごしていたのかを教えてください。

 イングランドにとって、W杯はフラストレーションの溜まるもの(準々決勝敗退)になってしまいました。個人的にも、最後のゲームとなった10月8日のフランス戦の先発メンバーに選ばれなかったこともあり、やはり同じ気持ちでした。
 そんな気持ちを吹き飛ばすためにも、すぐにトレーニングしたかった。元々長く休むのがあまり好きではないので、イングランドに戻るとすぐに知り合いのジムに行き、MMA(Mixed Martial Arts/総合格闘技系のトレーニング)をしていました。トレーニングが終わってからは、友人に会ったり、ロンドンに戻るのは2ヵ月ぶりだったので、多くのコミュニケーションの場を持ちました。ワスプス(ロンドンのラグビーチーム。ハスケル選手が17歳時より所属したプロチーム)にも戻って、何回かセッションさせてもらいました。

―― すぐにトレーニングしたということですが、リフレッシュできましたか。

 イングランドにいたのは10日間くらいでしたが、その中でも何日かは休めたので大丈夫です。

―― 来日時の気持ちはどんなものだったでしょうか。

 今回は一人で来日しました。自分の体とバッグ3つ。それ以外は未知の環境で、自分はまだ日本語も話せません。そうした意味では少しナーバスでした。でも、皆さん非常に歓迎してくれて。住む家も万全に準備していただきました。タマティ(・エリソン)とロイ(・キニキニラウ)も近所に住んでいるし、グラウンドからも近いので安心して暮らせています。

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―― 日本に来ることを決めた理由はなんだったのですか。

 まず、トップリーグに優れた選手がたくさんいるということ。多くの外国人選手はキャリアの終盤で来ますが、僕は真っ最中。自らを成長させるためのチャレンジとしてトップリーグでのプレーを選びました。リコーを選択したのはNZ代表のCTBマア・ノヌーがサインしたという話に刺激を感じたというのもあります。バックローの選手として、彼の後ろからボールをもらうプレーを一度はしてみたいと思いますよね。

―― ハスケル選手にとって、慣れ親しんだ環境以外でプレーすることは成長するために重要なのですね。

 場所が変われば、チャレンジすべきテーマは自然と変わります。自分はイングランドを離れ、フランスでプレーしてきましたが、移籍を決めた直後、皆が賛成してくれたわけではありませんでした。それでも自分が成長するためには行くべきだと判断しました。その決断は正しく、成果はあったと感じています。
 若い選手が多いリコーでは、どちらかと言えば、僕はシニアプレーヤーに入ると思います。誰かについていけばいい、という立場ではありません。できるだけプロフェッショナルにふるまう努力をしなければいけないと思っています。日本で、自分がチャレンジすべきテーマになってくるのはそのあたりでしょう。ニュージーランドに行けば、そこにはまた別のテーマがあるでしょう。今ぐらいの年齢から、いろいろな環境で、いろいろなスタイルのラグビーを経験し、いつか戻るであろうワスプスで活かしたいと考えています。

―― リコーブラックラムズがどんなチームか、どんなラグビーを目指しているかは、聞いていたのですか。

 はい。山品監督からはよくEメールをいただいていました。レオンとは電話で話すこともあって、ラインアウトのコールなど、具体的な部分についても説明してもらっていました。僕が初戦から出ることになった時、チームのメンバーはコールを知らないんじゃないか、と少し心配していたみたいですが、準備はできていました。

山品監督はハードワーカー、レオンは誠実でオープン

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―― 山品監督、かつて指導を受けてもいるホールデンヘッドコーチはハスケル選手からみて、どんな指導者ですか。

 山品監督は、僕が今まで会ってきたコーチの中では、ハードワーカーに入ります。素晴らしいと思うのは世界中のラグビーのシステムに精通していて、何がチームのためにベストなのかを考えて選んでいること。日本のラグビーには伝統を守るところがあるとも聞いていましたが、山品監督は新しいアイデアもあり、いろいろな人の話をよく聞き、効果的と思えば採りいれるクレバーな方だと思います。
 レオンもすごく良いコーチ。誠実で、オープンな人ですね。選手思いですし、やはりいいアイデアたくさんもっています。チームづくりだけではなく、具体的なプレーに必要なスキルを磨くトレーニングについてもしっかり理解していて、その指導もできる人です。

―― 2人から具体的に、何か求められたことはあるのですか。

 最初の1、2週間は自由にさせてもらっていたのかな。今のリコーのシステムは、よく知っているものでした。どういったスタイルで、どういったプレーをすればいいのかを頭で理解するのは難しくありませんでした。ただ、実際にいいプレーを実行するには、また別に努力が必要。馴染むことに集中させてもらっています。

―― 実際にチームに合流して、どんなことを感じましたか。

 競い合おうという雰囲気がありますね。それから、若い選手には学びたいという気持ちを感じます。特に、リコーは練習後のエキストラ、個人のトレーニング、食事、リカバリーといった部分の指導もしっかりしているので、とても良い環境だと思います。
 日本のラグビーは、プロ化する前のイングランドのラグビーに似ています。仕事をしながらラグビーをやる。プロ選手もいますが、ほとんどの選手が日中に仕事をこなしてから練習しています。にもかかわらず、選手のラグビーに対する姿勢はプロフェッショナルなのは素晴らしいと思います。

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―― グラウンドでは積極的にコミュニケーションしているのを見かけます。やはり、はやくチームに溶け込もうという思いから?

 いや、結構おしゃべりなので、あれが普通(笑)。ただ日本語がしゃべれないので、驚いた時は大きな声で叫んで、おかしなことがあれば笑って、あとはボディランゲージですが。それでもみんな理解してくれているようです。英語で何か叫ぶ時は、最後に「オー」とつけると日本語のように聞こえるような気がしてやっているのですが、どうでしょうか。

「ジェームス」「ジム」もしくは「ハスク」と呼んでください!

―― 季節があって、オンシーズン、オフシーズンがはっきりしている日本に住む者としては、一年を通してラグビーをプレーするのは大変ではないかと思うのですが。

 年間を通じて、コンディションを保つのはやはり難しいです。簡単ではありません。ただ、こういったことに挑めるのは今だけかなと。初めての経験をする楽しみと、きついだろうなという心配、両方があります。
 来るのが日本だから、リコーだから、挑戦できているのかもしれません。グラウンドのすぐ近くに住ませてもらって、練習前後のストレッチやウェイトトレーニングも自由にできる。アイスバスも準備されていますし、コンディションづくりに集中できる。ロンドンだったら、ここまでスムーズではないでしょうね。

―― 日本の環境だからこそ、一年間を通して、ラグビーをすることが可能だと。

 はい。練習に集中できています。ただ、グラウンドと家の往復だけではなくて、少しは日本を開拓したいという気持ちもありますが。

―― 自転車に乗って、駅まで行ってみたとか。

 行きましたよ。ほかは電車でギンザ、シブヤ、チチブノミヤ……ぐらい。ロッポンギには行っていませんよ(笑)。日本のアプリをiPadに入れたので、空き時間にじっくり見て研究しています。

―― ハスケル選手からみて、今のリコーが目標を達成するために取り組むべきことはなんだと思いますか。

 ラグビーというのはそんなに複雑なゲームではありません。ワスプスのコーチだったショーン・エドワーズも、シンプルに「優勝するチームはディフェンスのいいチームだ」と常々言っていました。私もそう思います。「お互いのためにハードワークをしよう」という気持ちを保ち、今のような努力を続けること。持っているシステムに自信を持ってね。そうすれば、目標にも手が届くと思っています。

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―― もうひとつ。ファンの皆さんがスタンドからコールするためのニックネームで、何かお好きなものはありますか?

 そうですね。なんでもいいのですが「ジェームス」「ジム」もしくは「ハスク」で。「ハスケル」って名字で呼ばれると、学校で先生から名前を呼ばれているような気分になるので(笑)

―― わかりました。今日はありがとうございました。

(文 ・ HP運用担当)

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