Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

リコーブラックラムズ(リコーラグビー部) トッド・ローデンヘッドコーチインタビュー

2010.05.21

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1. この2年間、リコーブラックラムズを見てきて感じていることを教えてください。

 ヘッドコーチの観点からお話します。リコーラグビー部のヘッドコーチに就任した時に、ラグビーの目標を探しあぐねている様に感じました。また、選手たちの間では充分なスタンダード(基準)が共有されていませんでした。有能な選手たちですら、自信を失っている様子を見ると胸が痛くなりました。何をやっても、そこそこの結果しか得ることが出来ないと思い込んでいる様にも見えました。
私が就任した2008年のシーズンでは、とても厳しい鍛錬を通じ、選手たちにチームスローガンである"TAFU"の真意を理解してもらうことから始めました。選手たちは、ラグビーではもちろん、仕事や日常生活でも、鍛錬を求められましたが、結果として選手たちのレベルは向上しモチベーションが高まりました。私たちはどうしたら勝てるか、どうやったら、チームとして1つの目標に向かって頑張ることができるかを学ぶことが出来ました。当時、私たちの最大の目標は、トップリーグに復帰することでした。実際、私たちは1ゲームも落とさず1シーズンで、トップリーグに返り咲くことが出来ました。就任1年目の私にとって、最も大きい成果は、チームとしての基準を持ち、全員が一丸となって目標に向かって動き出せたことです。
 就任2年目のシーズン。トップリーグに復帰した2009年は、当初から大変厳しいシーズンになるだろうと思っていました。何故なら、前シーズンの日本選手権で、私たちが残した成績を見て、他のチームが私たちを甘く見なくなるということです。おそらくリコーラグビー部史上、最も厳しいシーズンになるだろうと予想していましたが、実際その通りになりました。リーグ開幕後の3試合で2勝したものの、選手たちは気が緩み、その後連敗。ここで、過去の悪癖やネガティブな思考などが、選手たちの気持ちを乱し始めました。最も厳しく、チーム間に大きな差が存在しないトップリーグで試合を重ねるなかで、私たちは、いわば成長期の悩みや苦しみといった経験をしました。就任2年目の私にとって最も大きな成果は、選手一人ひとりが今までの悪癖やネガティブな思考と正面から向き合い、知恵を使い、努力を続けることにより、どんなチームとも対等に闘えることに気付いたことです。私たちが賢く、力を合わせて立ち向かえば、トップリーグに居つづけられるばかりか、何年か後には上位チームに名を連ねることができる…と信じることができました。

2. この部分はもっと変わってもらいたい、という希望はありますか?

 トップリーグでの順位を上げるためには、規律の水準を上げることが極めて重要です。多くの選手たちは、ラグビーやラグビー部のルールの遵守だけが「規律を守ること」であると考えていました。しかし集中すること、練習したことを自分のものにして実践することも「規律を守ること」の1つの要素であることを選手たちは理解しなければなりません。

3. 変わるために選手に働きかけていることはありますか?

 規律遵守の水準を上げるために、練習に取り入れた多くの要素があります。たとえば、練習中でも厳しく判定を下すことをレフェリーにお願いしました。また、練習に品質管理システムや集中力を養うメニューを導入しました。製造業における生産と同じように、選手たちには、プロセスに気を配るよう促しました。それは、練習における品質のツボを掴み、自己管理をすることで、大きなアウトプットや練習での集中力を獲得できるということです。選手たちは、特に「品質」に対する自己責任を追わなければなりません。

4. リコーブラックラムズの強みと改善したい点は何だと思いますか?

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 ブラックラムズの選手同士は、とても仲良しです。このことは、チームは有利に働く反面、時として不利になることがあります。なぜなら、仲が良いということは、お互いに尊敬し合う反面、直接きついことを言い合うことができなくなってしまい、本来やらなければならないことをできなくなってしまう場合があります。つまり、目指す結果が出せなくなるということに繋がります。
 私たちは決して、体格が大きなチームではありませんが、選手たちは力強さと、プレーのスピードでこれらのハンディを克服しています。選手たちはラグビーそのものや、その1つの要素であるコンタクト(ぶつかり合うこと)を楽しんでいます。いずれにせよ選手たちを含め、リコーは、人間性の豊かな集団です。私は、このことがとても気に入っています。

5. 昨シーズンの感想をお聞かせください。終了直後と少し時間のたった今とで、印象に変化のあった部分があれば、それもお教え下さい。

 昨シーズン終了後に、同シーズンのレビューを書きました。内容は、約2万語にもなってしまいました。しかし、昨シーズン中に選手、スタッフが感じていたことを、このレビューで振り返ることが出来たことは、非常に良かったと思います。昨シーズンは、精神的にも、肉体的にも非常に厳しいシーズンでしたが、今思えば、ラグビー部にとって貴重な経験になりました。なぜなら、さらに上の順位を狙うためには、どうすれば良いかを識別できたからです。昨シーズンの失敗や成功から学んだことを活かすことができれば、今シーズンのブラックラムズは、もっと良いチームになると思います。

6. 昨シーズンまでのやり方から今シーズン、変化を加えようとしていることがあれば教えてください。

 昨シーズンから学んだことに基づいて、私はチームにたくさんの変化を加えました。意図して、スケジュールのバランスを変えたり、練習では、細かいところにまで気を配ったメニューにより集中力の向上を図っています。
 また、選手たちに自己統制と責任感を向上させるプログラムを追加しました。さらに、私たちのチームの強みをより活かすため、リコーのプレースタイルを変更しました。

7. 今シーズンは春から多くの試合を組んでいます。主に何をチェックしますか?

 春から多くの試合を組んでいる理由は、期待以上に早く成長する選手が多いので、全ての選手の成長の程度を徹底的に試すためです。今シーズンは、ポジションが保証されている選手はいません。全員が、ポジション獲得のために闘わなければなりません。

8. 試合では、選手にどんなことを求めますか?

 新しく入団した選手には、リコー流のプレーや心の持ち方の理解度をチェックする予定です。私は、全ての選手に、練習で培ったテクニックや戦略の詳細を100%とまでは言いませんが、知って欲しいと思っています。

9. 今季は3名がクラブのキャプテン、バイスになりました。選んだ理由とどんな期待をしているかをお聞かせ下さい。

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 私が就任した時、ラグビー部にはリーダーが1名しかおらず、将来のリーダーを育成するためのプログラムもありませんでした。そこで私たちは、自己統制を軸に「リーダーシップ・デベロプメント・プログラム」を導入しました。最も優れたリーダーは、言葉でなく行動で示します。湯淺、高橋(英)と小吹が好例です。私は彼らを、違和感の無いローテーションにより、毎年それぞれが責任を共有する、優れたリーダーの育成を図っています。昨シーズン小吹は、たいへん困難な条件のなかで、田沼と湯淺のサポートを受け、見事にクラブキャプテンを務めました。今シーズンは、湯淺が高橋(英)と小吹のサポートを受けることになります。これは、リーダーシップ・デベロプメントのサイクルの1つです。

10. 今シーズンの最終目標をお教えください。また、社員とファンの皆さんにリコーブラックラムズが遂げるどんな「変化」を見て欲しいか一言お願いします。

 私たちのチームのレベルからすれば、毎年入替戦に出場するという流れを打破できるはずです。この流れを断ち切るためには、まさに精神的な壁を自ら乗り超えることが必要なのです。そのために、それぞれの選手が自信を持ち自主自立し、それをグラウンドの内外で行動として見せる様にならなくてはなりません。今シーズンは、オプションをもっと柔軟に使いこなす、もっと広がりのあるラグビーを観ていただけると思っています。

11. 最後に、今シーズンはどんなチャレンジを選手たちにさせようと考えていますか?

 今シーズン、私は選手たちに3つの課題を与えます。全て「規律を守ること」に関連しています。1つは、自己統制です。約2年前までリーダーシップ・デベロプメント・プログラムすら存在しなかったチームにとって、これは大変なチャレンジになります。もう1つは、トップリーグで4勝超の勝利を経験したことがなく、入替戦に出場するのが当たり前のようになっていた精神的な壁を打破することです。入替戦しか経験したことがないチームにとっては、これもまた大変なチャレンジになります。
 最後に、チームが立ち向かうのは、負けることへの慣れが、未来や考え方に悪影響を及ぼさせない、またプレッシャーのなかで悪癖(悪い習慣)に戻らないという点です。これは非常に大きな課題です。しかし、これを打破しなければ上位を狙うことはできませんし、本当の意味での強いチーム(企業スポーツチーム)にはならないと考えています。

(文 ・ HP運用担当)

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