Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

金澤良選手インタビュー

2010.05.07

 リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)のCTB金澤 良選手が4月21日、「HSBCアジア五カ国対抗2010」の韓国代表戦の日本代表メンバーに招集されました。先月1日から14日まで、2週間に及ぶ同代表戦に向けた宮崎での日本代表合宿、そして福岡での直前合宿に参加して、真っ黒に日焼けしながら、日本代表の31名のメンバーから、試合メンバーである22人枠、さらには先発メンバー(15人)に入るという大きな目標へ向け、金澤選手は一歩一歩前進しています。この挑戦を目の前にしつつも、落ち着いた様子でインタビューに応えてくれました。

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―― 日本代表の練習に参加しての感想は?

「大枠での練習の進め方は、リコーラグビー部に似ているなという印象でした。細かいスキルの練習を確実にこなして、徐々に積み上げていく感じはうちに近いと思います。ハンドリングスキルやコンタクトに関しては、同じような練習を取り入れています。すぐになじめて、やりやすいと感じました」

―― 違いを感じる部分はありましたか?

「やっぱり、選手の『代表に残りたい』という強い気持ちでしょう。個々の意識はすごく高くて、練習中は常に集中力が維持されていました。その点では、代表はやはりレベルが高いです。
 例えば、フィットネストレーニングでは、リコーラグビー部のほうがハードなメニューをこなしている練習もありました。でも、じゃあ自分が楽にこなせたのかと言うとそんなことはありません。一つひとつの過程をみんなものすごく意識を高く保って取り組んでいるから、きついです」

―― 一番の差は集中力だと。ミスも少ない。

「いや、かなり走った後の練習だとどうしてもミスは出ますよ。それは代表でも同じ。でも、ミスが続いてちょっと雰囲気が悪くなったりすると、すかさずキャプテン(菊谷崇/トヨタ自動車ヴェルブリッツ/FL)が全員を集めてリセット。集中力を維持する。そのタイミングなんかはうまいな、と思いました」

スペースにボールを持っていき、スペースをどうやって生かすかを考えている

 日本代表には大型CTBが顔を揃える。ライアン・ニコルス(サントリーサンゴリアス)は192センチ、アリシ・トゥプアイレイ(キヤノンイーグルス)が187センチ、日本人の平浩二(サントリーサンゴリアス)も185センチだ。コンタクトでの強みを発揮するプレーヤーに混じり、金澤は身長174センチ。そうしたCTBとは全くタイプが異なり、スピードやキック、パスのスキルや判断力を身上とする。ジョン・カーワン日本代表ヘッドコーチ(HC)による金澤の招集は耳目を引き、新聞でも報道された。

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―― そもそも今回初招集されたのは、トライアル選手を除くと金澤さんだけですよね。

「はい。基本的に常連の選手がほとんど。CTBでも自分とは違ったタイプ、特に体格が自分より大きくてコンタクトに強いタイプの選手が多かったので、正直、多少違和感はありましたよね。メンバーも顔は知っているけれど、話したことはない選手がほとんどだったし、合宿の2日目くらいまではちょっと緊張していました」

―― そんな環境下で、どんなことを心がけて練習に臨んだんですか。

「コンタクトで勝負するというよりは、自分はどうやってスペースにボールを持っていくか、そしてスペースをどう使うか。その辺を重点的に考えていたかな」

―― それはコーチに求められたから?

「いえ、具体的に何か言われたというのはないです」

―― では、自分で『求められていること』を想像して、そこに注意して正確なプレーを心がけたと。パスなどは相手あってのものですが、呼吸などは合いましたか。

「やりにくいって感じはなかったです。周りの人も、スペース見つけて立ってくれていたので。ただ受けるほうでは、ライアン・ニコルスのオフロードパスをもらうタイミングとかは、少し見ちゃってサポートが遅れたり、早くいかなあかんって行き過ぎたりしました。いつも一緒に組んでいる平はその辺よくわかっているなと感じました」

―― そういう部分を詰めていきたいですね。

「そうですね。ああいうタイプのCTBはリコーにはいないし、あまりオフロードパスも使っていないから勉強になりましたね。ただまあ、今回は基本的にフィットネスの合宿だったんで、実際はそういう部分でアピールする時間はまだあまりなくて。これから(4月23日からの福岡での直前合宿)でしょうね」

「見てくれている」っていうのがわかったんで。チャンスはあるなと

 金澤は昨年11月、急遽日本代表スコッド(候補メンバー)に追加招集され、セレクションマッチに参加した。今年3月の代表スコッド入りは、それに続いての招集だった。

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―― 昨年、初の代表スコッド招集では、どんなことを感じましたか。

「去年のトップリーグ(TL)の途中で熊谷(セレクションの会場)に呼ばれたのは試合直前で、参加したのは試合だけでしたからね。人数が足りなくなって呼ばれたんだと捉えていました。そこでいいパフォーマンスを見せられれば、自分にもチャンスがあるとも考えていました。まずは試合を見てくれているというのがわかったんで。チャンスはあるなって感じましたね」

―― TLの試合で頑張れば、ちゃんと評価してくれるんだなと。それはモチベーションにつながった?

「はい。それにセレクションマッチの翌日、解散する前にカーワンHCを含めた4人ぐらいのスタッフと話をする機会があって、「今回は選ばれなかったけれど、残りのTLの試合も自分の持っている力を発揮してパフォーマンスを維持してほしい」と伝えられたんです。モチベーションはあがりました」

―― では、3月に再び代表スコッドに呼ばれたときは、今度はやるぞ、と。

「代表スコッドの62人については、一度呼ばれていたんでもしかしたら入るかも、という気持ちはありました。でも、31人の代表メンバーに残って宮崎合宿に行けたのは、実は自分でもびっくりしているんですよね。やっぱりCTBとしてのタイプが他の選手とかなり違うのは事実だから」

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―― なるほど。その合宿を終えての気持ちは?

「まだまだ磨きたいと思うところがたくさん発見できました。フィジカルはもっと強化したいし、あとはもらう前の動き方かな。直線的にもらってしまいがちだから、もらう前にコース変えたり。そのあたりをもっとうまくなりたい」

―― 目標が明確になったわけですね。そういったところを向上させていけば、さらに先を狙える手応えも?

「もちろん、こうしてチャンスをもらえているのだから、2011年のW杯はターゲットにしていきたいと思っています」

ラックでのボールの置き方とか、タックルしてからの起きる速さとか

 チームに視線を運ぼう。当然、金澤の代表招集はリコーラグビー部への大きな刺激となっている。リコーのラグビーが代表レベルでも通用することを金澤が身をもって証明すれば、チームのモチベーションがいっそう高まることは間違いない。金澤に対し、日本代表合宿での経験の中でチームに伝えたいことはあったか――。そんな問いに、しばらく考えてゆっくりと口を開いた。

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「合宿の序盤に、『日本代表を特別なものにするためには、何が必要か』を考えるミーティングがありました。FWとBKに別れて考えて、BKは『スピードではないか』という答えにまとまったんですよね。いろいろな局面での。それについて、カーワンHCはその場で答えを言わなかった。だから、何を正解と考えているかはわからない。
 でも、ある練習の途中で、『10%の細かいところの積み上げを大事にしろ』と言ったんですよ。例えば、タックルされてラックになったときのボールの置き方とか、タックルしてからの起きる速さとか。『そういうちょっとしたところをしっかりやる、積み上げることがスペシャル(特別)なんだ』って。1回だけ言ったんですよね」

 さすが。合宿序盤に示されたテーマ「特別とは何か」を考え続け、かつコーチの言葉を聞き漏らすまいとしていた合宿中の金澤の"Attitude"が感じられる。

「トッド(ローデンHC)も昨シーズン、『10%の違いが、7位か12位かの違いに表れるんだ』と続けて言ってきたことですよね。まさに自分たちが目指していたことだなと。やっぱり、コーチや周囲から見えにくいところを、一人ひとりがこだわりをもってやることで、チームのレベルは上がっていく。それは代表レベルでも同じなんですよね」

―― リコーラグビー部は自分たちのラグビーに対する自信を、もっと深めていい?

「魅せるプレーではなくて、細かいところをしっかりやろうとしている今のリコーのラグビーを突き詰めていけば、必ずチームは強くなると思います。自分も代表で活躍できるようになれるかもしれないし、そういう選手もチームからたくさん出てくるはず」

―― 金澤さんが代表でも通用するところを印象づけられれば、リコーラグビー部のBKのようなそこまで体の大きくない選手にも代表への道が開けるかもしれません。

「それはもう大丈夫ですよ。確かにうちのBKの体は小さいけれど、やっぱり速いですよ。合宿に参加した今もその思いは全く変わりません。タックルのスキルをもっと磨いて、低く入って2人目、3人目がちゃんとカバーする―― それができれば、TLでもっと上に行けるし、代表だって見えてくる」

―― 代表ではリコーのラグビーをしっかりアピールして、チームでは今回学んだことを共有してリコーラグビー部のレベルアップに生かせるといいですね。

「まずは個人として力を出し切るという頑張り方をせざるを得ませんが、もちろん代表のいい部分を吸収して、チームにフィードバックしたいという気持ちは強いですよ。会社、職場の方々も快く送り出してくれているし、練習に集中できるように配慮してくれています。そうした思いにぜひ応えたいですね」

 金澤が代表で存在感を見せることができれば、新たなシーズンに臨むリコーラグビー部の勢いはさらに加速する。5月1日の「HSBCアジア五カ国対抗2010」の対韓国代表戦に快勝した日本代表。次の5月8日の対アラビアンガルフ代表戦に向け準備を続ける金澤の健闘に期待したい。

(文 ・ HP運用担当)

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