Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

トッド・ローデンHCインタビュー

2009.03.06

――Are you tired(疲れましたか)?

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「Yes・・・(ここ2日で)aboutサンジュウ、ミーティングをやりました」

 2009年2月26日。トッド・ローデンは日本語を交えて息をついた。

 2008年6月に来日。昨季トップリーグ(TL)から降格したリコーブラックラムズの新HCとして、チームを――改革ではなく――改善する。強化にはキーワードを用いつつ、選手やコーチ陣らとのコミュニケーションを密にすることで、集団を集団たらしめた。

 SH池田 渉曰く「素直な選手が多い」チームは指揮官の思いを吸収する。それをグラウンドで表現した。トップイースト(TE)とトップチャレンジ1を全勝してTL昇格を果たし、09年2月15日の日本選手権2回戦、TL5位のNECグリーンロケッツに24対23で勝利する。が、2月22日。準決勝ではTL2位の三洋電機ワイルドナイツに3対59で大敗した。

 長く、最後は大波に襲われたシーズン終了から4日後。指揮官は多くの面談でスケジュールを埋めていた。18時10分頃。チームファンクションが始まるまでの間。チームの公式ホームページのインタビューに答えた。

 WTB池上真介によれば「ラグビーにしろ、家族との触れ合い方にしろ、ひとつひとつが100%って感じ」の人である。疲弊していようが、持ち時間が少なかろうが、おそらく、媒体の性質を考えた言葉を並べた。

――シーズンが終わった今の気持ちを聞かせてください。

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「最終戦はパフォーマンスがよくなかったので、その辺は残念でした。怪我だったり、疲れだったり、モチベーションだったり、その辺が難しかったと思います」

――モチベーションの維持も難しかった。

「今シーズン設定していたシーズンゴールを達成していたので、ハートはあったと思うけど、モチベーションは高くなかった。三洋電機みたいな(TL優勝を争う)チームだと、そういうモチベーションだと良い戦いは出来ないですね」

――どんなところを見て、モチベーションが高くないと感じましたか?

「ランニングや味方へのバッキング(後ろに戻っての)サポートが、いつもよりフィジカルじゃなかったです。(チームは)TE負けなしで、TL昇格も決まって、ホンダにも勝って、TLの上位・NECにも、(リコーに)けが人があったにも関わらず勝利することができた。上の方(準決勝)まで行ってパフォーマンスが下がった。選手にとってはレッスンだったと思います。TLで試合をするには、毎週高いモチベーションを維持しなくてはいけません」

――収穫は。

「個人的なことですか? それともチーム?」

――では、まずは個人的なことからお願いします。

「選手たちのこと、性格を知れた。また、色々な違いを感じられた。ボールは楕円球で、形は変わらない。どこの国でも、あのボールを使っていればラグビー。選手たちも、どこの国でもラグビープレイヤーであって、そこに違いはない。ただ、リコーが会社としてやろうとしていることは特別。自分たちで作り上げた独自のやり方、昔やっていたやり方を貫き通そうとしています。ラグビーと仕事と生活の3つでバランスをとっている。ラグビーマーケットがどんどん変化し、周りはプロフェッショナル化が進んでいるなかで、アマチュアでトップリーグを競っていこうとしているんです」

――続いて、チームとしての収穫には何が挙げられますか。

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「昔の傷跡(TL降格当時の状況)を上手く修正している。まだまだ道は遠いけど、上手く行っていると思います」

――では、リコーのHCとして一番嬉しかったことは。

「勝ち負けじゃない。選手たちが自分自身を信じだしたことです。また、チームがだんだん一つになってきている。リコーの社員の方々が応援に来てくれて、選手たちのことを誇りに思ってくれている、サポートをしてくれている。社員の人たちもチームと一体になってきている。これはTLでも重要になっていきます」

――逆に、大変だったことは。

「年齢を重ねた選手たちのハート、頭、身体がだんだんついていかなくなってきているところを見るのは淋しい。選手たちが自信を失っていくこと、信じるべきなのに(自分を)信じることができなくなったりすることもありました」

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――選手に自信を与えるために必要なことは。

「ハードな練習でメンタルをタフにする。自分たちはハードにやったと自信をつけていく」

――話の文脈でいうと、それができなかった選手もいる、と。

「・・・。自信にはアップダウンがある。シーズンが深まってから自信を失った選手もいますけど、シーズンが深まって自信をつける場合もあるし、試合の流れによっても自信の上がり下がりはあります・・・」

この言葉の意図は――。いずれにせよ、「ハードな練習で自信をつけられなかったのか」という問いには、決して頷かなかった。

18時30分。予定された終了時刻になった。

 ローデンHCはクラブハウスへ駆ける。選手、スタッフ、応援団らとシーズンを労うチームファンクションに参加した。チームMVPをはじめとした表彰に加え、引退選手も発表する。「辛い仕事をしなければならない」。各選手に、それぞれの在籍年数、通算出場試合数が刻まれたチームジャージを手渡した。「私のわがままに応えてくれた」と、スタッフに記念品を贈呈する。やはり「ひとつひとつが100%」なのか。場面がめまぐるしく変わるなか、それぞれの瞬間に相応しい表情を見せた。

――最後の質問です。来季のチーム像を、今考えている範囲で。

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「今年やってきたことを、より良くしていく。絶対に諦めない強い気持ちを持つことで自信も出て、負けよりも勝ちの方が増えてくると思います。それでもしっかり、会社の人など、周りに感謝する。そして両手にある、目の前にあるチャンスをしっかり掴む」

――来年は、練習が2倍厳しくなるという噂ですが。

「Hahaha・・・噂話というのは色んなところであると思うけど、(言えることは)そうなるかもしれない、と。まぁ、サプライズで」
2月27日、金曜日。日本を発った。

(文 ・ 向 風見也)

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