Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2013-2014 トップリーグ 1stステージ第4節 対 東芝ブレイブルーパス

2013.10.02

プールB首位の東芝に、リコーが挑んだ真っ向勝負

 2週間のインターバルを挟み迎えたトップリーグ第4節。全7試合の1stステージはこの試合で折り返す。相手の東芝ブレイブルーパスは、接戦をものにする勝負強さで混戦のプールBの首位をキープ。リコーは昨シーズントップリーグでは初の勝利を挙げたが、強力なフィジカルを備える東芝に勝利するには、今シーズンもすべてを出し切ることが前提となる。

スターティングメンバーには、インターバル中の9月21日(土)に行われたヤマハ発動機ジュビロとのオープン戦でコンディションの良さをアピールしたコリン ボークと、マイケル ブロードハーストのフォワード2人の名が並んだ。東芝フォワードに真っ向から立ち向かう。それがリコーが選んだ戦い方だった。

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 試合開始直後、リコーがチャンスをつくる。CTB河野好光の自陣からの仕掛けを起点にアタックを継続。ボールを回し敵陣に入っていく。

左サイドを突いたLOカウヘンガ桜エモシが押し出されボールはタッチを割ったが、クイックスローで再開した東芝のキックを拾ったWTB星野将利がカウンターアタック。ボールを浮かせたキックでライン裏に転がすと、加速し自らボールを確保。右中間ゴールラインまで数十センチに迫りラックをつくる。

リコーはオープンサイドに展開。だが鋭く飛び出した14番にパスをインターセプトされ、一気に自陣にボールを運ばれる。SO徳永亮が必死で戻り捕まえると、CTB山藤史也のタックルでボールキャリアを倒しノックオン。ここはなんとか守りきった。

次のチャンスもリコーに訪れる。敵陣浅めのラインアウトから縦に突いていくと東芝にオフサイド。アドバンテージが出るとリコーは果敢に攻め、左中間でCTB河野がゴロキックを蹴るが相手にボールが渡り試合が止まる。7分、リコーは正面やや左約30mのペナルティゴールを狙うがこれははずれ、先制ならず。

その直後、自陣からランでゲインを狙ったNO.8コリン ボークが負傷するアクシデント。治療が行われる中、リコーは敵陣右サイド22m付近のラインアウトからアタックを仕掛けワイドに展開。フェイズを重ねていくが、東芝のディフェンスは厚く、こぼれたボールがタッチを割る。

NO.8ボークは一度はプレーに加わろうとしたが、11分に生沼知裕と交代。生沼がLOに入り、ロトアヘア・ポヒヴァ大和がFLへ。マイケル ブロードハーストがNO.8に入った。

15分過ぎまで、リコーはボールキープに成功。よくプレッシャーをかけていたが、右サイドを破ろうとFB高平拓弥が出した鋭いパスがFL川上力也に通らずタッチを割る。

ボールを得た東芝がラインアウトからアタック。リコーが自陣でホールディングの反則を犯すと、タッチキックでゴール前ラインアウトのチャンスをつくった。

17分、東芝は左中間を得意のモールで押す。リコーも勢いを食い止めラックに移行させたが、相手9番がパスダミーを入れ、自らラックサイドを鋭く抜けるとインゴールに持ち込んでトライ。コンバージョンも成功し0-7と東芝が先制した。

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 ワンチャンスを生かされ失点したリコーだったが、その後もボールをキープしていく。23分に敵陣左中間のスクラムでコラプシングを誘い、35m付近からPGに成功。3-7とする。

このゴールの後リコーは自陣に攻め込まれ、ディフェンスでオフサイド。再びタッチキックでゴール前ラインアウトを与えピンチを迎える。リコーがモールを押しとどめると、東芝はラックから展開する。このアタックにリコーは集中して対応。相手のオーバーザトップを誘って危機を脱した。

しかし、エリアを押し戻し迎えたラインアウトでボールを奪われ、リコーは再びアタックを浴びる。さらにラックでオブストラクションを犯し、三たびタッチキックを蹴られゴール前ラインアウトに

29分、左中間をモールで押されインゴールに持ち込んだ7番がトライ。コンバージョンも成功し3-14と点差が広がる。東芝が本来のフィジカルを見せ始めた。

前半残り10分となり、リコーはWTB星野の突破などで右サイドに攻め込んだ。33分にゴール前ラインアウトのチャンスを迎えたが、ノットストレートでボールを失う惜しいミス。さらに押し戻されてのラインアウトでも反則を犯し、ゴール前にボールを運ばれる。

だが、安定を保ったディフェンスでリコーはこの場面をしのぐ。前半終了間際にアタックを仕掛けると、ゴール正面約45mの位置で東芝がオフサイドの反則。直前のプレーで痛んだFB高平に替わってCTB河野がペナルティゴールを狙って成功。リコーは6-14として試合を折り返した。

粘り強く守り、攻めたが、勝負どころのプレーで明暗

 リコーはSO徳永に替えてリキ フルーティーを入れて後半に臨んだ。河野がSO、フルーティーがCTBに入った。

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 開始直後、自陣のスクラムで東芝がアーリーエンゲージの反則。リコーはSH池田のリスタートからアタック。CTBフルーティーがハイパントを上げると、この処理で東芝がノックオン。リコーは敵陣22mライン付近のスクラムを得る。

このスクラムで東芝が反則。リコーはリスタートでブラインドサイドをWTB渡邊昌紀が突くがこれは止められる。だが東芝にノット10mバックがあり、リコーボールは継続。22mラインの内側のマイボールスクラムという大きなチャンスを迎えたが、今度はリコーにコラプシング。キックでエリアを奪い返された。その後SO河野のゲインなどで再び攻め込んだが、スコアできない。

9分、リコーは攻め込まれゴール正面でホールディングの反則。東芝はタッチキックをゴール前に蹴る。だが、東芝はラインアウトモールをつくる際にオブストラクション。リコーは得たボールのキープを図り、自陣からじりじりと前進。深めのラインをとり、ダイレクトに力強く東芝ディフェンスラインに挑んでいく。11分にHO森に替わり滝澤佳之がピッチへ。

13分、リコーは中央ハーフウェイライン付近のスクラムから、SO河野が左中間を突きCTBフルーティー、WTB渡邊とつないでアタック。さらに前進し22mラインの内側に侵入、ゴールまで5mにまで迫る。しかし、トライを狙ったSO河野からWTB星野へのパスに相手11番が猛烈なプレッシャー。ボールは惜しくもこぼれ、ノックオンで東芝ボールに。17分、リコーはPR藤原丈宏に替えて柴田和宏。

スクラムからのタッチキックで押し戻されたが、リコーは再びラインアウトからアタック。全員でボールを回し果敢に攻め込んでいく。だが東芝のディフェンスは固く、右中間を思いきりよく突いたCTB山藤にタックルが入り、リリースしたボールを奪われた。東芝は無人のリコー陣内にキックを蹴る。FB高平が戻りボールを拾いにいくと、東芝15番が足を引っかける反則。19分、リコーはWTB渡邊に替わり長谷川元氣が登場。

タッチキックでゲインし、ラインアウトから攻めるリコー。右中間のラックでターンオーバーされボールを渡すと、東芝が攻める時間帯を迎える。

しかし、リコーは東芝のフィジカルに正面から立ち向かう。ゴール前でのプレーが続いたが、激しさと統制を保ち約7分にわたりよく守る。24分にFL川上に替わり川口顕義。

27分、ついに東芝にキックがインゴールでタッチを割るミスが出て、リコーは自陣10m付近のマイボールスクラムを得る。危機を脱したかに見えたが、SH池田が入れたボールが、グラウンドの凹凸の影響か不規則に転がり東芝側へ入る痛恨のターンオーバー。

東芝は8番、7番が縦に突き一気にゴール前になだれ込む。連続攻撃でゴール前まで前進すると29分、右中間のラックのボールを5番がピックしインゴールに飛び込みトライ。コンバージョンははずれたが、とうとう試合は動き6-19に。

残り10分、逆転のために一刻も早く1トライが必要なリコーにチャンスが訪れる。キックオフボールの競り合いで東芝がノックオン。ここでHO滝澤が負傷し森がピッチに戻る。

スクラムからアタックをかけると今度はオフサイド。タッチキックを蹴ったリコーはゴール前ラインアウトを得る。フォワードが集まり、互いに声をかけあい臨んだラインアウトをキープすると、右中間をモールで押す。東芝も押し返し一時均衡状態になったが、目前のリコーサイドのバックスタンドの大声援に背中を押されたかのように、モールがゴールに向かって動き始める。CTBフルーティーが駆け寄って押し込んだ瞬間、最後尾のHO森からSH池田がボールを受け取りブラインドサイドへパス――。

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 34分、SO河野からWTB星野へと短いパスをつなぎ右サイドを破る。星野は回り込んで右中間にトライを決める。成功すれば1トライ1ゴールで逆転可能な6点差となるコンバージョンは惜しくもはずれたが、胸のすくトライでリコーは11-19とした。

攻めるしかないリコーは、残り時間も渾身のアタックを見せる。SH池田がドロップアウトを敵陣深くに蹴り込む奇襲をかけアタックに転じると、左中間のギャップをFB高平が抜けてゲイン。

しかし、東芝のディフェンスの集散は最終盤でもスピーディだった。ラックでターンオーバーされ、無人のリコー陣内に深くにキックを蹴りこまれると、一人追いついたLOカウヘンガはタッチに逃れるのが精一杯。

38分、ゴール前ラインアウトからモール、これは崩れたがラックを経てなだれ込んだ7番がトライ。コンバージョンも成功し11-26。このままノーサイドを迎え、リコーは敗れた。

リコーはディフェンスやボールキープといった面では、今シーズンベストにも映る質の高さも見せた。だが、スコアに関わる場面で東芝が高い集中力を発揮した結果が勝敗に表れた。終了間際にトライ数を4に乗せた東芝はボーナスポイントを挙げたが、リコーは点差を詰められず0ポイント。プールBの順位はキヤノンに抜かれ5位となった。

「あのトライが自分たちのスタンダードだと考え、次戦に臨みたい」(田沼コーチ)

神鳥裕之監督

「トライは4つ獲られましたが、ディフェンスが悪かったというよりは、その前にミスが連続して起きていて、それが自分たちを苦しめていた。ディフェンスの精度は高いレベルを保てていたと思います。
(ラインアウト→モールというシチュエーションをつくらないのが作戦?)強いフォワードがいることはわかっていたので、まずあそこでラグビーをしない。もっと言えば我々でボールをキープする。ポゼッションを高めればスコアできる確率は高くなるというのは、データとして出ていたので、とにかくボールを持ち続けようと。この試合でもボールを持ち続けているシチュエーションでは、チャンスをつくれていたと思います。
アタックは、すべきことを我慢強く続けていけば必ずチャンス来るという考え方でした。キックよりはボールを持ち続け、キックを選んだ場合はハードに獲り返していこうと。そういうところを徹底しました。それを選手はやりきってくれて、序盤にコリン(ボーク)のケガがありましたが大きな混乱はなかった。
ただ、集中するべきところでのミスは多く、それが勝敗を分けたと思います。セットプレーに関しても。おそらく、ボールの保持などではそんなに悪い数字は出ないと思うのですが、攻め込んでの勝負どころや、ピンチを防ぎきった後のスクラムで、思い通りできなかったのは課題です。近鉄戦は、やり続けてきたことの精度を上げる。そこに尽きます。もう一度しっかり基本に戻ってやります」

田沼広之フォワードコーチ

「選手たちはよくやってくれました。トップレベルの選手を相手に、ノーガードの打ち合いというか、逃げずに立ち向かってくれたので。いい経験というか、いい時間だったと思います。もちろん負けたことは悔しいですし、僕以上にやっていた選手は悔しいはず。でも準備したことはよくやれた。
(プランとして、コリンの負傷退場は痛かったのでは?)でも、その後に入った生沼(知裕)や他のメンバーが焦らずにちゃんとやってくれました。ここまでの3試合では選手が入れ替わったときにほころびが出ましたが、今日は出なかった。バタバタ感はなかったと思います。試合を通じてスタンダードを保てた。全員のレベルが上がっていて、様々な役割をできる状態になりつつある。
次の試合の相手の近鉄もフォワードに圧力があるので、今日のスタンダードを保って集中していきたい。モールを我慢して押し、そこから獲りきったトライは素晴らしかった。選手たちには、あのプレーを自分たちのスタンダードに置き、相手がどこであっても同じプレーしてくれと伝えたい」

CTB山藤史也(ゲームキャプテン)

「(ディフェンスはよかったのでは?)今のリコーが、あのレベルのことができるのはわかっていました。持っているものを出せたと思います。ただ結果がついてこなかったのが残念。勝ち点も獲れなかったので、そこは正直痛い。ショックはあります。でも下を向いてはいられないし、上を目指してやっていくしかないです。
プレッシャーのかかる局面、あとは乗っているときに、勢い余ったり力んでしまってミスが出ていました。そういうところがあるので、気持ちのコントロールも重要。とにかくディフェンスができることはわかってる。あとは続けてきているアタックの練習の成果を試合で出したいです」

HO森雄基

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「東芝さんがモールを組んできて、こちらは崩すことを最初にやったんですけど、向こうの方が勝っていた。フォワードでゴリゴリくる、モールなりスクラムなりでくるってわかっていたんですけど、受け身になってしまった。モールの最初のディフェンスの入り方とか、どっちに押すのかとかが、少しバラバラだった。
(トライには意地を感じたが?)なんとかトライを一本獲りたかったので。でもあそこでいい流れにもっていかせないのが東芝さんの強さ。次の近鉄戦は、今日出来なかったフォワードのアタックなどを直して、相手を圧倒するフォワードをつくって臨みたい」

FL川上力也

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「アタックでクイックボールを出せなかったり、ブレイクダウンのところで勝てなかった。それがこの点差に表れているのかなと。ただ個人的には、フィジカルの差は去年に比べると感じなかった気もします。
普段の練習でも、コンタクトであったり、スキルであったり、チームが力をつけているなと感じることは多い。トップリーグでプレーできるスコッドが年々大きくなっています。みんな毎試合一生懸命やっている。ただ勝負を分ける場面で力を出しきるという点で、東芝さんやサントリーさんに比べると甘いのかもしれない。個人の能力を上げるのと同時に、勝負どころでの巧さ、強さも磨きたい。
団子状態のリーグなので勝ちきること。いいプレーをしても勝てなかったら仕方ない。次の近鉄戦は、勝ち点をしっかり挙げる事が大事」

WTB星野将利

「東芝はフォワードが強いので、そこに負けずに縦にいきながらも、横の動きに弱いフォワードに対してはミスマッチをつくりながらそこを抜いていこうと。ちょっと振りすぎたかもしれません。トライの場面は、東芝のプライドでモールトライは簡単には許さないと思い、ブラインドサイドにボールが出てくる可能性はあると思っていた。
(チャンスを逃さない集中力を感じるが?)試合にいいメンタルで入れています。自分を信じてプレーできている。ケガから復帰しての1年は調子悪かったのですが、腐らずに頑張って戻って来られてよかった。この後はアウェーの試合が続きますが、そんなことを気にせず、勝ちにこだわっていきます」

 前節のキヤノン戦にも増して、ディフェンスの精度を高めたリコーだったが、昨シーズンのリベンジに燃える東芝の集中力の前に、結果としては厳しいものとなった。しかし、後半開始から29分まで保った均衡は、リコーが自分たちのラグビーを堂々と見せた結果だ。ゴール前のピンチを全員で守り続ける姿や、意を決し東芝のディフェンスラインに斬り込んでいくメンバーの姿は観る者の心を熱くするものがあった。確実にチームの状態は上向いている。

しかし、その充実ぶりを高いレベルの舞台でアピールするには、なんとしても上位8チームに入って2ndステージに臨まなければならない。残りは次節10月5日(土)に近鉄花園ラグビー場で行われる近鉄ライナーズ戦を含めた3試合。やるしかない――それが今のリコーの状況である。


(文 ・ HP運営担当)

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