Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2013-2014 トップリーグ 1stステージ第1節 対 コカ・コーラウエストレッドスパークス

2013.09.03

フレッシュなラインナップで挑んだ2013-2014のトップリーグ開幕戦

「今の段階でやるべきことはやれていると思います。細かい点で精度を上げるべきことはありますが、選手たちはよくやってくれている」

8月23日、開幕前最後の練習試合を終えた神鳥裕之監督は現状への手応えを語った。就任直後から「競争」を求め新戦力の台頭を促し、若手はこれに応え奮起した。開幕戦のメンバーには1、2年目の選手が6人(外国人選手は除く)、初のメンバー入りを果たした選手も6人入った。新鮮なラインナップは、春からの取り組みに対する神鳥監督の手応えと自信の表れにも映った。

初戦の相手は今季トップリーグに復帰したコカ・コーラウエストレッドスパークス。トップキュウシュウで戦った1年間の思いを、標榜する「アタッキングラグビー」でこの1戦にぶつけてくることが予想された。

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 ビルのすき間を抜ける南風が突風となって吹きつける秩父宮ラグビー場。まだ明るく暑い17時。CTB河野好光のキックで試合が始まる。リコーは前半を風下の陣地で戦った。

リコーは2分、右サイドから展開し、WTB渡邊昌紀が左サイドをゲイン。捕まったがラックでコカ・コーラウエストに反則。リコーはボールをタッチに出し、ゴール前ラインアウトとする。だがオブストラクションを犯し相手にボールが渡る。コカ・コーラウエストが蹴ったペナルティキックは風に乗って伸び、一気に陣地を挽回された。

7分、リコーは敵陣に攻め込むとSH池田渉がライン裏のスペースを見つけパントを蹴る。いい位置に落ちたが、惜しくも相手の手に渡り蹴り返される。このキックもよく飛び、リコーの22mライン付近まで転がってタッチを割る。リコーは左サイドのラインアウトをキープしパントを上げる。しかし強い風を受けこれはダイレクトタッチに。

8分、コカ・コーラウエストはラインアウトからワイドにアタック。右サイドから左サイドまでボールを運ぶと、長いパスでディフェンスをかわしながら再び右サイドへ戻し、8番が右サイドタッチライン際を抜け右隅にトライを決める。コンバージョンははずれ0-5。

トライを獲られたリコーだったが、ブレイクダウンに激しく臨み、押し気味で試合を進める。13分にはラック内で反則を繰り返したコカ・コーラウエストにシンビン(10分間の退場処分)が出て数的優位を得た。リコーはこの反則のペナルティキックを、ゴール前のタッチに出しラインアウトからモールで攻める。ゴールラインに迫ったが、ノックオンでボールを失う。スクラムを経てまたも距離の出るキックで自陣に押し戻される。

しかし18分、自陣スクラムから縦の突進を繰り返し、フェイズを重ねゲイン。コカ・コーラウエスト陣内に入ると22mライン手前左中間のラックから、SH池田がNO.8コリン ボークへ。ボークは相手につかまれながらも左サイドに走り込んだWTB渡邊にパス。加速した渡邊は一気にインゴールまで走り抜けトライ。渡邊のトップリーグ初トライで5-5の同点に追いつく。コンバージョンはルーキーのFB高平拓弥が蹴ったが惜しくもはずれた。渡邊はトライの直後の21分にも自陣から左サイドをゲインしチャンスをつくる活躍を見せた。

シンビンの選手が戻るとコカ・コーラウエストが勢いを取り戻す。リコーは自陣のディフェンスに集中。相手反則でボールを奪うと、再びボールキープを意識したアタックでじりじりと前進する。HO森雄基のゲインなどでコカ・コーラウエスト陣内に攻め込むと、CTB河野が左中間からライン裏にゴロキック。しかしこれは処理され、キックを蹴り込まれ自陣に押し戻された。

「バックスリーそろい踏み」の3トライでリード広げる

 それでも27分、自陣浅めのラインアウトでコカ・コーラウエストにノックオン。左中間、10mライン付近スクラムから、SH池田がボールを持ち出しオープンサイドへ走りCTBタマティ エリソンへ。エリソンが縦に突っ込み、続いてLOカウヘンガ桜エモシも縦に突く。ラックから出したボールはFB高平を経て大外のWTB星野将利へ。星野はタッチラインぎりぎりをうまく走り、2人のタックラーをハンドオフすると内に切れ込む。インゴールに向かって加速し、そのまま右中間にトライを決めた。コンバージョンはポストに当たり不成功。だがリコーは10-5と勝ち越した。

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 さらに34分、リコー陣内に入って攻めたてるコカ・コーラウエストのパスをFB高平がインターセプト。自陣22mライン付近から左サイドを約80m走り中央にトライを決めた。コンバージョンも自ら決めて17-5とリードを広げた。リコーは前半最後にラック内の反則でゴール前に迫られたが、守り切って前半を終えた。

 風下陣地ながらリードを奪い試合を折り返すことに成功。ペースをつかんで後半を戦いたいリコーだったが、集中力を高め持ち味のアタッキングラグビーを仕掛けるコカ・コーラウエストが攻勢を見せる

2分、コカ・コーラウエストは自陣中央10mライン付近のスクラムから、8番がボールを左に出し展開。おとりの9番が逆方向に走るサインプレーが決まり、左サイドを11番が抜ける。リコーはバックス同士が交錯するなどディフェンスの混乱もあり、そのままインゴールまでボールを運ばれた。コンバージョンははずれたが17-10となる。

テンポよくボールをつなぐコカ・コーラウエストは、再び攻め込みリコー陣内でフェイズを重ねる。リコーにペナルティが出るとリスタートから右中間にラックをつくり展開。左中間で13番がライン裏にゴロキックを蹴り15番が反応。インゴールに転がったボールをCTBエリソンが押さえにいくが、交錯する両者の手の間でボールが跳ねこぼれる。きわどかったがグラウンディングが認められトライ。コンバージョンははずれたが17-15と点差はわずかに2点に。

リコーはここで負傷したLO馬渕武史を赤堀龍秀に、NO.8ボークをマイケル ブロードハーストに交代した。

12分、連続トライを許したリコーもアタックを見せる。コカ・コーラウエスト陣内に攻め込み、中央22mライン付近のスクラムからNO.8ブロードハースト、SH池田、CTBエリソンとつなぎ右サイドを攻める。さらにLOカウヘンガが突破を図りゲインすると、左に戻し中央で再びカウヘンガが縦に突く。素早くボールを出すとSO徳永からFB高平へ。内のCTBエリソンに戻しゴールに迫ったが、激しいタックルを浴び大外WTB渡邊へのパスがつながらずトライならず。

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 コカ・コーラウエストがボールキープしじりじりとエリアを戻し、リコーの反則も出てリコー陣内に侵入される。17分、リコーは前半のコカ・コーラウエストのようにキックでエリアを取り戻しにかかるが、CTB河野のキックがわずかに長くインゴールに入りタッチを割る。キックの蹴られた位置に戻しリコー陣内10mライン付近のスクラムとなり、なおも自陣での戦いを強いられた。18分にCTBエリソンをリキ フルーティに交代。

20分、SH池田のハイパントをキャッチしたコカ・コーラウエスト14番がカウンターアタック。テンポよくボールを回すと10番がライン裏へゴロキック。これが不規則に弾みリコーディフェンスの手に収められずにいると自ら走り込んだ10番がさらって右中間にトライ。ゴール前の攻防に持ち込みながらトライを獲りきれず、再び相手に狙い通りのラグビーをさせてしまったリコーは、ついに逆転を許しスコアは17-20に。コンバージョンははずれた。トライの直後にPR長江有祐を辻井健太に、FB高平をピータースダニエルに交代。

カウヘンガの力強い突破で再逆転に成功

 嫌な流れを断ち切ったのは、この日繰り返し力強いゲインを見せていたLOカウヘンガ。ほぼピッチ中央のスクラムから、FBピータース、CTB河野とつなぎラインに突入。ショートサイドに出し、右サイドをLOカウヘンガが前進する。倒されたがリリースしたボールをLOロトアヘア ポヒヴァ大和が受けて縦へ。再び倒されたがSH池田が駆けつけ、立ち上がって走り込んだカウヘンガに再びボールを渡す。

23分、ギャップを抜けたカウヘンガはインゴールまで走りきり右隅にトライを決める。LOのパワフルな活躍でリコーは逆転に成功し22-20とした。さらに角度のあるコンバージョンをFBピータースが決め、24-20とリードを広げた。25分にはSH池田を山本昌太に交代。

28分には危険なプレーを犯したコカ・コーラウエストの19番がシンビン。さらにゴール前ラインアウトのチャンスをつかんだリコーだったが、ノットストレートのミスで相手にボールを渡してしまい、引き離すトライがどうしても獲れない。

その後両チーム、汗が原因とみられるハンドリングミスや新ルールに関連するスクラムの反則などが相次ぎ、一進一退の状態が続いた。しかし34分、リコーはラックでの反則とラインアウトのミスなどで自陣に侵入され、連続攻撃を受ける。徹底してボールキープを図るコカ・コーラウエストは36分、5番が22mライン付近でラインブレイク、横に走り込んだ15番がフィニッシュ。コンバージョンも決め、24-27と土壇場で逆転。

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 残り2分足らずという苦しい状況となったリコーは、キックオフを短めに蹴るが相手ボールとなる。コカ・コーラウエストは突進とラックを続けてつくりボールキープを図る。リコーもターンオーバーの機会をうかがいながらディフェンスを続ける。

そして試合時間残り15秒を切ったところで、ラックでボールをキープしていたコカ・コーラウエストに反則。ハーフウェイラインをわずかに越えたあたり、正面やや右の位置で最後のペナルティキックを得たリコーは、ゴールを狙うとレフリーに告げる。

キッカーは4年目にして公式戦初出場のFBピータース。強い追い風を背に助走をとると、右足を振り抜く。ボールは理想的な曲線を描きゴールのほぼ中央を射抜き、アシスタントレフリーが旗を上げる。同時にノーサイドの笛がなった。

27-27。ラストワンプレーで追いついたリコーは、初戦を辛くも引き分けに持ち込みボーナスポイントを含め、勝ち点3を確保した。

「前に出てプレッシャーをかけていくディフェンスを取り戻す」(神鳥監督)

神鳥監督

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「悔しいですね。風下で苦しい中スコアで上回れたので、後半はキックをうまく使いながら、しっかりエリアマネジメントをして、最初にスコアしようと話して後半送り出しました。逆に勢いづかせるような形で、コーラさんにトライを獲られてしまったので、そこから立て直しが効かず、ずるずるといってしまったのは反省点。後半の入り……。苦手意識があるのか、あの時間帯がどうしてもうまく戦えなかった。
ブレイクダウン回りの戦いなどは、特に前半優位に戦えていました。やろうとしていることの精度は自分たちのスタンダードに近いレベルを出せたのですが、相手の勢いを止めきれないというか。一旦受けに回ってしまったところのディフェンスの統制というんですかね。そこはいつも以上にうまくいかなくて、受けに回って後手後手になったとき、立て直せなかった。
次戦はディフェンスのところを修正しないといけない。今日の後半のような戦い方だと、また苦しい試合になることが予想されるので、やろうとしてきたディフェンス―もっともっと前にプレッシャーをかけていく意識を1週間で立て直していきたいです。アタックの面に関してはいい面もありましたので、さらに精度を高めていきます。
ここで緩むような勝ち方をするよりかは、しっかり引き締めてヤマハ戦に向かえるのはいいと思います。ポジティブに考えれば、シリアスに(次戦に)向かえるので」

ゲームキャプテン・FL野口真寛

「ミスに泣かされたゲームでした。後半風を意識して、有利にことを進めたかったのですが、ミスが出て逆に焦ってしまい、それが失点につながってしまった。今日の試合を絶対に忘れずに、これからの試合に生かしていきたい。
(悔しかったミスとは?)孤立してしまった場面で、ノットリリースザボールをし、相手にボールを与えてしまったこと。また特に後半、焦ったときにラックの相手側に倒れこんでしまい、ノットロールアウェイをしてしまったことです」

FB高平拓弥

「後半の最初は、相手が戦い方を変えてきてそれに対応できなかった。変えてくるのはわかっていましたが、それ以上に速いテンポでボールを出してきて受けにまわってしまって。チームとして修正力がなかったと思う。次の試合までに取り組みたいのはディフェンス。自分自身のディフェンスもそうだし、バックスリーのコミュニケーションも。大歓声の中でもきちんと意思疎通できるようにしたいです」

SO徳永亮

「前半はやろうとしたことができない中でも、風下である程度の点差で勝っていたので、後半風上に立って乗っていけるかなと思っていたんですが。受けてしまって、2本トライを獲られて、そこから修正するのに時間がかかった。立て直すゲームメイクができなかったのが悔しいです。マイボールをキープできなかった。もっとうまくキックを使っていかないといけませんでした。
今季は評価してもらって期待されているという実感があります。渡邊(昌紀)や高平(拓弥)がトライをとっていたので、それに続けるように、期待を裏切らないように、しっかりパフォーマンスを良くしていきたい。チームが勝つために自分が何をすべきかを明確にして、練習からしっかりやっていきます。
次戦はゲームメイクの部分と、うまくいっていないときにどう立て直せるか。あとは自分の仕事。タックルなどの精度を上げていきたい」

WTB星野将利

「何より結果が残念です。でも前半はボールがよく回ってきたので、ラグビーを楽しめたと思います。後半はディフェンスのミスが目立ってしまった。風と、大きな歓声の中でプレーするのが久し振りだったので、余計コミュニケーションがとりずらかったです。
前半は風下の分、ボールをキープしなければという意識が保たれていた気がします。それでうまくいっていたのかもしれない。後半はエリアをとっていくという意識が、自分たちを緩めてしまったのかな。次戦はディフェンスがテーマ」

PR藤原丈宏

「昨日は緊張しっぱなしだったんですけど、今日は振り切って、逆に落ち着いていました。開幕戦のメンバー入りは春からの目標に置いていたのでうれしいです。でも、試合に勝てなかったので、まだ自分の力は足りない。個人としての手応えもまだまだ。試合中もうまくいかないと思うことがたくさんあった。もう少し考えてプレーしたい。フィールドプレーももっと走らないと。ディフェンスのセットとか遅かったと思うので」

FBピータースダニエル

「このキックが入ったら同点、というようなことは考えないで、必ず入ると考えました。後はいつものテクニックのことだけですね。キックが入った後、やっとリコーのために貢献できたという気持ちが湧いてきた。声援はすごかったです。この応援があればきっと上位に上がっていけると思いました」

 互いに風下に回ったときに良いラグビーを見せるという、ラグビーの難しさを感じさせる試合だった。前半7試合で結果を残す必要のある新制度においては、この試合に勝てば得られたはずの勝ち点2の損失は小さくない。だが、ゲームキャプテンを務めた野口が口にしていた「今日のことは忘れずに、切り替える」ことが今一番大事なことだ。

次戦は9月7日(土)19時より三重県営鈴鹿スポーツガーデンで行われるヤマハ発動機ジュビロ戦。強力なスクラムなどセットプレーを武器とする相手に、インパクトを与えるラグビーで、リコーの今季初勝利を期待したい。


(文 ・ HP運営担当)

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