Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2012-2013 トップリーグ 第10節 対 九州電力キューデンヴォルテクス

2012.12.17

隙を再三突かれ、3トライ許す歯がゆい前半

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 リコーとして初の佐賀県でのトップリーグ公式戦。会場となった鳥栖市のベストアメニティスタジアムには、試合開始前には雪も舞った。キックオフの時間にはそれもやみ日も射したが、かなり寒さの中での試合となった。前節に一時的退出処分を科されたFLカウヘンガ桜エモシに「2試合の出場停止」という追加処分が下されたリコーは、前節ケガから復帰した柳川大樹をFLに置く布陣でこの試合に臨んだ。

先制したのは九州電力。リコーのラインアウトでのミスに攻め込み、リコーが仕掛けたアタックでノックオンを誘う。九州電力は左中間22mラインの内側でスクラムを得ると展開。右サイドを攻めると、守るリコーにラインオフサイドが出る。

5分、右中間でペナルティキックを得た九州電力は、後方からボールを持って歩いていた15番が、一瞬の隙をついてクイックリスタート。ほとんど一直線に走りトライを決める。コンバージョンは外れたが九州電力がリードを奪った。

直後の7分、キックオフボールを巡るブレイクダウンで九州電力にハンド。リコーはペナルティキックをタッチに蹴り出し、ゴール前ラインアウトを得る。これを右から左へ展開。中央をFL柳川大樹、CTB山藤史也が縦に突きゲインする。左隅ゴールライン間際にラックをつくるとここから戻す。フラットなパスを通し右サイドへ。NO.8コリン ボークからの長いパスがWTB星野将利に通ると、タッチライン際を突破。回り込んだ星野は右中間にトライを決めた。コンバージョンも決まりリコーがすぐさま逆転に成功する。鮮やかなアタックに九州のリコーファンが集まったスタンドも沸いた。

その後、九州電力は自陣ラインアウトからキレのあるアタックを見せるも、パスミスでボールがタッチを割りチャンスを逃す。リコーがラインアウトをキープすると直後の密集で九州電力にオフサイド。右サイドのタッチライン際からSO河野好光が距離のあるタッチキックを狙う。だがラインを割らず九州電力の選手がキャッチ。そこからカウンターアタックを仕掛けたがリコーはこれをしのいだ。互いに一進一退が続く時間帯に。

スコアが動いたのは16分。敵陣浅めの位置のラインアウトを奪ったリコーがアタックを仕掛ける。中盤でフェイズを重ねチャンスをうかがうが、SH神尾卓志がハーフウェイライン付近で左へ出したパスに九州電力13番が反応。パスコースに走り込み右中間でボールを直接キャッチ。そのまま約50mを走りきってトライを決めた。コンバージョンも成功し7対12、再び九州電力がリードする。

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 そのすぐ後、キックオフボールの処理で九州電力にアクシデンタルオフサイド。スクラムからCTBワイナンド オリフィエ、FL柳川が縦の突破を仕掛けゴール前にボールを運ぶ。さらに攻撃を続け左中間のスクラムを得ると、右に展開。すると九州電力が右中間ゴール間近の位置でオフサイドを犯す。リコーはスクラムを選び攻撃再開。優勢に押すと九州電力にコラプシング。ここでNO.8コリン ボークがスクラムサイドを突き中央インゴールに飛び込みトライ。コンバージョンも決まって14対12、リコーが再逆転に成功した。

その後、リコーは26分に左サイドのラインアウトから展開し、右サイドをWTB星野が突きチャンスをつくる。九州電力はリコーのパスミスを突いて攻め上がりゴール前で連続攻撃を仕掛けるチャンスをつくったが、得点は生まれないまま時間が過ぎる。

40分、守りきったリコーは敵陣のスクラムを得ると連続攻撃。ゴールまであと10mに迫る。しかし右サイドでBKが回したパスを、今度は九州電力の15番がさらう。15番はそのまま90m独走し左中間にトライ。クイックリスタートとインターセプトからの独走で3トライ。リコーの隙を突き続けた九州電力がリードして前半は終えた。

連続トライでリード奪うも、ペナルティ起点に猛攻浴び逆転負け

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 後半開始直後、リコーにオフサイド。タッチキックを蹴り前進した九州電力のアタックで始まる。しかしリコーはラインアウトのミスにも助けられエリアを回復。序盤のピンチをなんとかしのぐ。5分、SH神尾を池田渉に、CTBオリフィエをWTBにロイ キニキニラウに交代。WTB小松がCTBに入った。

7分、ターンオーバーを重ね合うめまぐるしい攻防の中で、九州電力の9番がパンチング行為で一時的退出を科される。リコーはこの反則で得たペナルティキックをタッチに蹴り出しゴール前まで前進する。左サイドのラインアウトからモールを組み、崩れたかけたところでボールを持ち出したHO森雄基が、ライン際を抜け回りこみ左中間にトライ。角度のあるコンバージョンもSO河野が成功させ、21対17とリコーが3度目の逆転に成功する。「エリアね」と呼びかけるキャプテン小松の声がグラウンドに響く。

しかし、折れない九州電力は数的不利を背負いながら激しいアタックを見せ、リコーはディフェンスに追われた。ボールを奪う場面もあったが、すかさず激しいプレッシャーがかかり、リコーはボールキープに苦しんだ。

14分、WTBキニキニラウが冷静なキックを相手のライン裏のスペースに転がす。リコーは崩れた陣形を整える時間を得ると、その返しのキックをキャッチしたNO.8ボークが自陣22mライン付近からカウンターアタック。最後方から中央を味方選手の間を一気に追い抜き、九州電力のディフェンスラインの薄い部分を突破。敵陣に侵入すると左をサポートしたSO河野にパスし、河野が走りきって左中間にトライを決める。ゴールも自ら決め28対17とリードを広げた。

得点のプレッシャーによって主導権を奪い返したいリコーだったが、「目の前の1本」に集中したという九州電力は、変わらないパフォーマンスで攻め続ける。リコーはこの後もボールキープがままならず苦しんだ。15分にはLO生沼知裕を山本健太に、17分には負傷したHO森を川口顕義に、またSO河野を津田翔太に交代する。だが効果的なアタックを見せられないまま、時間が過ぎていった。

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 九州電力はハーフウェイライン付近からのリコーのWTBキニキニラウ、HO川口とつないだアタックを止め、ノットリリースザボールを奪う。タッチキックでリコー陣内に攻め込み、さらにマイボールスクラムを得る。ここから連続攻撃を見せると29分、左中間のラックから右に展開。14番がタッチライン際を抜けると右隅にトライを決めた。コンバージョンは外れたが28対22と6点差に迫る。

ラスト10分も九州電力が猛攻を見せる。リコーは状況を打開できそうな場面で反則と判定される歯がゆい展開が続いたが、それでも自陣でタックルを繰り返し耐え続けた。しかし40分、リコーにオフサイドの反則。右中間のゴールまであと約15mの位置からリスタートした九州電力のアタックを止められず、6番に左中間へのトライを許す。これで1点差、さらにコンバージョンが決まれば逆転という状況となった。

全員がキッカーにプレッシャーをかけるも、強く蹴られたボールはポールの間の中央を抜けていく。その瞬間、計ったかのようにホーンが鳴り同時にノーサイドのホイッスル。リコーは前節の近鉄戦の2点差に続く僅差、1点差で敗れ2連敗となった。

「相手の順位などを考えた部分は少なからずあったのだと思う」(LO生沼知裕)

SH神尾卓志

「序盤からバタバタしてしまった。勝てた試合だと思うが、自分たちの気持ちの部分がプレーにつながってしまった。敵陣に入るためにキックを使うとか、大事な場面でプレーを切るとか、そういうところがうまくできないまま試合が進んでしまった。自分も長いパスを狙ってパスカットされてしまいました。最初にトライを獲られましたが、焦ったりする感じはなかったです。ただ、いつもの試合運びとは違うなという感じはあった。そういうのを変えていくのも自分の仕事。ハーフタイムは、リコーのスタンダードを、いつもやっているプレーをしようと。ダイレクトに。そうすればおのずとテンポが出てくるはずだと話していました」

LO生沼知裕

「先週負けて、またチャレンジャー精神を持って挑もうということでした。それでも、相手の順位などを考えた部分は少なからずあったのだと思います。その上で勝たないといけない試合というプレッシャーもあった。そういう状態で臨んだ試合で最初のトライを獲られ、後手に回る展開になってしまった」

LO山本健太

「後半節に入って、オフェンス面で悪い流れを感じていました。今日も後半ピッチに入ったときには、落ち着かない感じを受けました。前半節の後半、連勝できていた時期は、この選手はこういう場面ではオフロードパスを出すことが多いとか、このランナーはこういう場面で走るからサポートつけばいい、というような感覚がつかめていた気がします。少しその部分で感覚の違いがあった。メンバーが入れ替わっていく中でも、そういう理解を深めたい。
あとはディフェンス。自分もビッグヒットで相手を倒してやろうと思ってしまうことはあるけれど、その気持ちを抑えてチームの組織的なディフェンスで止めるという意識を徹底しないといけない。積極的に前に出て、いいタックルを決めればいい展開が生まれることは当然ある。ただ、それが結果的にギャップをつくってしまったり、オフサイドを招くこともある」

FL柳川大樹

「(試合の流れをつかめなかったが、その理由は?)まず反則の多さが前提にあると思います。その上でボールキープができなかったこと。九州電力のプレッシャーを受けてしまった」

WTB星野将利

「結果が出ていなかったので、最後のチャンスだと思ってプレーしました。アタックはもちろん、ディフェンスも全力でやって、僕のところは全部止めたかったんですけど、思うようにいきませんでした。途中で修正することもできなかった。これまで、外に回して伸一(FB横山伸)などが走ってチャンスをつくってきましたが、今日は警戒されたのか(間合いを)詰められていました。長いパスはどれも狙われていましたし、後半はそれを意識してあたふたしてしまったところもあった」

 前の試合を終え、キャプテン小松大祐が取り戻したいと話した「リコーらしさ」は、残念ながら、この日の試合を通して発揮することはできなかった。ただこの2試合、誰もが感じている歯がゆさは、試合のところどころで「らしさ」が光っていたからこそ生まれるものであるはず。

勝負に勝ちたいと思えば、誰もが最初に考えるのが「らしさ」をつぶすこと。シーズンが深まればなおさらだ。リコーのラグビーは今試されているのかもしれない。この困難に打ち勝ったとき「リコーらしさ」はメンバーにとっての自信の根拠に、対戦チームにはプレッシャーを与える明確な脅威となるに違いない。


(文 ・ HP運営担当)

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