Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2012-2013 トップリーグ 第7節 対 キヤノンイーグルス

2012.10.26

キヤノンの闘志とリコーのディフェンスが真っ向勝負に

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 8千人を超える大観衆が見つめる中、キヤノンイーグルスの10番のキックオフで試合が始まる。

直後、リコーは相手のパントキックを獲ったCTBワイナンド オリフィエが大歓声とともにいきなりのアタック。22mライン手前に迫った。ややサポートが遅れ、ノットリリースザボール。しかし、タッチキック、ラインアウトからのキヤノンのアタックが乱れリコーボールに。キックを蹴り込み、蹴り返しをキャッチしたFB横山伸一が自陣からカウンターを仕掛け、WTB小松大祐、CTB山藤史也とつなぎ左サイドを突きチャンスをつくる。左中間、22mラインまであと少しの位置のブレイクダウンでキヤノンの激しいディフェンスに遭いボールを奪われたが、直後のエリアを獲りにいったキックをWTB小松がチャージ。ボールはタッチを割り、リコーの敵陣でのプレーは続く。

ラインアウトからモールに。ここでキヤノンに反則があり、リコーボールのスクラムに。左中間22mライン上のスクラムから展開。右サイドを攻めようとするがノックオン。ボールを奪われキックでボールをリコー陣内に押し戻される。

ラインアウトからSH池田渉がハイパント。一度リコーがボールを手中に収めながらこぼす。これを拾ったキヤノンが左サイド深くキックを蹴り込む。22mラインの内側へWTB星野将利が戻り、自ら攻め上がろうとしたところによくチェイスしたキヤノンの選手が襲いかかり、星野をタッチラインの外へ押し出す。

キヤノンはこの闘志あふれるプレーで得たラインアウトから展開。中央付近にポイントをつくり、縦の突進を繰り返す。しかしリコーもこれによく対応しヒット。一歩も退かずディフェンスする。

キヤノンは中央22mライン付近のラックの背後から、10番がボールをピッチでバウンドさせ、ゴールに向かってキック。これがポストの間を抜けDGに成功。10分、0対3とキヤノンが先制する。接点でのキヤノンの激しさが目を引く立ち上がりとなった。

15分、キヤノンはFB横山伸のアタックを止め、ターンオーバーからアタックを仕掛けるがノックオン。リコーは自陣スクラムを得る。10mライン付近中央やや右のスクラムからボールを左へ展開。WTB小松にボールを回すと左中間を一気にゲインした。敵陣に侵入しポイントをつくるとSH池田が素早く球出し右へ展開。第二次攻撃を仕掛ける。中央付近でキヤノンがディフェンスでオフサイド。アドバンテージが出た状態でプレーが続いたが、右サイドでリコーにノックオンが出て試合が止まる。

17分、ボールをペナルティのあった地点に戻し、リコーがゴールを狙う。10mラインを少し越えたあたり、ほぼ正面の位置からSO河野好光が蹴り、これに成功して3対3。リコーが追いついた。

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 そのすぐ後の22分、FB横山伸が自陣から蹴ったハイパントを、走り込んでキャッチしたキヤノンの選手が、タックラーを払いのけると、右サイドを走る。ゲインラインを突破すると、22mライン手前で外をフォローした14番にパス。そのまま走りきってトライ。コンバージョンも成功して3対10。キヤノンが勝ち越しに成功する。

その後、リコーはSO河野好光のキックなどでうまくエリアを獲り、アタックを仕掛けるがハンドリングエラーが出て効果的なアタックにつなげられない。我慢の時間が続いた。

バックスリーがチャンスをつくり、同点で折り返す

 だが35分、ハーフウェイライン付近のスクラムから展開。CTBオリフィエのスピード、NO.8マイケル ブロードハーストの縦の突進などで突破を狙っていくと、右サイドをWTB星野将利が抜け一気にゲイン。22mライン付近でグラバーキックを前方に蹴ると鋭く加速し、自らボールを押さえに走ったが惜しくも一歩及ばずキヤノンにセーブされる。

しかし、再開のドロップアウトをキャッチしたFB横山伸が自ら仕掛け、中央ハーフウェイライン付近にラックをつくると、ノットロールアウェイでリコーにアドバンテージが出たが、アタックを継続し左に展開。36分、パスを受けたWTB小松が快足を飛ばし22mライン付近に迫ると、内をフォローしたFB横山伸にパス。バックスタンドのブラックラムズ大応援団の大歓声とともに、そのまま走りきって左中間にトライを決めた。コンバージョンも成功しリコーが再び同点に。黒く染まったスタンドがこの日一番の声援で揺れる。

前半終了間際には、展開に備え広がったディフェンスラインにギャップを見いだしてはアジリティを生かし、繰り返し果敢に飛び込んでいたSO河野が、WTB星野への絶妙なキックパスなども見せ、あと一歩というチャンスをリコーはさらにつくっていく。前半を通じてBKへのボール供給を遅らせようとする、キヤノンのブレイクダウンの激しさに苦しんだが、なんとか同点で試合を折り返す。まさに真っ向勝負の様相を呈してきた。

攻める意識取り戻し、モールを有効に使いトライ連取に成功

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 後半はCTBオリフィエに代えてWTBロイ キニキニラウを入れてスタート。CTBに小松が入った。
リコーはSO河野が蹴ったキックオフボールを、鋭く飛び出していったNO.8ブロードハーストがキャッチ。サポートも素早く追いつき、ほぼ22mライン上にラックをつくりいきなりのチャンス。

素早い球出しからWTB小松が右中間を突く。さらに攻撃を継続するとキヤノンに反則。1分、ほぼ正面の位置からペナルティゴールに成功。13対10と。立ち上がりからいい動きを見せたリコーが、このゲーム初めてリードを奪った。

8分、ハーフウェイライン付近左サイドのラインアウトからキヤノンがワイドに展開、右サイドを突く。リコーは倒しきれない。整ったアタックではなかったが粘り強くつながれた。キヤノンはギャップを抜けると右サイドタッチライン際を走り14番がトライ。コンバージョンも決まり13対17。再びキヤノンがリードを奪い返した。

リコーは直後の11分、ハーフウェイライン付近、右サイドのブレイクダウンでこぼれたボールをWTBキニキニラウが前方にキック。ボールは22mラインを越えて転がっていく。駆けつけた両チームの選手がボールの奪い合いとなったが、キヤノンに反則。リコーはタッチに蹴り出しラインアウトを得る。

右サイドゴール前のラインアウトから、リコーはモールで押し込むと、そのまま、割れんばかりの大声援を背に受けてインゴールになだれ込みFLカウヘンガ桜エモシが豪快にトライ。リコーFWが力を見せつけた瞬間であり、試合の流れを引寄せた大きなプレーとなった。コンバージョンははずれたがリコーが18対17とした。リコーは14分にPR長江有祐を高橋英明に。

真っ向勝負のシーソーゲームを終わらせたのはリコーだった。18分、キックをキャッチしたFB横山伸からのパスを受けたCTB山藤の右中間でのアタックを起点に、ゴール前で展開。左サイドを破ったWTBキニキニラウが左隅にトライ。コンバージョンはポストに当たり惜しくもはずれたが、点差を6点に広げた。22分にHO森雄基を川口顕義に交代。

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 その後リコーはアタックを浴び続けた。しっかり守って主導権を握り直し、28分にはキヤノンの反則でゴール前ラインアウトのチャンスを再び得る。リコーはモールを強烈に押す。ゴールまであと少しの位置で停滞するのを見ると、すかさずボールを左に展開。中央付近でWTBキニキニラウが突破を図る。ラインブレイクすると反応よくサポートの選手がなだれ込みゴール目前の位置にラックをつくると28分、NO.8ブロードハーストがボールを拾って中央に飛び込みトライ。コンバージョンも決まって30対17とする。

リコーがキヤノンを突き放した31分。SO河野を津田翔太に交代。終了間際にSH池田を神尾卓志に、ブロードハーストをコリン ボークに、馬渕武史を赤堀龍秀に交代。

この後も39分にはゴール間近、右中間のスクラムからNO.8ボークが右に出し、WTBキニキニラウがショートサイドを破ると、内をサポートしたボークに戻しトライ。コンバージョンははずれたが。さらに得点を追加して35対17に。結局5トライを挙げたリコーが快勝し3連勝。しかも3試合連続でボーナスポイントも獲得するというチームの充実を示す結果となった。マンオブザマッチは、再三チャンスをつくったFB横山伸一に贈られた。

生まれ始めたチームの内側からの“うねり”

 試合後、仕事でも近い分野で競う両社で働く人々などから注目を浴び、8,073人という観衆がスタジアムに訪れたこの日。試合終了後、バックスタンドに向かう選手たちを迎える歓声は地鳴りのようだった。手を挙げ応える選手たちの誇らしげな姿が印象的だった。また、キヤノン応援団の多くの皆さんから、一礼をするリコーブラックラムズの選手に、たくさんの温かい拍手をいただいたこと、そしてキヤノンイーグルスの全選手へのリコー応援団からの大きな拍手と声援は、瞼に焼きついた感動の瞬間となった。これから長きに渡ってトップリーグで闘い続ける両チームにとって、忘れることができないシーンとなった。

SH池田渉

「(開幕からの4試合とこの3試合、何が変わったのか?)リロードの部分。選手がいるべきポジションに就くのが少し遅かったのが、修正された。暑さも影響していたのかもしれない。今日の前半も少しそういうところがあって、ブレイクダウンで少し押された。でもそこが修正できれば、いいアタックが仕掛けられる。
(後半戦に向けた課題は?)今日はサニックス戦、NEC戦と比べ前半がよくなかった。精度を高める余地はまだある。特に、リコーのアタックではSHの球出しが生命線だと思っています。FWがしっかりガードして、僕がクイックにボールを出す。それさえできれば、リコーのテンポでいいアタックができるはず。FWと協力して1%でも高いレベルでボールをさばいていけるように」

FL赤堀龍秀

「(2週連続で出場機会を得たが?)雰囲気を味わっているだけですが。でも、今日は緊張せずプレーできたと思う。まだ出ている時間が短いので、ペースを考えず思い切ってやるだけですが、今後プレータイムを伸ばしていきたいので、その配分についても慣れていければと思っています。頭の中は常に冷静でいようと心がけています。(バックアップとして準備を続ける毎日には?)この感覚はメンバー入りするようになって初めて味わった感覚です。ラグビーに集中できている。研ぎすまされていく感覚があります」

PR長江有祐

「(前半ラックなどでかなりプレッシャーを受けたが、ピッチではどんなコミュニケーションをしていたのか?)人数が足りていないわけではなかったので、みんなラックに入ってきてはいたが、ボールの上がフリーになってしまっていたので、それを修正しようという話をしました。それで修正できるのは個々のレベルの高さ。(ここ数試合について何か変化を感じるか?)ダイレクトにアタックすることが以前に比べできるようになってきている気はする」

HO川口顕義

「(重要な場面での途中出場が多いが?)リラックスだけ心がけています。いつでもいける準備をして。チャンスをもらっているので、もっともっと出し切れればと」

FB横山伸一

「今日はもう少しボールを振りたかった。でもブレイクダウンでやられていて、相手の時間帯も長かった。我慢するところは我慢しようと。そういう中でも、小松選手や星野選手にフリーでボールを持たせられるようにと思っていた。我慢はできたと思う。トライ2つ、しかも「ボールキープできなかった」という原因がはっきりしているものだから、切り替えて闘えた。(活躍が続いているが、相手に意識されている?)まったく感じません。僕は細いのでディフェンスは前に出て止めようとするんですよ。でもそれをしてもらうことで他の選手が自由になるので助かる。意識してくれるなら、して欲しい。その分、小松、星野の両選手に回せるチャンスが増えるので。(チームの雰囲気は?)よくなった。ただ次の東芝戦がとっても大事です。前半戦最後の試合なので出し切りたい」

「プレッシャーを感じた」と話す山品博嗣監督は安堵の表情を浮かべ、ここ数試合とその間の練習などから感じているチームの変化を口にした。
「僕が言ってきたのは、何が大事なのかだけです。強く、速く、正確に。その通りチームは変わってくれました。この実際の変化にあたっては、小松のキャプテンシーがすごく大きいと思っています。彼は本当のキャプテンになりつつある。練習中、ミスが多くなって、悪い雰囲気になっても、スタンダードに達していないと僕が伝えるケースが減ったんです。その前に小松がその空気を読み、選手を集めて、もう一度スイッチオンさせている。

シーズン前から言ってきたことですが、中からのうねりはとても重要です。選手たちが自ら修正や調整ができるようになってきたことはすごく大きい。負けた4試合も、この3試合も、ラグビー自体は変えていません。にもかかわらず結果がついてくるようになったのは、その点での成長が大きいと思う。やはり主役は選手です。我々はガイドを引くけれども、やるのは選手なんだと、改めて強く感じています」

4連敗という苦しい状況においても、チームの絆が強く結ばれたままだったというのも大きな成長だろう。負けが続いても、誰もが「今は自分たちのラグビーを信じるとき」と話し、言葉だけでなくピッチでその信念を貫いた。そして、風向きが変わった。

「それは春から、全員とコミュニケーションをとってきた成果でもあると思います。昨シーズンは試合に出られる選手と出られない選手の間で、モチベーションに差ができた。目標を見失って練習に参加しているように映る選手もいた。でも、そういう選手がいるチームが勝てるはずがないと伝え続けた結果、選手たちが、自ら置かれた立場を問わずモチベーションを高めようと、努めてくれています」。ここにも内なる“うねり”から生まれていた。

このうねりをさらに増幅していけるかは、次節10月27日(土)、13時から茨城県のケーズデンキスタジアム水戸で行われる東芝ブレイブルーパス戦でどのような闘いをするかにも懸かっている。昨シーズンよりも明らかに大きくなっている声援とともに大きなうねりとなり、トップリーグをさらに面白く、魅力あるリーグにするには、東芝という壁を越えることが必須条件だからだ。

リコーは3連勝を飾った。
さらなる自信を深めリコーがどこまでやれるのか。
ウインドウマンス(1ヵ月の休止期間)前の最後の公式戦を、現在のリコーの最高を見せつけて勝利で締めれば、後半戦はリコーが新たなステージに挑むチャンスとなるはずだ。トップリーグ第8節のゲーム内容が大事になってきた。その結果はもっと重要になってきた。大きな壁(東芝)は、誰でもない、選手一人ひとりが仲間を信じて乗越えて、「結果」を残してこそ、真のチーム成長だと思う。 注目の一戦だ。


(文 ・ HP運営担当)

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