2012-2013 トップリーグ 第6節 対 NECグリーンロケッツ

2012.10.17

FWが突き刺さり、鋭くパスを散らす最高のアタックでリード奪う

 福岡サニックスブルース戦を会心のゲームで勝利したリコー。開幕から貫き通した自分たちのラグビーを結実させた勝利は、チームに大きな自信をもたらした。第6節NECグリーンロケッツ戦のピッチには、すべてを迷い消し去ったからか、下を向かず胸を張り背筋がぐっと伸びているからか、一人ひとりの輪郭がはっきりとしたブラックラムズメンバーの雄姿があった。

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 14時、SO河野好光のキックオフで試合開始。これをキャッチし、回したNECがボールをこぼす。リコーはこれを奪い、左中間から展開。LO山本健太、馬渕武史、FLカウヘンガ桜エモシ、NO.8マイケル ブロードハーストらの縦の突進と素早いサポートで確実にボールをキープ。クイックボールを出してフェイズを重ね、一気にゴール前に迫った。

1分、中央のSO河野から左中間のカウヘンガへパスが通るとその背後から横山伸一にパスを通して、鋭く加速して左の小松大祐へ。小松は巧みなステップで前に出て相手を引きずりながらインゴールへ達し左隅にトライ。リコーは、ボールを奪ってから、無駄のない美しい連続アタックで、ファーストトライを奪った。コンバージョンは右にそれはずれたが5対0と先制した。

トライ後、NECがリコー陣内に入り攻撃を見せる。ゴール前まで迫られる場面はあったが、的確なディフェンスとSO河野らのキックでうまくいなし、じりじりとラインを上げていった。

ハーフウェイラインを超え、再びアタックを仕掛けていったが、ラックで一瞬の隙をつかれてターンオーバー。ピンチとなったが、ボールを拾い損ねてリコーボールに。ラインアウトのミスやハンドリングエラーを突いて再びリコーがエリアを取り戻していく。

リコーにノックオンが出て、NECは自陣左中間のスクラムから右に展開。中央でキックを蹴り込もうとしたが、これにCTBワイナンド オリフィエが反応。手を伸ばしチャージ。こぼれ球に即追いつき、持ち前の走力を生かしてゴール左隅に飛び込んだ。オリフィエ選手が、待ちに待った来日初トライを豪快に決め、試合の勢い、流れをNECに渡さなかった。

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 このトライのあと、再びNECは攻め込むが、リコーは、一人ひとりがマークする選手をしっかり押さえ、落ち着いてよく守り続けた。26分、相手のノックオンでスクラムを得るとSH池田 渉のキックでゲイン。ラインアウト後のラックから球出しをしようとしたスクラムハーフに池田が絡みターンオーバー。

29分、右サイドを駆抜けた、NO.8ブロードハーストが右隅に飛び込んで、リコーのこのゲーム3トライ目。トライの後、HO滝澤佳之が森 雄基に交代した。ラスト10分はリコーが試合をコントロール。アグレッシブなアタックと的確なキックで決定機をつくらせずそのまま前半を15対0で終えた。

試合の分岐点を丁寧に闘い、流れを引寄せたリコー

 後半開始直後の1分、キックオフボールをリコーが蹴り返し、NECがゴールまで30m程度右サイドのラインアウトを得た。これを起点にアタックし、中央のラックからボールを出すと左中間で2人のCTBの間のギャップを抜けた14番が加速。インゴールに達してトライ。コンバージョンは左にはずれたが15対5に。

次の得点が試合の流れに大きな影響を与えそうな展開となり、互いに集中力を発揮しチャンスをうかがいあった。10分、リコーはCTBオリフィエをロイ キニキニラウに交代しWTBに。小松がインサイドCTBに入った。

12分、NEC陣内10mライン間近の位置のスクラムでNECに反則。ほぼ正面の位置からペナルティゴールを狙うが、SO河野のペナルティキックはわずかに短くはずれた。

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 続いて14分、ハーフウェイライン付近、左サイドのラインアウトからリコーが展開。中央のラックでNECが反則を犯すとSH池田がタップキックを蹴りリスタート。相手ディフェンスラインに分け入って進むとサポートしたWTBキニキニラウが前に出る。これを起点にリコーがアタック。フェイズを重ねていくが、NECもブレイクダウンで激しさを見せた。

ボールキープを徹底し、リコーがフェイズを重ねていくと、再び右中間でキニキニラウが突破。15分、ポイントをつくると左サイドまで回しWTB小吹祐介にボールが渡ると、前方のスペースを見据え真っ直ぐ加速。そのままトライを決めた。コンバージョンも決まり22対5。リコーが貴重な追加点を挙げた。

自陣からアタックを仕掛けるNECを押しとどめ、敵陣でのプレーを続けると20分、押し込まれたNECがキックを蹴りリコーのラインアウトに。これをキープし左サイドから展開。プレッシャーを浴びながらもそれぞれ高いハンドリングスキルでボールをつなぐと、右サイドをキニキニラウが走る。20分、3人のディフェンダーが止めにきたがこれをもろともせず、つかまれながらも右サイドに飛び込んでトライ。スキルとスピードとパワーで奪ったトライで27対5。角度あるコンバージョンも2本連続でSO河野が決め、29対5とさらにリードを広げた。このトライの後、リコーは26分、PR長江有祐を高橋英明に交代。

29分、攻め上がりボールを回すNECのパスをキニキニラウがインターセプト。自陣から走りきってポスト右へトライして34対5。コンバージョンも決めて36対5とした。この直後、SH池田渉を神尾卓志に、NO.8ブロードハーストをコリン ボークに交代した。

大きなリードを奪ったリコーだったが、ここからNECの反撃を浴びる。33分、ボールキープを許して粘り強くフェイズを重ねられると、右中間のラックから右に展開。タップパスで15番につぐとそのまま前方へ加速。右サイドから中央に回り込んでトライ。

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 リコーは35分にCTB山藤史也を代えて津田翔太を入れてSOに。河野がCTBに入った。さらにFLカウヘンガに代えてトップリーグ初出場となる2年目の赤堀龍秀が登場。

39分、タックル時にバインドしなかったとしてPR柴田和宏に一時的退出処分が下る。直後右サイドをモールで前進したNECがボールを出すと右中間からキックパス。これが長身の14番に通りトライを奪われた。ボーナスポイントまで1トライに迫ったNECは、ラストワンプレーも果敢に攻めてきたが、最後は反則を犯しノーサイド。
リコーは6トライを挙げ、自信あふれる闘いぶりで連勝した。マンオブザマッチには、攻守を問わず高いワークレートで献身的なプレーを続けたLO馬渕武史が選ばれた。

「フィジカルバトルが鍵であること。選手は、それを理解していた」(山品博嗣監督)

WTB・CTB小松大祐キャプテン

「開幕からの連敗を受け止め、その教訓を生かそうと思って臨んだ試合。ここまでの試合は、消極的であった点を反省。今日の試合は最初から攻め続けようと決めていた。チャレンジャーに徹することができたのではないかと思う。今日は守備からリズムをつくることができたと思います。特に馬渕(武史)、山藤(史也)の2人がチームをリードしてくれました」

CTB山藤史也バイスキャプテン

「この一週間、練習から小松キャプテンがチームを盛りあげてくれて、雰囲気よくNECに挑むことができた。それぞれのメンバーとコミュニケーションを一生懸命取ってくれるので、試合にも生きている」

FL川上力也

「(ラインアウト、スクラムは安定していたが)この1週間、何か特別なことをやったわけではなく、フォーカスはしてきたが、それはこれまで通り。序盤は自分たちがやりたいことと実際のパフォーマンスにギャップがあったかもしれない。それがいまはキャッチアップしつつある。チームとして前向きに(ラグビーに)取り組めていると思う」

LO馬渕武史

「ラインアウトは相手に対しどうするかよりも、マイボールラインアウトをしっかり獲ることに集中しようと皆で話してきた。その成果が出ました」

 山品博嗣監督は試合後、グラウンドでの勝利監督インタビューにこう応えた。
「自分たちの闘いをやれば、結果は必ずついてくる。アタックもディフェンスも、今日は70分まではスタンダードをキープ出来た。フィジカルバトルは鍵になると話してきたが選手はそれをしっかり理解してくれていました。次節以降、一戦一戦、チャレンジャーとして自分たちのラグビーをしていきます」

サイズの大きな相手FWにも屈せず、何度もぶつかっていったリコーの選手たち。技術はもちろんのこと挑戦者として、相手に、自分に挑んでいこうという思いが共有されたことで、リコーのラグビーは明確な形となった。その形は強さとなって、大切なゲームで発揮しはじめた。

次節は10月21日の日曜日、13時から、キヤノンイーグルス戦。神奈川県横浜市のニッパツ三ツ沢球技場での一戦。一ヵ月の試合の休止期間(ウインドウマンス)まであと2試合。初昇格ながら中位を争う相手キヤノン。そして昨年、いい場面まで追詰めて敗れた東芝と続く。この2戦に挑むリコーは、日々のさらなる練習とゲームでの細かい仕事(高精度なプレー)を積重ねていく。


(文 ・ HP運営担当)

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