Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2011-2012 網走合宿 対 NTTドコモレッドハリケーンズ

2011.09.09

合宿のテーマは「結束」「競争」「理解」

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 今年の網走合宿は8月15日から29日までの15日間に及んだ。ラグビーW杯開催にともないトップリーグの開幕が10月末であることから例年よりも開始は遅く、期間は長かった。前半はトレーニングを中心に、後半は試合に集中した。15日間の間に組まれた試合は6試合。

21日  三菱重工ダイナボアーズ
〃   パナソニックワイルドナイツ
24日  同志社大学
25日  ホンダヒート
27日  釜石シーウェイブス
28日  NTTドコモレッドハリケーンズ

合宿前半は春からつくりあげてきた基礎をベースに、攻撃や守備のシステム構築。後半は試合での経験を積むと同時に、トレーニングで酷使した身体を冷やし回復させるアイスバスの利用、リカバリードリンクやサプリメントの的確な摂取をすすめ、選手たちは連戦の中でもコンディションを保つ経験を積んだ。
今シーズンのトップリーグは、例年ならある1ヵ月の休止期間(ウインドウマンス)なしに15週間で13試合の連戦が続く。タイトなシーズンを乗り切るために、選手全員のコンディショニングを意識することに重点を置いた合宿となった。

最終戦を残し、5試合を闘い終えた山品博嗣監督は手応えを話す。

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「今回の合宿のテーマは『結束』『競争』『理解』。合宿では、チームワークを築きながら、競争も促しました。チームを2つに分けて闘ってきましたが、選手には毎試合がセレクションだと伝えています。試合の順番がB→A、B→Aの順なので、Bの試合でいいプレーを見せた選手はトップリーグのチームが相手のAの試合でプレーするチャンスを与えました。全員にアピールの機会を与え、そこで成果を挙げればトップリーグの試合に出場するチャンスがあるという意識をもってもらいました。
また、アタック/ディフェンスのシステムなど、今年のリコーがどんなラグビーをするのかという部分に対する理解も深まったと思います。試合内容は春とは、あきらかに違うんです。自分たちの目指してきたラグビーが“機能”しはじめていると思います」

リコーブラックラムズ(リコーラグビ―部)の合宿最終戦は、今シーズンよりトップリーグに昇格を果たしたNTTドコモレッドハリケーンズ。来年1月22日、勝負どころであろうトップリーグ終盤第11節で闘う相手と、合宿の成果をすべて出し切る思いでぶつかった。

前半20分で4連続トライ

 午後2時、湿度は低いが夏の強い日差しの網走トレーニングフィールド。試合開始のホイッスルが響き渡る。開始直前、キャプテンHO滝澤佳之、FL金栄釱らを中心に声をかけあったリコーのメンバーのテンションは高い。合宿最終盤でも疲れは感じられず、集中力をもって試合に入った。

CTB金澤良によるキックオフのブレイクダウンでボールを確保し、22m陣内でアタック。いきなりのチャンスを迎える。NTTドコモもキックで勢いを削ぎにかかるが、リコーはフォワード、バックスともに集中力が高く、鋭い反応を繰り返し攻撃のチャンスを狙っていく。

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 6分、左サイドハーフウェイライン付近のラインアウトから展開。SOタマティ・エリソンからグラウンド中央付近でボールを受けたFB河野好光がギャップを鋭く突き、右中間を抜ける。10mラインを越えた辺りで外側をフォローしていたWTBロイ・キニキニラウにパス、そのまま走りきり右中間にトライ。コンバージョンもFB河野が決め、7対0とリコーが先制。

さらに9分、自陣10mライン付近からLOカウヘンガ桜エモシが相手を引きずりながら突破。フォローしていたWTBキニキニラウがボールを受けると鋭く抜け出し、再び右サイドを抜けてトライ。コンバージョンも成功し14対0とリコーは点差を拡げた。

12分には、CTB山藤史也の突破でNTTドコモ陣内に侵入すると、NTTドコモが中央のラックでノットロールアウェイ。FB河野がタッチ(左サイド)に蹴り出すと、ラインアウトから展開。ゴール右でラックをつくり、繰り返しサイドを突いてジリジリ前進。最後はLOカウヘンガがインゴールエリアに飛び込んでトライ。コンバージョンも決まり7点を追加、21対0とした。

ここでNTTドコモが反撃。リコーは自陣でノックオンを犯し、NTTドコモはスクラムサイドからアタックのディフェンスにまわる。ゲインラインを前進させずによく守っていたが、リコーはノットロールアウェイの反則を取られた。NTTドコモはタッチに蹴り出し(右サイド)、ラインアウトからモールでトライを狙う。ゴールライン間際の攻防が続いたが、NTTドコモにオブストラクションの反則。リコーはタッチに蹴り出しピンチを逃れた。

リコーはその後攻勢に転じ、自陣10mライン付近(左サイド)からのマイボールラインアウトをキープする。SOエリソンが自ら走り切り、ギャップを突いてラインブレイク。NTTドコモ陣内に侵入すると10mラインを過ぎた辺りで右サイドを走っていたWTBキニキニラウにパス。キニキニラウはそのまま走り抜いて18分、右隅にまたもトライ。角度のあるコンバージョンは外れたが、リコーはピンチ直後のチャンスを得点につなげ26対0とリードをさらに拡げた。

キャプテン滝澤がチームを引き締める

「点差は関係ない。リコーのラグビー!」。序盤の勢いがそのまま点差となる理想的な展開の中で、キャプテン滝澤が集中力の維持を促す。

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 その後、互いにキック中心のフェーズが続き、リコーもFB河野らがライン裏へのキックなどを蹴り、トライを狙っていく。

次のチャンスは相手のミスから。NTTドコモ陣内10mライン付近(右サイド)のラインアウトで、NTTドコモが反則。リコーは右中間でスクラムを得ると、SH池田渉がブラインドサイドを突き、22mライン付近までゲインする。24分、これをフォローしていたFL覺來がボールを受けると右サイドタッチライン際を走り右隅にトライ。コンバージョンも決まり33対0と大きくリードを拡げた。

直後の27分、キックオフボールを獲ったNTTドコモはリコーディフェンスラインのギャップを縦に抜け、一気にゲイン。ゴール前の攻防に持ち込む。右中間のラックから繰り返しアタックをしかけついにトライ。コンバージョンも決まり33対7とする。

30分、今度はリコーがキックオフボールをキープ。ゴール前でボールをまわしてアタックをしかける。右サイドで攻撃を繰り返し、やや相手ディフェンスが偏ったのをみると、すかさず逆サイドへ展開。WTB小吹祐介が左サイドを抜けてトライ。コンバージョンは外れたが38対7と再び点差を広げる。その後36分に自陣相手ボールラインアウトからギャップを突かれ、中央にトライを許したが(コンバージョン成功)、38対14とリードを保ち試合を折り返した。

「コミュニケーション。コールをしっかりしよう」
「キックオフなら、誰が行くのか、リフトするのかしないのか」
「わかっていると決めつけず、口に出して……」
ハーフタイム、戻ってきたメンバーは口々に後半の修正点を口にする。自分たちのラグビーが冷静に見えていなければ出てこないだろう言葉が交わされていた。

後半はPR伊藤雄大を高橋英明に、FL覺來弦を相亮太に、CTB金澤良を小浜和己に、SH池田渉を神尾卓志に替えて臨んだ。

開始直後の1分、自陣で反則を犯したリコーはタッチキックを蹴られ、ゴール前ラインアウトのピンチを招く。しっかりとモールをつくったNTTドコモは右中間を押しインゴールエリアに到達しトライ。コンバージョンも決まり、38対21とする。

しかしこの試合、リコーはすぐに獲り返す。4分、WTB小吹の蹴ったキックオフボールの争奪でNTTドコモに反則。タッチキックを蹴りゴール前ラインアウトのチャンスを得ると、今度はリコーがモールで押す。インゴールエリアンに達すると最後尾でボールをキープしていたLOカウヘンガがトライを決める。コンバージョンは外れたがフォワードの活躍で5点を獲り返し43対21とした。

連続ポイントを許さないリコー

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 その後、リコーは10分にHO滝澤を森雄基に、LO馬渕武史を生沼和裕に、NO.8マイケル・ブロードハーストをロッキー・ハビリに交代。15分にはPR長江有祐を柴田和宏に、FL金栄釱を柳川大樹、WTBキニキニラウを長谷川元氣に交代。前日のBチームの試合(釜石SW戦)でもポテンシャルを見せていた面々にもチャンスが与えられていた。しかしこの交代直後にFB河野が足を痛め、替わって小吹がFBに。キニキニラウがWTBとしてグラウンドに戻った。

しばらくNTTドコモ陣内でプレーを続けチャンスをつくったが、トライは奪えずに時間が過ぎていく。21分過ぎ、NTTドコモがワイドにボールをつなぎ攻め、リコーは守勢に回り、左隅にトライを許す。コンバージョンも決まり43対28。

ここでも連続ポイントは許さず、リコーはすぐさま反撃。24分、左中間のスクラムから展開し右サイドを突き、ゴールライン手前でラックをつくる。その後ろから走り込んだLOカウヘンガが、ボールを拾うとラックのブラインドサイドのわずかなスペースに鋭く飛び込み華麗なトライ。コンバージョンは外れたが50対28とした。さらに26分にはCTB山藤の突破からつなぎ、NTTドコモ陣内10mライン付近で抜け出したWTBキニキニラウが独走し正面にトライを決める。コンバージョンも成功、さらに7点を追加して57対28に。その後はNTTドコモの攻撃を受けたが、集中力を保って守り切りトライを許さずノーサイドのホイッスル。

合宿での全6試合に勝利し、締めに相応しい結果を創り出した。選手、スタッフの表情から、これまでやってきたことへの手応えと、さらに高みを目指す決意が感じ取れた。

「ベーシックな部分はすでによくできあがっている」 アドバイザー:スティーブン・ラーカム

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 今回の合宿には、今季からアドバイザーに就いたスティーブン・ラーカムがフルで参加した。約半年ぶりに自らの目で、リコーブラックラムズの成長を感じたという。
「フォワードの選手の身体は大きくなりましたね。トレーニングでのアティテュードもすごくよくなっている。試合では『いいプレーをしたい』という意志を強く感じる。過去3年間にこのチームが遂げてきた成長を考えれば、今シーズンのトップリーグ『トップ4』という目標達成だって可能でしょう。
開幕まであと2ヵ月。ベーシックな部分は既によくできていて、ゲームプランも優れたものです。これからそれを変える必要はなく、細かい部分を少し洗練させていくことが大切です。「フィールドのこのエリアではこんなプレーをしよう」といったものですね。それを得るためには2ヵ月あれば十分です。リコーブラックラムズはすでに良い状態にあります」

レオン・ホールデンヘッドコーチも、合宿を評価する。
「最初の1週間でシステムについての理解深め、次の1週間でより多くの試合に勝つという目標は達成できた。さらに、大きなケガ人を出さずに終えられたのも素晴らしいことです。これはスプリングシーズンに身体を鍛えることに集中してきた成果です。成果のある合宿ができたという経験は、チームにとって自信を持ってシーズンに臨めることにつながります。

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 これからの8週間は、フィットネス、コンディショニングに捧げます。トップリーグの開幕日を考えると、今ぐらいから始めるのが最適のタイミングだと思っています。イメージとしては、「完成した自動車に、ガソリンを注ぐ段階」にきていると思っています。
これから加わる選手としてCTBマア・ノヌー、FLジェームス・ハスケルの2選手がいます。彼らが良い状態のチームに如何にフィットするかについても考え続けています。
合宿で各選手のポジションにバリエーションを持たせていたのは、さまざまなケースに対応できるようにという意味も一部にあります。また、彼ら2人に対しては、リコーのラグビーに少しでもはやくなじめるよう、我々がどんなラグビーを目指し、どのようなプレーをしているかについての情報は、随時伝えています。
ハスケルについては、かつてコーチした経験がありますが、彼のスタイルは今のリコーのラグビーに対応できるものだと思います。ノヌーも、僕らのやってきたことやチームメイトを尊重する人物なので、うまく入ってこられると思いますよ」

「合宿でやろうとしていることが明確だった」(SH池田渉)という声も聞こえてきたように、今回の合宿は、選手がラグビーに集中できる環境をうまくつくれていたように映った。山品監督は就任直後に「満たす」という言葉をキーワードとして挙げていたが、合宿では、この言葉に通ずる取り組みが多く見られた。丁寧なリカバリー指導や、要点が絞られたミーティング、現地に入ってから試合を追加で組んだこともアピールの機会を渇望する選手の気持ちを満たした。"納得して""前向きに"ラグビーを取り組もうというチームの空気が、勝ちにつながり、そして大きなケガ人を生まなかったという結果につながった。

「結束」「競争」「理解」――目標を達成した網走夏合宿。新たな自信を携え、リコーラグビー部は開幕に向け心身ともに最終ステージに入った。

(文 ・ HP運営担当)

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