Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2010-2011 トップリーグ 第13節 対 ヤマハ発動機ジュビロ

2011.01.14

「自分たちが信じるもの」のために――

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 トップリーグ設立後としてはチーム最多となる5勝と勝ち点27を積み重ね、2010-11シーズンのトップリーグ最終(第13)節を迎えたリコーブラックラムズ(リコーラグビー部)。ヤマハ発動機ジュビロ(ヤマハ)とのゲームは、日本選手権への出場権を争うワイルドカードトーナメントに進めるかどうかを懸けた大一番となった。

試合前、トッド・ローデン監督兼ヘッドコーチは選手にこういった意味の言葉を伝えたそうだ。
「人生には、自分たちが信じるもののために闘わなければならない時が必ずある」
自分たちのラグビーの誇りをかけて闘い、そして必ず勝たなければいけない――そんな覚悟を選手たちに求めたのだ。

選手たちは、グラウンドで、スタンドで、それに応えてみせた。

冬晴れの青空。風下にリコー、風上にヤマハ。12時、近鉄花園ラグビー場にSO河野好光のキックが放たれ30人の選手が動きだす。冷たく澄んだ空気が熱を帯びたように感じる。

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 最初に攻勢をかけたのはリコー。1分、右タッチライン際をWTB星野将利が大きくゲインし22mラインを超える。捕まるが、ここでボールを素早く逆サイドオープンに展開。SO河野、CTBタマティ・エリソン、FB横山伸、WTB小松大祐と速く長いパスをつないで左サイドを突く。ゴール間際で小松が捕まりタッチラインの外へ押し出される。

ラインアウトのボールをキープしたヤマハはタッチキックで陣地を戻す。ヤマハ陣内10mライン付近まで地域を戻すが、キャッチしたWTB小松がクイックスローでボールを入れアタックを仕掛ける。右中間をFB横山伸が縦に突いていく。密集からSH池田 渉が出したボールを、SO河野がライン裏右隅に向かいグラバーキック。CTBエリソンがこれをチェイスし、ゴールライン手前でボールを拾った相手にプレッシャーをかけると、短いタッチキックに逃れ右サイドゴール前ラインアウトのチャンスをリコーが得る。

ラインアウトからモールを押し込みトライを狙う。じりじり押しゴールライン上まで前進。モールが崩れラックになるとFLマイケル・ブロードハーストがブラインドサイドに飛び込んで最初のトライを奪う。バックスの切れ味でゲイン、河野のキック、フォワードの力、3つがうまく組み合わさった攻撃で2分、リコーが5対0と先制する。コンバージョンは外れた。

6分、左中間ハーフウェイライン付近でWTB小松がヤマハ8番にリフトして落とされペナルティを得る。8番には10分の一時的退場処分が科される。河野がタッチキックを蹴りヤマハ陣内22mライン付近までゲイン。ラインアウトからバックスへ展開、右サイドゴール前に接点ができ、その攻防でヤマハがオフサイド。もう一度、リコーは右サイドに蹴り出しラインアウトに。

このラインアウトボールをしっかりキープし再度モールでインゴールに押し込む。この試合、初の先発出場を果たしたHO森 雄基が9分、モールの最後尾でしっかりボールをキープしゴールライン上に達すると潜り込むようにしてグラウンディングしトップリーグ初トライ。コンバージョンは外れたが、10対0とリコーがリードを広げる。

全開でアタック繰り返し、怒濤のトライラッシュ

 13分、リコー陣内でのディフェンスでヤマハがオフサイド。FB横山伸がボールを素早く持ち出しゲイン、10mライン付近からライン裏左隅に向かってグラバーキック。ヤマハ陣内22mラインで14番が拾うが、しっかり組織ディフェンスでラインをあげて来ていた横山伸、WTB小松、CTBエリソンが取り囲みラックに。ヤマハはボールを出しタッチキックを蹴るが、陣形を整えていたリコーはクイックスローからカウンターアタック。右サイドを抜けたFB横山伸が22mライン付近までゲインして展開。右中間から河野がライン裏へグラバーキック。これにWTB星野、FL覺來 弦が反応。ボールを拾い上げた選手に対し2人がタックルを仕掛け星野がジャッカルに成功。右中間にできたポイントからSH池田が順目に展開するが、CTBエリソンが内から外に走り込んだ小松にパス。アングルを変えディフェンスラインを突破した小松が中央へトライ。コンバージョンも決まり17対0。テンポのいい攻撃を繰り返すリコーが3連続トライで試合のペースをつかんだ。

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 さらに17分、FL覺來、ブロードハーストの縦の突破でゲイン。細かく確実にボールをつなぎながらゴールに迫ると、中央付近にできたディフェンスラインのギャップの目前でパスを受けた川上力也が突破しトライ。コンバージョンも決まり24対0。さらに20分には右中間22mライン付近からCCTBエリソンが大外を走っていたHO森にロングパス。これをキャッチした森が縦に走りゴールに迫る。ラックとなるがサイドをブロードハーストが突いて右中間にトライ。

24分にはヤマハ陣内右サイド10mライン付近に飛んだボールを相手15番がこぼすと、それをWTB星野が奪いターンオーバー。右中間からSH池田から中央付近を走っていたCTBキニキニラウに長いパスが通ると、外に向かって走りディフェンダーを次々とかわし、正面にトライ。2トライ2ゴールで14点を加え、瞬く間に38対0とリードを広げた。

ヤマハもリコーのアタックに対応しだして前半終盤は主導権を握る。27分と38分に2つのトライを奪い14点を返し、前半は38対14で終了した。

小松の連続トライで突き放す。その後、ヤマハの意地が

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 風上にたち後半を向かえたリコーだったが、ヤマハは後半もペースを保つ。1分、右サイドに攻め込むと、タックルを受けながらもボールをつなぎ、14番が右中間にトライ。コンバージョンも決まり38対21と詰め寄った。

絶対に流れを渡したくないリコーも集中力を見せる。キックオフを左サイドに蹴り込むとボールをキャッチした選手を押し出しラインアウトを得る。これをキープし左中間のラックから大きく展開、右サイドをCTBキニキニラウがゲイン。22mラインに到達するとサイドチェンジ。左サイドタッチライン際までつなぐと、WTB小松がステップを刻みディフェンスラインを突破。スピードに乗り相手を振り切り、左隅にトライを決める。コンバージョンも決まり45対21と再びリードを広げた。

さらに9分、右中間ハーフウェイライン付近のスクラムから展開しアタックをしかけゲイン。左中間22mライン付近でヤマハが倒れ込み、反則。SH池田が素早くリスタートし、CTBエリソンが縦に鋭く切り込んでいく。捕まるがすかさず味方がサポートに入りポイントを作ると、ゴールライン間際でSH池田がショートサイドにパス。左サイドタッチライン際を走り込んでいた小松に再びつながるとそのまま突破し、回り込んで中央にトライ。小松の連続トライで50対21、コンバージョンも決まり52対21とした。

ここからノーサイドまでの30分は、リコーにとって試練の時間となった。

執念で攻めるヤマハに、ファーストタックルが決まらず攻勢に次ぐ攻勢をたたみ掛けられる。焦りからか反則も増え、まるで前半のヤマハの映し鏡のような時間が続く。15分にはラインアウトから展開攻撃でギャップを突かれ右サイドから内に切れ込んだ22番に、23分には左中間ゴール前のスクラムのサイドを突いた8番にトライを許し52対35。28分にも再びスクラムサイドを8番に突かれ右隅にトライを奪われる。これで52対40に。

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 トライ後のコンバージョンでプレッシャーをかけたWTB小松がキッカーに接触し、レイトチャージの反則で10分間の一時的退出処分を科される。

勢いづくヤマハは一気に攻めたてる。直後の30分、ワイドに展開しながら前進、寄せるタイミングがわずかにずれたリコーのディフェンスラインに生まれたギャップを抜け、6番が右隅に飛び込みトライ。コンバージョンも決まってついに52対47。ワントライ差となり、観衆のボルテージが一気にあがる。

最後の5分に今シーズンの集大成、見せたリコーの成長

 しかし、リコーはこれまでの激戦で培った経験を、ラストの10分にぶつけてみせる。

集中力を高め、肩を当てるタックルが低く刺さり出し、ヤマハを自陣に釘付けにする。どこにこんな力が残っていたのか? 数的不利を忘れさせるようなアグレッシブなディフェンス、アタックを繰り返す。気迫だけではなく冷静さもあった。規律も高く保たれペナルティも犯さない。

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 ヤマハもこれに応えるように、リコーのゲインラインを後退させようと全力でぶつかってくる。37分、ディフェンダーの間に体をねじ込みインゴールエリアに手を伸ばしたSO河野の渾身のグラウンディングを阻み、ノックオンを誘う。

ヤマハはスクラムからボールのキープを優先させながら、自陣からじりじりと攻め上がろうとする。リコーはタックルを繰り返しターンオーバー。アタックに移ろうとしたリコーのパスを、鋭く飛び出した10番が中央付近でインターセプト。ターンオーバーし、ヤマハが中央になだれ込み、ゴールに迫る。

これをCTBエリソン、WTB星野が22mラインで捕え、引き倒す。しかしハイタックルの判定、ヤマハのチャンスは続く。WTB小松が一時的退出から復帰してラスト1分。中央22mライン上の位置で、ヤマハはスクラムを選び、ボールを回し勝負を挑む。1回、2回、3回。繰り返されるアタックをリコーは体を張りゴールを死守し続け、絶対に下がらない。成長した姿と共に、花園にホーンが鳴り響く。

ボールを拾いにいったヤマハのスクラムハーフの手からボールがこぼれる。レフェリーがホイッスルを吹きジェスチャー、ノックオン――。

結果を掴み取ったリコーの選手が両手を突き上げる。スタンドのメンバーの雄叫びが響く。リコーは52対47でヤマハを破り勝ち点5をもぎ取った。総計32点として、チーム史上初のワイルドカードトーナメント進出を決めた。

 「前半立ち上がりから20分間アグレッシブに闘うというのがターゲットだった。それはできたと思う」と大一番でゲームキャプテンを務めあげたLO相 亮太。互いに負けることができないプレッシャーのかかるゲーム、そして風下の陣地で迎えた前半――リコーはそうした条件でも躊躇することなく躍動。6つのトライを奪い、持ち味のアタック力をしっかり見せた。

その後、ヤマハの反撃を浴びたことについて、SH池田 渉は言う。
「個々のディフェンスがやや甘くなってしまいました。今日のような前半リードしていても、後半点数を取られだすと浮き足立つというのは、勝つ経験の少なさからくるものだと思う。だから経験を積めばいいんですよ。
後半点数を取られましたけど、僕は楽しんでやれましたよ。最後のターンオーバーから自陣での相手ボールスクラムの場面なんかは、ピンチに見えたかもしれませんが、あそこはなんかすごく落ち着いていて。河野なんかも楽しんでいたな」

ワイルドカードトーナメント、日本選手権といったチームが死力を尽くす一発勝負の闘いは、池田の言う経験を積むには最高の機会。そこに参加する権利を得たリコーラグビー部は、さらなる成長のためのチャンスを迎えている。

「プレシーズンに掲げた6勝という目標を達成したことに満足してしまうのは危ないですよね。この先も勝つ、というイメージを明確にチームの中に植え付けられるように声を掛けていきたい」(SH池田)

熱戦は続く。ワイルドカードトーナメント1回戦は1月16日14時から、福岡県・レベルファイブスタジアムでのコカ・コーラウエストレッドスパークス戦だ。階段をひとつ上ったリコーラグビー部は、新しい景色を自分たちの目で確かめにいく。

(文 ・ HP運営担当)

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