Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2010-2011 トップリーグ 第7節 対 豊田自動織機戦

2010.10.29

追い上げで見せている自分たちのラグビー

 後半にすさまじい追い上げを見せながら、結果的に前半の失点が響き勝利を逃す試合が2試合続いているリコーブラックラムズ(リコーラグビー部)。ここ2試合後半は14対0(NEC戦)、19対10(東芝戦)と相手を上回るパフォーマンスを見せてきた。一部分だけを切り取って試合を語ってはいけないが、やはり歯がゆい。

「試合前の練習への気持ちの入れ方などは、グラウンドでそのまま表れるもの。正すべきところはある。それは、変えられるところだと思っています」。トップリーグ第7節・豊田自動織機シャトルズ戦を前に、ゲームキャプテン・滝澤佳之は切り替えていた。感じているのは、後悔よりも、後半に見せている自分たちのラグビーへの手応えだった。

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 曇の残る空の近鉄花園ラグビー場に笛が鳴る。12時、リコーにとっては6試合ぶりのアウェイでの試合が始まった。

CTB金澤良が左サイドに蹴り込んだボールに選手が集まり密集ができる。ここでリコーが倒れ込みの反則。豊田織機はタッチキックで前進すると右サイドのラインアウトから攻撃を仕掛ける。するとリコーがディフェンスでオフサイド。2分、右中間22mライン手前の位置から豊田織機10番がペナルティゴールを狙うがこれは外れた。ペナルティ2つで相手にチャンスを与えてしまう不本意な立ち上がり。

豊田織機はSOと左右CTBに外国人選手を配置。力で突破を試みながらペースを握り、リコー陣内に何度か攻め込んだが、あと一歩のところで反則が続く。リコーは続いた相手ボールの時間を冷静にしのぎ、得たボールを確実にキックして危機を回避していく。

試合が動いたのは17分。ゴール正面22mのスクラムで豊田織機がアーリーエンゲージの反則。リコーはスクラムを選択。スクラムから出たボールをSO河野好光から、CTBタマティ・エリソンへ。エリソンが相手選手をひきつけたところでWTB小松大祐へとつなぎ左サイドを突破。左中間インゴールエリアに達しトライ。コンバージョンは外れたが5対0と先制する。

しかし直後の20分、キックオフボールの蹴り返しがノータッチ。豊田織機のカウンターアタックを浴び、リコーは自陣侵入を許す。連続攻撃でゴールラインを割られ1番に左中間へトライを許す。コンバージョンも決まり5対7。豊田織機が逆転する。

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 この後も悪い流れが続く。25分、左サイドハーフウェイライン付近の相手ラインアウトのディフェンスでオフサイド。10mライン手前と距離はあったが豊田織機がペナルティゴールを狙う。これは外れた。

さらに30分、相手15番の自陣からのカウンターアタックを起点に豊田織機がアタック。これを止めにいったCTBエリソンにハイタックルの判定。豊田織機は10mライン付近から再びペナルティゴールを狙い成功。5対10と豊田織機がリードを広げる。

いやなムードのまま前半を終わらせたくないリコー。36分に、右サイド22m付近のラインアウトをキープし、FBスティーブン・ラーカムが中央で縦の突破を図る。このボールをつなぎ左中間ゴールライン上でラックをつくると、LOカウヘンガ桜エモシが敵のタックルを引きずりながらグラウンディング。帰化後初のトライ。コンバージョンも決まり、リコーは12対10と逆転する。

「反則をしないように気をつけてプレーした。身体大きいから目立つしね(笑)」。規律を意識しながら、アグレッシブなプレーを続けていたカウヘンガ。これまでチームメイトに支えられながら、自らコツコツと積みあげてきた練習成果を結果として示した瞬間だった。

前半の最後、豊田織機はこの日繰り返し選んでいた自陣からのモールでハーフウェイライン付近まで前進。そこから展開し右サイドの突破を試みる。ライン裏を狙いゴロキックを転がすがWTB星野将利が追いついて処理。リコーはあわやというピンチを脱し前半が終わる。

後半12分、ラーカム&エリソンの美技

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 リードは奪ったものの、多いペナルティ、ファーストタックル後のサポートへの反応の遅れが見られ、相手ペースにされた前半を終え、点差はわずかに2点。リコーはスコアのプレッシャーを感じながらも、自分たちのプレーを追求しなければならなかった。

両チーム選手交代はせずに始まった後半はリコーペースで進む。バックスが相手ラインのギャップを突き、ボールを前へと運んで行くケースが増え出す。しかし、豊田織機のモチベーションも高く、トライを奪えないまま10分が過ぎる。

この停滞したムードをFBラーカムが打破する。相手陣内から自陣に上がったハイパントをジャンプしてキャッチ、その左脇に絶妙のコース取りで走り込んでいたCTBエリソンにパスを出すと空きスペースのほぼ中央を縫い、インゴールエリアに到達。コンバージョンは外れたが、ほとんどコンタクトなしという華麗なトライで17対10。リコーが後半最初の得点を奪う。

しかし、試合再開後の14分、キックオフのボールを追った途中出場のFL金栄釱のタックルが相手選手の首に手が絡まる危険なプレーと見なされ一時的退出処分に。たたみ掛けたい時間に14人でのプレーを余儀なくされたリコーラグビー部だったが、金栄釱のいない10分を相手のペナルティゴール(16分)1本でしのぎきる。

逆にやや足が止まりかけた相手ディフェンスを揺さぶり続け、14人であることを忘れさせる活発なアタックを仕掛け豊田織機を崩しにかかる。23分には中央22mライン手前で豊田織機がオフサイド。リコーはペナルティゴールを決め20対13。苦しい時間帯でも点差を維持し、試合をうまくコントロールしていく。この後FL金栄釱が復帰。

エリソンのハットトリック。池田、星野も2試合連続トライ

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 ここからリコーのトライラッシュが始まる。25分、右サイド10mライン付近のラインアウトからリコーがアタック。CTBエリソンがキックでライン裏にボールを出し、相手ディフェンダーと競り合いながら、ゴールライン直前で転がるボールをダイビングキャッチ、そのままトライ。鮮やかな個人技でトライを奪う。コンバージョンも決まり27対13。

30分にはSH池田渉。ゴール前左サイドのラインアウトからボールを得ると自らスペースを見つけ抜け出し左中間にトライ。東芝戦に続き高い判断力で追加点を奪う。37分には左中間のスクラムからオープン攻撃。右中間でCTB金澤からのパスを受けたCTBエリソンが右隅へ直線的に走りこの日3つ目。勢いは止まらず40分には、右サイドタッチライン際のラックの左をWTB星野が抜け出てやはり2試合連続のトライ。トライを積み重ねたリコーラグビー部は点差を33点まで広げ、46対13で勝利した。

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 収穫の多い試合だった。ボーナスポイント含めて勝ち点5を獲得。トライ数も今季最多の7を数えた。最後まで走り続けバックスのスピードを活かした攻撃を繰り返した。最終盤には、短い時間ながらも柴田和宏、野口真寛ら若手が経験を積み、さらには横山伸一がSHとしてプレーする時間もつくることができた。

「点差をつけることができたので、HOとSHという専門性の高いポジションの経験を、野口と横山伸に積んでもらうチャンスと考えました。野口は直前で覺來の負傷があったのでFLでの出場になりましたが」(山品博嗣BKスキルコーチ)

ただし、この試合も前半は苦しんだ。FBスティーブン・ラーカムはこう見る。
「前半はどういうゲームになるかフィーリングを感じ取りながらプレーします。後半はそこを理解した上で臨めるので、思い切ってやれる。そうした違いはあるものです。
ただし、前半ペナルティを繰り返し、簡単にポイントを与えているのはよくない。そうした形で相手にスコアが入ると、選手は頑張って点を獲らないといけないと気負う。それはチームが描いたゲームプランから離れる原因となる」

トップリーグは、第7節を終えると1ヵ月間の休止期間「ウインドウマンス」に入る。リコーラグビー部は「ウインドウマンス」までの前半戦7試合で勝ち点17を積み上げた。勝利で得た12ポイントと「4トライ以上」「7点差以内の敗戦」という条件を満たして得たボーナスの5ポイント。昨シーズンも前半戦を終えて3勝を挙げていた。だが、勝ち点は13。果敢に攻め、最後まであきらめず接戦に持ち込んできた闘いぶりが、ポイントの差となって表れている。

「接戦の経験は、若い選手にとってすごくいい経験になっている。自信にもつながっていますよ。今日だって、ハーフタイムは若い選手が檄を飛ばしていましたから。ベテランはそれに背中を押されている感じ。いい雰囲気ですよ」(HO滝澤佳之)。

チームは1週間の充電期間を経て後半戦への準備に入る予定だ。再開後の初戦は11月27日(土)秩父宮ラグビー場でのトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦。リコーラグビー部のたゆまぬ努力が結果にも表れ出してきた。トップリーグのクライマックスで、努力が結実する瞬間は近づいている。必ず見届けたい。

(文 ・ HP運営担当)

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