Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2009-2010 トップリーグ 対 ホンダヒート

2009.09.09

 9月5日(土曜日)午前11時。夏の日差しが戻ってきた砧グラウンド(リコー総合グラウンド)に、トップリーグ(TL)開幕戦のキックオフを6時間後に控えた選手たちが現れた。午後の会場入りを前に、軽く身体をほぐすためだ。

「爆発的に!」。LO田沼広之が、大きな声を出して両手でメディシンボールを投げる。呼応するように、他のメンバー間にも声の輪が広がる。堅さはない。いつも通りの雰囲気。これなら大丈夫、力を出し切れる――。しかし、ラグビー日本最高峰のリーグでの闘いは、タフだった。

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 夕刻、TL開幕を待ち望んでいたラグビーファンが集う秩父宮ラグビー場に、選手が入場する。TLに戻ってきたリコーブラックラムズ(リコーラグビー部)と初昇格を果たしたホンダヒート。この舞台への思い入れなら随一であろう両軍30名のメンバーは、入場曲同様"威風堂々"とピッチに駆け出した。

17:00、ホンダのキックで試合開始。互いにキックを蹴り込み、攻撃の糸口を探っていく。最初にペースをつかんだのはホンダ。4分、自陣浅めの位置でリコーボールのスクラムからの攻撃をターンオーバー。一気に攻め上がり、リコー陣内右サイド22mラインまでゲインした。しかし、ゴール前でのラインアウトをリコーラグビー部がキープし、ピンチを脱した。

その後も、ホンダがじりじりとリコー陣内に攻め込んでプレーする時間が続く。だが、決定的な場面になる前に反則でボールを繰り返し失っていた。

10分、リコーラグビー部はそこに乗じて反撃。押し戻し、センターライン付近の攻防とすると、ホンダが反則。11分、ホンダ陣内右サイド10mライン付近から、SO河野好光がペナルティゴールに成功。2009-10シーズン最初の得点を奪って3点をリードした。

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 ホンダはその後も攻め、リコーラグビー部がじっくり守り、反則を誘って危機を回避するーーという状況がしばらく続いた。的確なディフェンスを見せるリコーラグビー部だったが、攻撃では、ボールを持った選手が相手に飛び込んだ際の後続選手のフォローが足りず、ボールを奪われる場面があった。そんなリズムを変えようと18分、SO河野がドロップゴールを狙っていくが惜しくも外れた。

23分、リコー陣内右サイド、22mライン手前でのCTBジョエル・ウィルソンのタックルがショルダーチャージとみなされる。ホンダはペナルティゴールを狙い成功。3対3の同点に。

流れを変えるべく、今度はトッド・ローデンHC(ヘッドコーチ)が動く。30分、スティーブン・ラーカムをピッチへ。スターのTL初お目見えに秩父宮にこの日一番の大歓声が沸く。SOに入ったラーカムは、いきなりパスを通すとチームはテンポアップ。自ら果敢なタックルも仕掛け、停滞したムードに刺激を与えていく。前半終了間際にホンダは攻勢をかけたが、得点にはいたらなかった。前半は3対3で後半へ。

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 前半ラスト10分で、初めてプレーするTLの"触診"を終えたのか、後半開始0分、ラーカムがいきなり魅せる。キックオフ直後、リコー陣内右10mライン付近でボールを得ると、右サイドへ大きくキックして猛然とダッシュ。相手ゴール前で、ボールをキャッチしたホンダSOを視界に捉えると、タッチを狙ったキックをチャージ。インゴールエリアに向かってこぼれたボールを自ら押さえてトライ。コンバージョンも決まって10対3とする。

前半終盤のテンポを維持するリコーラグビー部は、すこしずつ相手陣内でプレーする時間が増えてくる。前半の課題だった、密集での後続選手によるフォローの遅れも徐々に改善されていく。

次のトライはホンダが奪う。8分、ホンダ陣内でリコーラグビー部が反則を侵すと、ホンダが素早いリスタート。縦に抜け出し、一気にリコー陣内へと大きくゲイン。22mライン付近でボールを展開し、WTB小松大祐が食らいつくも、左隅にトライを奪われた。コンバージョンも決まって10対10の同点。互いに譲らない試合展開に、場内は緊迫した雰囲気に包まれた。

13分、リコーラグビー部は、やはり後半も多い相手の反則を突いて得点する。相手陣内22mライン付近、ほぼゴール正面の好位置でペナルティを得ると、ラーカム投入後CTBに入った河野がゴールを狙って成功。13対10と再びリードする。

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 ホンダも粘り強い。直後の14分、リコーゴール前のラックからサイドを突き左隅にトライ。コンバージョンは外れたが13対15。リコーラグビー部は、この試合初めてリードを許した。

17分、ホンダの選手にイエローカードが出て一時的退場が課されると、リコーラグビー部はこのアドバンテージを活かす。18分、敵陣右サイドのスクラムから左へ展開。SOラーカムが、ディフェンスを引きつけパスを出すことでわずかにできたギャップを、WTB小松が突き、相手3人を引きずりながら左中間に力強くトライ。コンバージョンも決まって20対15。リコーラグビー部が逆転した。23分にはペナルティゴールで追加点、23対15と点差を広げた。

その後、再度のイエローカードで数的有利を得たこともあり、リコーラグビー部は自分たちのペースで試合を進め、トライこそ奪えなかったが、フィットネスを活かした攻撃でたびたびゴールに迫った。そして後半が終了。リコーラグビー部は、TL復帰のシーズン第1戦を、勝利で飾った。

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 試合後の記者会見に出席したローデンHCは、複雑な表情だった。

「良かったことも、悪かったことも両方ありました。良かったのは後半、相手のミスからではなく、自分たちでトライをつくり出せたことです。かつてのリコーラグビー部ならば、(前半、思い通りにいかない状況に)パニックを起こしていたでしょう。(そうならず修正できたという意味で)新しいリコーラグビー部をお見せできたのではないかと思います。  悪かったのはサポートプレー。トレーニングではできていたことが、できていませんでした。(ブレイクダウンに競り勝って)前に行く勢いのつくようなボールが得られませんでした。故障者が出ていて、今日初めてコンビネーションを試すメンバーだったというのも理由としてありますが」

後半の修正力を評価したローデンHCだが、やはり前半、相手ペースにしてしまったのは、今後に活かすべき課題と見ているようだ。

グラウンド内の雰囲気はどんなものだったのだろう。

「開幕戦ですし、どこが相手でもこういう展開になり得ることは予想していました。点数が取れないとか、点数を取ろうとしてアタックしているのに、うまくいかないという状況も想定してトレーニングしてきています。だから、あわてた雰囲気はなかった。それはグラウンドにいる選手だけじゃない。今日ベンチ入りしていない、スタンドで見ていた選手も同じだったと思う。みんなが自信を持って構えていたはずです」(SH池田渉)

「チームには後半まで集中力を持ってしっかりやれば、フィットネスで上回ってチャンスが生まれるはず、という自信があります。パニックになるようなことはなかったですね」(SO/CTB河野)

苦しい開幕試合だった。これまで時間をかけて積み上げてきた準備の成果は、発揮できた試合だったとも言うべきなのだろう。フィットネスを高め、それをベースにチームに備わった自信。さらには、戦術理解レベルの差を埋め、選手の誰が出ても力を発揮できる組織としての力。そのどれもを活かしリコーラグビー部は勝ち点4を得た。

次に控えるのは、9月13日(日曜日)。昨シーズンの日本選手権覇者、三洋電機ワイルドナイツだ。TL2試合目でのチャレンジとなるが、チームキャプテン池田の言葉は力強い。

「ポイントはディフェンス。個々でも組織でも、しっかりやらないと。でも、楽しみですよ。僕は」

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TL第1節対ホンダヒート戦の応援に来ていただきました世田谷ラグビースクールの子供達と世田谷区で活動しているキッズチア「ピンキーズ」の子供達

試合開始前にエスコートキッズとしてブラックラムズの選手と入場しました。

ハーフタイムには、ピンキーズによるキッズチアの演技を披露してくれました。

(文 ・ HP運営担当)

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