Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2008-2009 トップイースト11リーグ第3節 対 栗田工業

2008.10.21

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 苦手な時間帯を作ったか。リコーブラックラムズは開始わずか6分で14対0とするも、その後は停滞した。

2008年10月18日、秋晴れの埼玉・熊谷ラグビー場。リコーはトップイースト(TE)、栗田工業との第3戦に臨む。昨季同リーグ7位の栗田工業に28対11で勝利も、伊藤鐘史主将は振り返った。

「今日はゲームができなかったです」

前回の試合から、約1ヶ月ブランクがあった。「毎週試合があればタイトだけど集中しやすい。けど、TEは(試合と試合の)間が空く。正直、やりにくさはあります」と伊藤は言い、トッド・ローデンHCもこの間隔に「too long」と感じた。

ただ指揮官は、俗に言う"中だるみ"を防ぐ。寮内でのミニ合宿など、シーズン前のようなトレーニングを続けた。「このチームに関しては、中だるみの暇が与えられない。コーチ陣が常に厳しい、新しい練習を課している」と、SH池田渉も言う。

テーマは「小さな積み重ねを大きな成果につなげる」に。スタート時から積み上げた基本技術の精度アップが目的とされた。

たとえば、攻撃で相手にぶつかる際は、少しでも足を前に掻き出す意識を持つように、タックラーにボールを触らせぬよう、ボールを持たない方の肘を相手に向けて立てるように、それぞれ確認した。

試合直前の練習、ボール保持者は素直に立ち止まらなかった。細部を精査した結果だった。ラグビーは前進のスポーツでもある。ひとり前に出れば、後ろの人間もそれに続く。この循環が得点に繋がるのだ。

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 なお、伊藤はTE初戦に左足首を負傷し途中交代、第2戦には出場しなかった。練習復帰後も、怪我の箇所をかばった影響で次は右ひざを痛める。「身体は繋がっているんですね」。練習直後、氷の袋をサランラップでぐるぐる巻きにした患部を見やり、苦笑した。

ただ、第3戦のグラウンドには問題なく、フル出場すると言った。

「差し支え? 出る限りはそんなことは言っていられない。ゲームへの集中力があれば(大きな痛みを感じずに)やれると思います」

 試合は前半0分、リコーがノーホイッスルトライを挙げる。

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 素早く、激しく攻め、ゴール前左のポイントから、公式戦初スタメンのSOスティーブン・ラーカム、NO8ピーティー・フェレラと繋いだ。FBで出場の河野好光副将のゴールも決まり、スコアは7対0。6分にはWTB横山健一が社会人公式戦デビュー戦で初トライを挙げる。ゴールも決まり14対0。

しかし8分。リコーは不意を突かれたキックチャージからトライを献上する。14対5。以降、攻め込んでのミス、反則を続けた。前半終了間際にPGを2本決められ、14対11。

この日、結局フル出場した伊藤の述懐――。

「(トライを)取られるのは仕方ない。その流れのままズルズルいってしまったのは・・・」

最高の立ち上がりから「たくさん取れそうだ」と、拍子抜けに似た感情が生まれたという。人によってはこれが「たくさん取らなきゃ」に変わる。問題の時間帯を「焦った」と振り返る選手もいた。池田は「最初は向こう(栗田工業)が名前負けしていて、2本とられてからいつも通りになった」と分析、リコーに変化はなかったと考える。「それでも同じようにトライを取らなければ」とも。

いずれにせよ、機先を制した後に停滞する流れは、過去2戦と同じだ。河野の危惧は「あの20~30分をうまくコントロールしていかないと、後々きつくなる」。
障壁は他にもあった。たとえば試合中、リコーのSHが居なくなった。

池田に替わり後半から投入のSH湯淺直孝が、相手外国人選手にタックルを仕掛けるなか、右肩胛骨を負傷する。途中から、CTBで出場の小松大祐が人生初のSHを担った。視野が狭まるボール争奪局面と、その後ろで冷静に待つ選手を繋ぐのがSHだ。急造は難しい。リコーは速いテンポのボール回しを諦めざるを得なかった。

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 そしてレフリング。特に2度のシンビンに足を引っ張られた。

前半40分、ラインアウトで守備側のフェレラが相手のジャージを「引っ張った」として。その処分が解けた後半18分、途中出場のFLフィリポ・リヴィーが相手を羽交い絞めにしたとして。リコーは相手よりもひとり少ない14人でしのぐことに、後半の多くを費やした。

結果、伊藤は「ゲームができなかった」と言うが、こうも続けた。

「悪く言っていてもそれで負けたら終わり。自分も(主将として)レフリーとのコミュニケーションをしっかりとっていかないと」

後半11分にPR長江有祐がトライするも、以降、試合は動かなかった。

試合会場から砧の寮へ戻るバスの車中。ローデンHCは選手を一人ずつ呼んで二言三言、交わす。試合直後は必ず、簡単なレビューを個別に行っているのだ。

試合の総括を問われ、「後半のパフォーマンスは良かった。14人になったりSHがいなくなるなか、ガッツを見せていた」と言う。レフリングに関しては「No comment」、苦笑した。

また、「前半の最初は良かったが、その後リラックスをしてしまった。まだ成長の段階。メンタルを鍛えていきたい」とも。

しばし口にする"attitude"という言葉には、どんな状況でも変わらぬ強い姿勢、という意も込める。たとえ絶対優勢の流れでも、同じようなプレーを続けられるように、「集中力や、自分たちの力を信じきることを学んでほしい」。

課題は、いよいよ口では教えられない領域に突入した。そう水を向けられたローデンHCは言う。

「exactly(確かに)! すごく時間がかかります」

次戦は久々に聖地、秩父宮ラグビー場でサントリーフーズと対戦する。

(文 ・ 向 風見也)

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