Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2008-2009 トップイースト11リーグ第1節 対 秋田ノーザンブレッツ

2008.09.17

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 基本をしっかり――。

リコーブラックラムズのトップイースト(TE)第1節。トッド・ローデンヘッドコーチ(HC)が抱いたテーマはシンプルだった。伊藤鐘史キャプテンも試合直前は「気持ちの部分を伝えただけ」。

チームは、ストイックな伊藤も「試合の方が楽」と苦笑する猛練習に挑み続けていた。自信を後ろ盾に、前を向きグラウンドに出た。2008年9月14日、秋田市営八幡陸上競技場。相手は昨季TE8位の秋田ノーザンブレッツ(秋田NB)だった。

公式戦開幕という緊張感はあったが、ローデンHCはこの試合を「支配できる」と予測した。「最初の20分は錆ついていても」と、前置きを忘れなかったが。

試合は概ね、指揮官の読み通りに進む。リコーは71対6で勝利した。

出場メンバーは、ローデンHC 曰く「今まで一貫して練習してきた選手が報われる選考基準」で選出された。試合の2週間前、チーム内で発表される。怪我も少なく、春からの練習内容を最も吸収したであろう面々だった。

たとえばLO井上隆行、通称ロブ。32歳、本人調べによると「5年ぶり」の公式戦スタメンとなった。伊藤曰く「ロブさんはずっと練習していて、フィットしている。あとはブレイクダウン(ボール争奪局面での仕事量)。理由を聞けば納得できます」。本人は緊張の面持ちだった。

「まさか選ばれるとは思っていなかったんで、緊張しています。いい意味で・・・。出られないみんなの想いを背負って、足を引っ張らないようにがんばりたいです」

SO、背番号10は河野好光バイスキャプテンが任された。「最初は"15"だと思っていた」。同位置の新加入選手、スティーブン・ラーカムの存在から本人は背番号15、 FBでの出場も考えていた。が、新外国人から積極的に知恵を吸収する姿勢とスピード感が買われた。そう、ローデンHCが打ち出すキーワードは"attitude(姿勢・身構え・態度)"である。ラーカムは背番号22となった。

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 ローデンHCの意向で、伊藤も今季からメンバー編成に携わっていた。選出過程を近くで見て、その細やかさに驚いた。

「ここまで深く考えていたら納得できる。 全ての選手がその場(選考会議)にいるわけではないので、いきなり発表された瞬間は『何でやねん』とはなるでしょう。けど、理由を聞けば納得できる。考えられたメンバーなのは間違いないですね」

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 試合の立ち上がり、1分。リコーは河野のPGで先制。次いで4分、その河野のゴールエリアへのグラバーキックにWTB瓜生靖治が反応した。10対0。

が、その後チームは「入りにポンポンとスコアを取れて、その後は"見てしまうラグビー"をしてしまった」(伊藤)。21分にNO8ピーティー・フェレラ、35分にはPR長江有祐がそれぞれトライを奪っていたが、受け身に回る局面が多かったという。ローデンHCが言う「錆び付く時間帯」が、少し遅れてやってきた。

前半終了間際、ハーフウェーライン付近。秋田NBの選手に守備網を突破される。井上曰く「『誰を見た(マークした)』というコミュニケーションのミス」からだ。ここを皮切りにPG機会を与え、決められる。スコアは22対6。

ハーフタイム。ローデンHCは「我々のスタンダードなら、もっとできるはず」と選手を叱咤する。後半からラーカムを投入した。

新司令塔は「タイトに」を心がけてグラウンドに立つ。前半のハンドリングミスを考慮した指揮官から、確実なボール回しを要求されていたのだ。ボールを受ける、隣の選手にパスする――。確かな技術で後半の猛攻を生んだ。

3分、敵陣ゴール前で外のスペースにパス。WTB星野将利のフィニッシュに繋げた 。7分にもゴール前、自身の影から飛び出すフェレラ へふわり。あっという間に2本のアシストを決めた。

堅さの取れたリコーは走り回り、ボールを動かし続けた。星野はその後も12、17分と続けてゴールラインを駆け抜ける。FB小吹祐介の快走、FL後藤慶悟の好サポートも、11、24分のトライになった。その供給源となったラーカムも終了間際にインゴールへ。後半からCTBに入った河野もラーカムのパスへ鋭角に走り込み、何度もゲインラインを突破した。

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 攻撃の基盤、泥臭いプレーも最後まで光った。終盤、PR長江有祐が長距離を走ってタックルを決める。結局フル出場した井上もブレイクダウンに頭をねじ込み、ボール保持者を的確にサポートし続けた。練習の賜か。残暑のなかの消耗戦だったが、チームスローガン"TAHU"を理解しつつある選手たちは足を止めなかった。

ローデンHCは言う。「フレキシビリティー、柔軟性があった」と。途中、キャプテンの伊藤を負傷で欠いたが、そのアクシデントにも負けず高いクオリティーの試合ができた選手を評価した。「今日はチームでやっていけているな、と思った」。指揮官がよく用いる「ステージ」という表現で言えば今のチームは「7」。さらなるレベルアップも期待される。

なお、次節以降はレギュラーを固定せずに、試合毎のベストメンバーが組まれるという。今週末は誰が"attitude"を見せるか。

(文 ・ 向 風見也)

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