Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

2007-2008 トップリーグ 第11節 対 神戸製鋼コベルコスティーラーズ

2008.01.21

神戸。

海岸線御崎公園駅から徒歩5分の場所に、ホームスタジアム神戸がある。2008年1月19日、屋根付き天然芝のこのグラウンドの裏口から出てきたのは、試合を終えて小1時間が経っていたブラックラムズFL伊藤鐘史主将だった。

スタジアムのすぐ傍には通っていた高校があり、「もうちょっと先」には実家がある。神戸は伊藤の地元だった。

この日の試合はトップリーグ第11節、神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦だった。

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キック処理にもたつく選手に向かって全速力のロータックル。自陣ゴール前に侵入するランナーからノット・リリース・ザ・ボール(倒れてから相手にボールを奪われまいとボールを放さない反則)を奪うジャッカル。

伊藤が地元でのクライマックスで見せたプレーはアピールプレーではなく、いわば勝利のための下働きだった。背水の陣を前に、春に構築した“ブレイクダウンにこだわる”ことを再確認したチームの指針をそのまま体現していた。

しかし、伊藤は言った。

「とにかく、試合に勝ちたいですね」

この試合、17対26で敗れていた。

「前半の失点が痛すぎた」(佐藤寿晃監督)。キックオフからコベルコスティーラーズにボールを継続され、2分にSOピエーレ・ホラの先制トライを許した。その後も自陣ペナルティーからピックアンドゴーを狙うなどアップテンポな攻めを繰り返す相手に、「付き合って」(伊藤)しまった。

敵陣でプレーする数少ない機会でも焦りからかミスや反則を犯し、逆に35、40分に続けて失点を重ねる(トライはそれぞれWTB大島由和、CTB高倉和紀)。

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 個人的には好調で、この試合でも高いワークレートを見せたFL相亮太も振り返った。

「前半は受けてしまった。(相手は)FWが強い、BKが強いというよりは、15人全員がラグビーを知っているなという感じでした」

スコアは0-21となった。

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ハーフタイム、佐藤監督の出した指示は「とにかく攻めよう」の1点だった。メンバーを一気に2人交代する。LOエモシ・カウヘンガとWTBシュウペリ・ロコツイ、2人のペネトレイターを投入し、それを意思表示とした。

流れは変わった。途中交代で入った2人が直進し、他の選手がそれを素早くサポートする形が機能した。先手を取ることで相手のミスや反則も誘い、前半6分にはペナルティーキックから得たゴール前ラインアウトから相がトライを奪った。

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さらには16分、ハーフウェイライン付近のラインアウトからのクイックスローにWTB小松大祐が素早く反応して果敢にチェイス。サポートに入ったCTB金澤良がインターセプトしそのまま50メートルを独走、差をさらに詰めた。

35分にはゴール前でボールを受けたロコツイが相手守備を力で振り切りトライ。

しかし、その前の25分にキックチャージからのトライを奪われていたこともあり、逆転には至らなかった――。

チームバスの前、集合がかかる。佐藤監督はこう言う。

「次落としたら、自動降格だよ」

だから、やるしかない。

伊藤も続ける。

「残りはすべてが入れ替え戦。勝ったら残る、負けたら落ちる……。がんばろう!」

曇り空の港町、悲壮な決意だった。

(文 ・ 向 風見也)

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