Black Rams - RICOH RUGBY FOOTBALL TEAM -

プレマッチ 対 マツダラグビー部戦

2007.10.03

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「ほんとに、サプライズですよ」

相亮太が佐藤寿晃監督からこの日のゲーム主将を言い渡されたのは、試合開始から数時間前のことだった。2007年9月29日、最高気温20度。ブラックラムズは、トップキュウシュウ所属のマツダとの練習試合を、雨天の砧グラウンドで敢行した。試合のメンバーは「これまで試合に出ていなかった人が中心」(佐藤監督)で、この日NO8で先発出場する相は、“若手リーダー格”という扱いで、ゲーム主将を任されたのだ。

ちなみにチームの主将・伊藤鍾史は「今日は久々のんびりモードです」と言いつつ、オレンジのTシャツにチームのウィンドブレーカーを羽織って、試合数分前のグラウンドに現れた。試合を観戦し、出場する選手にはハーフタイムにアドバイスを送ることが、役目といえば役目だった。

試合は13時にキックオフ。ブラックラムズは下部リーグのチームが相手とあって、FWのパワーで圧倒した。前半22分にマイボールラインアウトのミスからマツダNO8マナコ・トンガのトライを許すものの、27分、31分に敵陣ゴール前左ラインアウトモールからHO蓼内博樹が続けてトライ、スコアは14対7。すぐさま逆転した(それぞれゴールも成功)。

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しかし、ブラックラムズが意図する、連続フェーズからBKのスピードでトライを狙うという攻撃は影を潜めている。肝となるFW戦をここまで優位に進めているにも関わらずだ。「押せている割に陣地が取れていないでしょう?」。伊藤は試合を見つめながら、こう解説する。

「押せているけど、その後ただBKに放ってしまっている。モールの後はそのサイドを突かなきゃ。でないとフローター(ポイント周辺の相手守備)が消えないんですよ」

前半終了間際にマツダSH小田切優志がPGを決め、スコアは14対10となっていた。フローターを消さないと、BKに数的優位が生まれない。いくらグラウンド中盤でFWが押しまくっても、その後のBKは相手守備の網にかかる ― ハーフタイム、伊藤はその旨をチームに伝えた。

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伊藤の意を汲み臨んだ後半。理想の断片を見ることになる。後半14分には自陣でのSHのパスをインターセプトされ、マツダFB三好啓太のトライを許すも、21分に敵陣ゴール前ラインアウトモールから途中出場のHO大竹勝也がトライ(それぞれゴールも成功)、双方スコアを重ねた後半24分、マツダボールのキックオフからの攻撃だった。

自陣右側でキックオフからのボールを受けたゲーム主将・相が、詰め寄るマツダの守備網を切り裂きチャンスメイク、オフロードパスと素早いラックを重ね、あっという間に敵陣22メーターライン付近左まで攻め込む。そこでラックを形成し、数的優位を得たBKへ展開、ボールを得たSO乗本賢吾(後半開始から途中出場)が、ガラ空きとなった右のスペースへキックパス、WTB渋谷嘉広(こちらも後半開始から出場)の社会人初トライを生んだのだ(ゴールは失敗)。試合はそのままノーサイド、26対17でブラックラムズは勝利した。

すべての発端となった突破を見せた、相は述懐する。くだんのキックオフ直前、佐藤監督から発破をかけられていた。

「(トライにつながる突破は)監督の指示通りです(笑)相手の足が止まってたし、そこを突けということかな、と。今日はNO8だったので、ボールを持って前に行こうと思ってました」

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一方、佐藤監督は相のプレーには合格点を与えつつも、「(後半14分の失点を例に挙げ)NEC戦、サニックス戦に引き続き、自分たちのミスでペースを崩してしまっていた」と、試合そのものについては消化不良を強調していた。選手たちもそれぞれ、理想の形でトライを量産できなかった試合内容に不満足の表情を見せていた。「前半は、押しているのに取りきれない感じでしたね」(相)。

ブラックラムズは、試合から2日後の10月1日から“トップリーグ直前合宿”を行っている。反省の多き白星を経て、全員会社業務を休業、午前・午後の2部練習を5日間続け、6日のクボタスピアーズ戦、13日の三洋電機ワイルドナイツ戦、さらにはその先の開幕に備えているのだ。その間は生活時間のすべてを全員が共有する。

試合を見つめていた伊藤主将らはこの一戦から何を感じ、合宿をどう過ごすか。6日の試合は今季プレマッチの“ホーム最終戦”となるだけに、ファンへ今季の試金石を見せたい。

(文・向 風見也)

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