BlackRams

コラム

選手がみせた、その横顔 3

 リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。

 日本で学んだことは今後も活きる。チャンスだと思っている ――ジョエル・ウィルソン

photo  ジョエル・ウィルソンがリコーブラックラムズに加入して3年。日本でプレーするようになってからは5年がたつ。来日以前は南半球のプロラグビー国際リーグ「スーパー12(現スーパー15)」に加盟するブランビーズのメンバーとして活躍。スティーブン・ラーカムらとともに2001年、2004年と2度の優勝を経験した後、次なるチャレンジの舞台に日本を選んだ。

「ヨーロッパでプレーする選択肢もありました。でも、フォワードが中心となるヨーロッパの力のラグビーよりも、日本のスピーディなラグビーのほうがスタイルとして魅力的に思えたんです」
 オーストラリアA代表のメンバーとして訪れた際の日本の印象もよかった。
「すごくいいツアーで滞在を楽しめました。あとは家族のこと。距離的に近い日本なら、オーストラリアに住む両親や親戚に当時生まれたばかりだった長男の顔を見せに行きやすい。それも日本を選んだ大きな理由でした。本音を言えば、言葉が通じ文化も似ているヨーロッパでプレーするほうが楽な面も多かったと思います。でも、日本に来て新たな文化に触れるという経験の中で得たものはたくさんあります。5年というと長い期間に思えますが、そんなにたったかな? という感じ。あっという間でしたね」。

 とはいえ、時間はしっかり流れている。来日時1歳だった長男は5歳になり、最初に住んだ神戸で生まれた長女は3歳に。すくすくと育っている。
「この間、娘に『あなたはオーストラリア人かな? それとも日本人かな?』って冗談めかして聞いたんです。そうしたら『私は日本人!』って。生まれてからずっと日本にいるから、そんな感覚なんですよ(笑)」

 今年はディフェンシブスキルコーチ兼任としてシーズンに臨む。
「コーチングの基礎はブランビーズ時代の経験を活かしています。選手には、チームに必要だと思うことは遠慮せず発言すること、同時に、厳しい言葉にも耳を傾けることを求めています。スマートなチームになるには、そういう姿勢が大事」。

 練習試合のハーフタイムなどでは、これまで以上に熱くチームを叱咤激励する姿をよく見る。ジョエルにとって、日本でのプレーは挑戦であり成長の機会なのだ。コーチという新たなミッションにも、何かを得ようと貪欲さをもって臨んでいるのが、よく伝わってくる。


 周囲の理解得て、もう一度目指すラグビーと社業の両立 ――覺來 弦

photo  献身的なプレーでトップリーグでも存在感を示す覺來 弦。この春リコーに入社して配属されたのは人事部門。キャリア採用に関連する業務を担当している。「まだ研修を終えたばかりなので勉強の毎日。同じ部署に(川上)力也さんがいるので、いろいろ相談させてもらっています」。同じFLというポジション、かつ大学の先輩でもある川上と、試合だけでなく社業でもコンビを組んでいる。
「ラグビーも仕事も、という形が、学生時代から頭の中にある社会人ラグビー選手のイメージ。どちらかだけより、両方頑張れたほうが人として成長できるだろうし、楽しそうだなとも思っていました」

 大学を卒業し最初に所属したチームで、さっそくその理想を追う。だが簡単なことではなかった。「どちらも頑張りたかったのですが、なかなかうまくいきませんでした。寝る時間を削ってラグビーと仕事を両立させるような形になり、どっちつかずになってしまって」。それから移籍を経てリコーに入社した覺來。ラグビーと社業の両立は今でも理想だ。「今は同じ部署の皆さんに支えてもらいながら両立に挑戦中です。応援にきてくれる方も多く、毎試合力をもらっています」。周囲の理解のもと、理想に近づこうと日々努力を続けている。

「グラウンド外での様々な経験はラグビーにも活きる」。 この考えは、リコーブラックラムズで大事にされている考え方だ。「ラグビーだけ、って思われるのは昔からいやでした」という覺來。その点では"優等生"かもしれない。社業はもちろん、興味をもったことにはなんでも積極的にチャレンジする。そのためか趣味が多い。

「寮でもよく弾いています」という中学生から続けているアコースティックギター。「宮本 輝や北方謙三、最近の人なら東野圭吾、伊坂幸太郎とか。なんでも読みますけど小説が多いです」という読書。「(寮のある砧から)渋谷、表参道、代官山あたりまで乗ることが多いです」というミニベロ(通好みの小径ホイールの自転車)でのサイクリング……。そのほかにもオフをリフレッシュする術を数多く持っている。
「リコーのみなさんのお力添えのおかげで、今はラグビーと仕事、その合間の時間をバランスよく取り組めていると思います」

 倒されても、倒されても、タックルを繰り返し泥臭くボールを獲りにいく覺來 弦。 その活力――それは、3つの時間の好循環がつくりだしているのかもしれない。

覺來弦選手のプロフィールはこちら


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