イベント・レポート

第82回職域団体対抗将棋大会

〜〜〜リコー連覇ならず、ジュポン化粧品が優勝〜〜〜

年月日:2002年3月3日(日)8時50分〜18時頃

場所:東京都千代田区「日本武道館」

主催:(社)日本将棋連盟

後援:朝日新聞社、(財)日本武道館

協賛:セイコークロック

リポータ:西田 文太郎 e-mail : buntaro.nishida@nts.ricoh.co.jp

【菜の花が咲いている】

 今年は雪も降らない暖冬だったけれど、今日は寒い。どうやら、キャデラックに乗って出勤などという映画の中の出来事は自分の身の上におきることはない。寒い冬は寒さに震え、暑い夏は暑さにうだりながらも、自然を肌身に感じながら生きていく。自転車で風の中を駅に向かう。桜の木もまだ裸。風にも負けずと宮沢賢治の詩が口をついて出てくる。「寒い朝」という古い映画の中の吉永小百合の笑顔のカットが葉のない桜の枝に咲く。

 電車の中では、将棋世界の「あっという間の3手詰」に目を通す。割にいいテンポで詰んでいく。将棋の回りをうろうろしているのに、将棋の研究をする時間がとれない。どこか生活の組み合わせが良くないのかな。インターネットでの対局は勝率5割を行ったり来たりで、なかなか上がらない。

 九段下の地の底から地上に顔を出す。そういえば、もうすぐ啓蟄。

 牛ヶ渕の水位が低い。遠くで、鴨が一羽泳いで三角の波跡を作って遊んでいる。近くの桜の木に比較的大きな小鳥がとまった。その土手っ腹に黄色い菜の花が彩りよく揺らいでいる。向こう側の千鳥が淵ものぞいてみる。やはり水かさは少ない。うっすらと、紅い鯉がみえる。

 今回は40人のメンバーがすんなり集まったようだ。いざ出陣。

【参加チーム数は435】

 昨年春の大会は武道館が工事中で使えなかったために、幕張りメッセで行われたので地の利が悪く430チームと参加が少なかった。それをのぞくと、99年春からの参加チーム数は540,516,530,503,460とじわじわ減って、今回が435。なんとこれは1971年9月の424チームに次ぐ少なさだ。やはり日本の構造不況の余波が、こんな所にも顔を出しているのだろう。小泉内閣の構造改革は早く着手し、ついで不況対策へと進んでほしいもの。しかし、昨今の外務省問題をみると、政治改革をその前にやらなくてはならないようだ。手順は決まっているものの、ここではすでに作戦負けか。

 今年の審判長は郷田真隆棋聖で、あいさつの声も新鮮だ。

 優勝杯返還はリコー(1)からだ。秋、春連続優勝と行きたいものだが、ここのところ各チームますます層が厚くなっているので大変だ。リコー(1)は秋とほとんど変わりはないが、違いは牧野に代わって谷川が入っていることだ。不安材料は菊田が昨日アメリカ出張から帰ってきたばかりということだ。

【1軍は、準優勝】

 8チームでの最上位Sクラスは、抽選で2つの予選ブロックを作り、上位2チームが予選を通過し、たすきがけで、決勝トーナメントを戦う。優勝までに5局戦わなくてはならない。

 リコー(1)のブロックは、成和産業、ジュポン化粧品、プロセス資材と、鬼ブロックにならずに一安心。メンバーは瀬良司、山田洋次、野山知敬、菊田裕司、谷川俊昭と豪華版。

 予選リーグの1回戦は成和産業で、4勝1敗と幸先良いスタート。

 2回戦は本命ジュポン。これは逆に1勝4敗と痛い負け方。しかしこの時点で、プロセス資材が成和産業に負けたので、次のプロセス戦で2勝をあげれば、予選を通過できる。

 3回戦は3勝2敗で、無事予選通過。それにしてもプロセス資材から、蒼き狼と恐れられている強豪小林庸俊さんが消えている。このクラスの補充は簡単にはできないから、プロセスは前途多難だ。

 結局ベスト4は、ジュポン化粧品(1)、リコー(1)、向こうの山はNEC(1)と日本レストランシステム(1)とほぼ順当な結果となっている。

 昨秋は5連勝と鬼のようだった瀬良が、ここまで連敗しているのが気になるが、Sクラスでは誰が勝っても誰が負けても不思議ではない強豪揃い。準決勝はNEC戦、ここで瀬良も片目をあけて4勝1敗で、決勝に進む。

 決勝戦はやはりジュポンだ。何しろ元アマ竜王が3人もいる。いずれも熱戦だったが、エース山田洋次が渡辺健弥さんに負けたのが響いて2勝3敗と惜敗(棋譜鑑賞)。残念だが、お楽しみは秋まで持ち越しだ。洋次は職団戦個人記録9連勝でストップしてしまったけれど、Sクラス制になってからの最高記録ではないだろうか。

【Aクラス、東京リコーが準優勝】

 Aクラスには、リコー(2)、リコー(3)、東京リコーと3チームが優勝を狙っている。

 (2)のメンバーは藤原、牧野、桑山、坂下、宮田。1回戦は5勝0敗と快調だったが、2回戦で敗退。

 (3)のメンバーは椋木、小林、浜下、伊藤、中原。本戦1回戦は4人しかいないチームに敗退してしまい、慰安戦でふんばったが3回戦敗退。どちらも残留は決めた。

 東京リコーは藤森、星出、名田が快調に飛ばし、高橋、太田も頑張って決勝まで進んだ。もう一息だったが、決勝は特別区職員文化会に2勝3敗で、負けてしまった。名勝負師は言い訳をするというひそみに倣って、太田は言う、「どうも武道館は良くない」。

 蛇足と知りつつ解説すると、社団戦が行われた産業貿易会館では太田は1部リーグに出て、10勝4敗と好成績だった。今回は3勝3敗で、さっきの言い訳となったもの。

【Dクラス】

 リコー(4)は、吉中、庭野、西田、竹島、宮崎。1回戦、兵庫から来たチーム三木市役所に敬意を表して1勝4敗。こんなとこで敬意を表してどうする!

 慰安戦はまさかの2勝3敗で、あっけなく2連敗。おう、自分も2連敗。なんということだ。あっという間の3手詰めはあんなにすいすい解けたのに。実は、2局とも指しながら、あまり得意でない作戦に誘導されてというか飛び込んで、まずい流れだと思っていた。それが素直に結果に現れたというところだ。

 隣で辛うじて1勝をあげた庭野はそろそろ引退したらと親切に忠告してくれたが、庭野が勝てる相手が部内にいなくなるとかわいそうなので、友情に厚いメロスとしては引退を丁重にお断りしておいた。それに、今日の2連敗は、追っかけ応援中の中倉彰子女流棋士のせいなのだ。ここで負ければ、握手できるはずなのだ。その理由は次のレポートに譲る。

 リコー(5)は、平田、田中、樋口、槙、土肥。ここは同じように1回戦敗退するも、慰安戦でしぶとく3回戦まで進んでいる。

【(6)と(7)はFとE?】

 リコー(6)は、Fクラスに落ちたので、レーテイング順の低い方が(6)となり、今井、豊岡、矢口、宇多津、大室。1回戦は負けたものの慰安戦で3回戦まで進んだのは立派。

 リコー(7)は、Eクラスで、安宅、竹中、須田、鈴木、角田。1回戦で日本レストランシステムの2軍と当たり、3勝2敗で撃破。3回戦で角田が貴重な白星をあげるもチームは2勝3敗と敗退。

 しかし、こうしてみると私がメンバーだった(4)だけが、2連敗とひどい負け方をしてしまった。弱くなっているわけでもないし、勝てない相手でもなかったので、もう一度修行をして、秋こそは全勝をしてみたいもの。

(完:記02年3月10日)


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