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イベント・レポート

ライオン丸にお雛様

  〜牧野さん結婚披露パーテイー〜


日時:1998年1月31日(土)

リポータ:西田文太郎 e-mail : nishida@cs.ricoh.co.jp

お出迎え

入場

愛妻弁当

北から南から、遠征のアジト

質問

ビンゴ

結婚もいいもの

バズーカ砲


お出迎え

 久しぶりに暖かい昼下がり、今日は13度という天気予報。新宿駅西口からヨドバシカメラの前にでる。いつものように、この辺は人、人、人で、混んでいる。私は元気のあるときは人混みが大好きだ。今日は、元気だ。なぜか幸運の女神が一緒なのだ。女神の正体はいずれ分かるけど、信号を待っている豊岡さんに追いついたら、彼女に気付いて喜んでくれたので一安心。

 都庁の手前にある新宿NSビル前は風が強いので、自然と早足でビルに入る。30階までガラス張りのエレベーターで一気に昇る。幸運の女神は、何故か外を見ずに、内側を向き下を見ている。「あ〜、駄目……駄目」。どうやら高所恐怖症らしい。かといって抱きついてくるほどの魅力をエスコート氏には感じていないようだ。垂直に上へ行くにしたがって回りの景色がどんどん広がっていく。贅沢なひととき。

 「アサヒピア21」の前に行くと可愛らしい女性と体格の良い男性がお出迎えしてくれた。
 「おめでとうございます」、「始めまして」、「よろしくお願いします」。
 今日の主賓にお出迎えをされて恐縮しながら芸のない挨拶をして受付に行く。菊田さんと豊島さんがいる。今日の幹事役だ。グレーのマタニテイドレスの菊田夫人も応援にきてクロークを手伝ってくれている。

 中にはいると、かなりの人が集まっている。小林さんが居る。今井さんが居る。ほとんど始めてみるスーツ姿が決まっている。
 西日をよけるためにブラインドが降りている。テーブルが三つほど並んで出来ているので、エンジのシャツにネクタイの藤原さんや、吉中さんや、佐々木さんの前をすり抜けて一番奥にいった。
 名田さんと谷川さんがにこにこして座っていた。日本選手権の解説を書かなきゃいけないんだけど、棋譜がどこかへいっちゃったと谷川さんのつぶやき。これはきっとアップが遅れている言い訳なのだろう。棋譜が無くてもその気になれば、頭から湧いてくる人なのだ。もっとも自分が前に指した将棋を谷川さんほど覚えていない人も珍しいと南さんがよく言っていた。まあ、直近の棋譜くらいは大丈夫だろう。

入場

 やがて、豊島さんの司会で拍手が起きる。牧野夫妻が仲良く手をつないで入場してきた。クラッカーがポン、ポン鳴る。
 ピッチャーのビールをついで野山主将の音頭で乾杯!

 「牧野さん、美香さんおめでとうございます!」

 美香さんは、8月の出産予定ということでマタニテイドレスを着ていてややおなかが出ているもののほっそりとした方で、細面の和風の美人だ。牧野さんはやや緊張気味に堅くなっているようだ。
 リコーの理事でリコーエンジニアリングの社長をしている河津さんが、お忙しい中かけつけてくれて、将棋部部長として、お祝いの言葉を、ユーモアと実感を込めて述べてくれた。

 「今まで全く別の生活をしていた人間同士が一緒に暮らすのだから、これからはお互いの欠点が見えてくるけれどあまり気にしないようにするのがいい」

というようなことだった。

 口で言うのは簡単だけど、日本人の多くが住んでいるというウサギ小屋では近すぎるせいか、つい欠点ばかり見えてしまう。だから、結婚して数ヶ月も経ったら広い家に住まなくてはならない。  結婚生活って、不思議なものだ。未知なる未来を二人で進んでいく、ロマンチックで、美しく、危険と冒険がいっぱいで、ふふふふふ。

愛妻弁当

 柔らかいローストビーフや緑のサラダ、サーモンスライスなどのお料理がとてもおいしい。
 お店の人の手でブラインドが開けられると、丁度、西日が富士山の陰に隠れたところだ。真っ白な富士山を赤く輝く金色で縁取ってとてもきれいだ。



 一人づつ、お祝いを述べている。ライオン丸こと、新郎の牧野さんには「いつもにこにこ」「いつも元気で」という冠がかぶせられる。

 「将棋部一将棋好きの牧野さんが練習や試合に“都合ででられない”ことが昨年何度か有りおかしいとは思っていた」と佐々木修一さん。
 「子供が出来たらできるだけ早く将棋を教えれば、(ライオン丸より)少しは筋の良い将棋になるでしょう」と怪しげなアドバイス。

 日本選手権の取材に来て、週刊将棋の2月4日号にその記事が出る小島一宏さんは、「今度出る週刊将棋の記事に、“愛妻弁当実らず”というフレーズを使いましたが」と、奥様の奮戦ぶりを伝える。
 美香さんは、「今までは朝御飯と同じメニューなので、これからは、もっと工夫していきたい」と、羨ましい抱負を語ってくれる。

 吉中さんはやや不満そうに「最近の将棋部では、若い方から結婚する習慣が出来てしまった。私の順番はいつのことやら」と、指折り数える。
 豊島さんが冷たく「私の披露パーテイは牧野さんの幹事でお願いします」と予約している。

北から南から、遠征のアジト

 「そこらじゅうに新聞は散らかっているし」、「トイレの電気は切れてるし」、「冬でも暖房はないし」という野山さん。野山さんや藤原さんが遠征してきたときのアジトのひとつが無くなるわけだが、あまりにも個性的で懐かしく惜しいものをなくしたという感じ。

 瀬良さんは結婚した当時を振り返り、毎日蒲田によってから帰るので、奥様にはこれでも新婚かと疑われたとか。子供が産まれるときも、どこで何をしていたやら、この辺は音楽の音で、聞 き取れなかった。でもその甲斐有ってか今はよきマイホームパパとか。で、結局瀬良さんはまっすぐに家に帰らない方がよいといったのかな?

 菊田さんは、「うちは5月に生まれます、男の子で、同じ学年になるのでよろしくと」。10年後、小学生名人戦で対決していたりしたら面白い。
 菊田夫人は、「美香さんは九州から来ているし、私は北海道からで、あまり友達も居ないのでよろしく」というと、すかさずライオン丸「歩いて(たったの)45分ですから」。爆笑を誘う。

 「私も、美香さんのように、可愛いお嫁さんになりたい」と羽二重のマドンナ。実は冒頭の今日の幸運のマドンナは、ほとんどリコー将棋部員のような存在の小野三千代さん。やっと2週間のテスト地獄から解放されたと、ご機嫌だ。

質問

 新婚旅行は九州を歩き(車では無く電車)で回ったという。九州出身なら、北海道とかに行くのかと思うけれど、やっぱり住み慣れたサバンナが好きなのだろう。
 デートの場所は、太宰府の「ミユキスポーツセンター」や、大分の日田や、湯布院、こちらでは八景島などにいったという。
 遠距離恋愛は、手紙は美香さんからの一歩通行で、ライオン丸は専ら電話という。確かに、ライオン丸の手紙というのはイメージには合わないかも知れない。
 どこで知り合ったかといえば、母親同士が知り合いなので、強いていえば家で会ったのが最初という。
 森下八段が結婚して間もなく出産予定で、どうも手順前後があったようだというので、聞いてみたが、牧野さんも菊田さんも否定していた。
 美香さんに将棋は知っているかと聞いたら、以前は指していたけど、今はやっていないという。 それなら是非復活して指して欲しいと思う。

ビンゴ

 ささやかな商品が上位8人まででるビンゴゲームが始まった。
 初めてリーチがかかったのは、羽二重のマドンナと、小林さんの二人。このとき、まだひとつもあいていないのが瀬良さん。
 そして次の番号で、「ビンゴ」と、黄色い声は明るく元気な三千代さん。う〜ん、ついてる。この調子で、職団戦の応援に来てくれれば、百人力だ。力あまってか、先月の雪のあと、チャリで走っていて、手首を捻挫したという。お大事に。
 結局ビンゴは、小林、瀬良、野山さんなどが当たっていたようだ。

結婚もいいもの

 テレビの「ふたりっ子」の中にでてきた銀じいのような人達が「真剣士」として活躍していた頃は、勝負としての将棋と、結婚がうまく両立しにくかったのかも知れない。でも今は、社会環境も変わったし、プロでも結婚して活躍している人も多いし、アマチュアでも両立している人が多いと思う。暮らしの中に将棋を取り込んでやっていけば、うまく行くと思うので、遠慮しないで、可愛いマドンナ達にアタックしましょう。
 欠点が見えようが、ウサギ小屋だろうが、しばらくは極楽が見えるのだから。失楽園風に言えばかりそめの極楽園という感じ。

バズーカ砲

 締めは、豊島さんがバズーカー砲のような連発式クラッカーを抱え、一本締めでドカーン。七色のテープが飛び散り、めでたくお開きとなった。
 ビルの窓には、三日月が浮かび、パークハイアットホテルの三角形が見事なシルエットを見せていた。

(完:記98.2.1、改2.15)

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