第9回 アマチュア将棋団体日本選手権

第9回 アマチュア将棋団体日本選手権

開催場所:東京 千駄ヶ谷 将棋会館

開催月日:1997年2月8日

日本選手権について
各対局の序盤
女性部員
勝敗の行方

リポータ:西田文太郎 e-mail : nishida@cs.ricoh.co.jp


日本選手権について

 暦の上では春を迎えたものの地上はまだ寒く、JR千駄ヶ谷駅沿いの新宿御苑の常緑樹もどんよりした灰色の空に向かって伸びてはいるものの$BNP$,$/$9$s$G$$$k!#
 それでも鳩が森神社に行くと小鳥がチチッ$B%A%A%C$H$5$($:$j855$$,=P$F$/$k!#
 将棋堂から神殿の方へ進むと、鈴を鳴らして祈っているアマ強豪の姿があった。
 神頼みと言うよりは、祈ることによって自らの気持ちを集中させる御利益が大きいと思った。

 リコーの創立50周年を記念して創設された$BAON)#5#0<~G/4p6b$B$N-4}CDBN$NF|K\0l$r7h$a$kBg2q$O$B:#2s$,Bh#92s$H$J$k!#
 ラグビー場の様に大勢の観客を集めて行うほどにはなっていないけれど、将来は観客を呼べるようなものになればいいと思う。
 先頃行われた$B>-4}$NF|$B$K$O#6@i?M$[$I$N4Q5R$,=8$^$C$F$$$k$7!"%?%$%H%k@o$N2r@b2q>l$O2?=h$bFx$o$C$F$$$k!#
 或いは、インターネットで世界中に発信する夢も実現できるかもしれない。
 いま暫くはインターネットの翌日レポートで対応したい。

 今年の社会人代表は常連のリコーに代わって春の職団戦に優勝したプロセス資材が初出場、学生代表は学生王座戦で優勝した早稲田大学が第2回に続いて2回目の出場だ。
 因みに過去最多は東大の6回、リコーの5回だ$B@o@S$O%j%3!<$,#52sM%>!$7!"ElBg$,#22s!"IY;NDL$,#12s$H!#2GT$HBg$-$/%j!<%I$7$F$$$k!#

 本棋戦は持ち時間が90分、それを使い切ると1手60秒未満という、アマチュアの大会では時間もたっぷりあり、日本将棋連盟の座敷で指せるのも大きな魅力だ。
 奨励会の有段者の対局と同じ持ち時間だ。
 記録係も付き$B#9#0J,$^$G$O%A%'%9%/%m%C%/$r$B;X$7$??M$,2!$7!"ICFI$_$O5-O?78$,9T$&!#


各対局の序盤

 定刻となりリコーの南尚文運営委員長の合図で、一斉に7局の対局が始まった。


 振りゴマはと金が4枚出て、早稲田奇数先手となる。
 学生側は、セーターやシャツ姿が多く、昨年の東大に比べてさすが荒ぶる早稲田という感じがする。
 一方のプロセス資材は、全員スーツ姿で、この日本選手権にかける意気込みが伺える。

 
大将戦は、プロセス資材の遠藤さんの四間飛車穴グマに早稲田2年の林さんが右四間の居飛車穴グマで対抗する。
 遠藤さんは、体格も姿勢も立派だし、立ち居振る舞いも堂々としていて頼もしい。
 林さんは小柄ながら、ハンサムで$B8;5A7P$O$3$s$JBg>-$@$C$?$N$G$O$J$$$+$H$U$H?7J?2HJ*8l$N5H@n1Q<#$NIA
 副将戦は$B%W%m%;%9;q:`$N>.NS$5$s$NLpAR$KBP$7!"8e-$,#56Z$K6d$r?J=P$5$;LpARCfHt  秀才を思わせる小林さんに対し、スポーツマンの古土井さんは紺のワイシャツにエンジのネクタイが決まっていて$B%9%]!<%D4"$j$K$-$j$C$H$7$?4i$+$iLnIp;NIw$J@:W{$5$r46$8$k!#

 三将戦は$BAjLpAR$G!"@he$5$s$,"$#5;06d!""$#7;07K$H96$a9g$$$N9=$($@!#
 河上さんはベージュのコーデユロイの上下が似合っている。時々扇子をパチンと閉じる間隔が獅子嚇しの様だ。
 清水さんはラフなシャツにわざわざ開けたものか膝の辺りにほころびのある薄茶のジーパンがいい。

 四将戦は$B@h  橋下さんはどっしりと落ち着いた雰囲気の中にも、ネクタイのモダンアートが華やかだ。
 細川さんは時間を持て余し気味に仲間の将棋を観戦する余裕ぶり。

 五将戦は$B@h-$N%R%M%jHt!Kt$5$s$O"$#98^Jb$B"$#48^Jb$H0L$rD%$k!#
 いかにも将棋が好きそうな勝又さんは$B=xHW$+$i>-4}$r3Z$7$`$h$&$KD99M$r7+$jJV$9!#
 豊島さんはこの4月からリコーのメンバーとなることが決まっているので、ついつい応援したくなる。$B%H%h96$a$B_ZNv$G!"$,$s$,$s96$a$kBV@*$@!#

 六将戦は、後手早稲田の渡辺さんが石田流の三間飛車美濃囲いにすると、先手プロセス資材の石田さんは金銀2枚の穴グマで対抗し押さえ込みを目指す。
 石田さんは駒を升目の下線にそろえて並べすきあらば飛びかからんという感じ、対する渡辺さんはGパンでお茶を両手で抱えて考えている。

 七将戦は$B8e  早稲田の安芸さんは棒銀から速攻の構え。
 青野さんは今日の14人の選手の中では最年長だろう。若手に混じっておじさんの健在ぶりを示してくれる。
 安芸さんは$B;E3]$1$NA08e$G?5=E$K;~4V$r;H$C$F$$$k!#
 他の6局は全て社会人側が消費時間を沢山使っているのに対し、ここだけは学生側が消費時間をより使っている。



女性部員

 早稲田の将棋部の秋味のマドンナは今日は残念ながら姿が見えないけれど、ロングスカートの可愛い女性が応援に来ている。
 女性の部員が居るといい、リコーにもやっと一人参加してくれた。
 これからもどんどん入って欲しい、リコーの女性社員の方是非どうぞ。
 観客も、徐々に増えてきた。
 秒読みに突入した順は四将戦、五将戦、六将戦という具合で、いずれもプロセス資材側からだ。
 

勝敗の行方

 最初に決着が付いたのは四将戦。
 29手目で▲8六歩と仕掛け居玉の後手陣に対し37手目▲6四歩△5四銀▲5六飛と、飛車切りの狙いを見せる。
 いかつい手つきで豊島さんが$B#4#5  対する勝又さんも裸の王様ながら56手目の△5六歩から果敢に反撃する。
 67手目▲5九金打ちが南曰く$B:,@-$N$O$$$C$?!Kt$5$s$N%_%9$rM6$C$?!#
 △同飛寄成▲同金のあと、本譜は△同飛成と進んだが、この手で7八の金を取っていれば後手の方が勝っていたようだ。

 続いて副将戦が終わった。
 相矢倉から6筋に飛角銀桂を集中させる古土井さんの猛攻に、小林さんの勘違いがあったらしく72手目の△6五歩に対し▲7五金と敵歩頭に金を捨てる奇手をひねり出したが$B6dB;$+$iLpAR>k$,$,$i$,$iJx$l$F$7$^$C$?!#

 直ぐに、四将戦から声が上がった。
 矢倉に対し、右四間から先に馬を4五に作った後手細川さんが馬を4四に置き敵玉を睨み倒してしまった。
 細川さんの強さが目立ったが、聞いてびっくり、3年ちょっと前まで関西奨励会の1級に居たという。
 王座戦での全勝もうなずける強さだ。

 次は七将戦だ。
 ここは先手81分、後手83分と双方バランス良く時間を使い秒読みにならずに決着がついた。
 45手目の▲4四飛に対し1分で△同飛と応じたが△4二歩でどうか。
 51手目の▲6二銀が目茶厳しい。
 ここの棋譜は早稲田2年の川合さんがとっている、字は大きくくっきりとして見やすいし、消費時間もしっかり書いている。木下籐吉郎の草履のエピソードを持ち出すまでもなく$BH`$N>-Mh$O4|BT$G$-$k!#

 なんと、あっという間に早稲田が4連勝してしまった。しかし、対局者は夢中だ。

 三将戦。
 相矢倉から7五、5五、4五で歩がぶつかり本格的だ。
 プロセス資材の河上さんは61手目の▲5六金に対し、△4六飛と飛車角交換の勝負手を放つ。
 難解な寄せあいで河上さんが見事に1手勝ちをおさめプロセス初白星。

 六将戦。
 後手渡辺さんが石田流から40手目2四歩と仕掛けた。
 飛車交換のあと、45手目の▲2五歩が意外に厳しい。
 駒損の劣勢ながら必死に頑張る渡辺さん。
 対する石田さんは着実に差を広げ139手で勝ちきった。

 大将戦。
 49手目、先手の林さんが▲4五歩と仕掛ける。
 遠藤さんは途中で買ってきたウーロン茶を茶碗に注いで、一口すする。
 先手は角交換から角を打ち込んで馬を先に作って桂得もしているけれど$B$I$&$b@h  角を打ち込む前に2四歩の突き捨てを入れておけば1二馬と香車をとって3四に馬を引く手が4三の飛車に当たるので仕掛けが成立しているのではないかというのが感想戦。
 端を絡めて先手は手を作って行く$BNS$5$s$O%8%c%1%C%H$rC&$$$G%7%c%D;Q$K$J$k!#
 後手遠藤さんが86手目△8四銀と手厚く打ったのが好手で、林さんはしびれたといっていた。
 さすがに$B%"%J%0%^%s$B$H8F$P$l$k1sF#$5$s$N7j%0%^$O$BGv$/$J$C$?$H;W$C$F$b!"$$$D$N4V$K$+Kd$^$C$F$$$F7x8G$K$J$C$F$$$k!#
 138手目の△7八とを見て投了。
 プロセスは3つ星を返したが時既に遅く、4勝3敗で早稲田が第9回の日本選手権に優勝した。
 
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