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イベント・レポート

第71回 職域団体対抗将棋大会

1996年10月13日 日本武道館

【職団戦って何?、今大会の概要】
【リコーはどうだった?、結果】
【大人達の運動会】
リポータ:西田文太郎 e-mail : nishida@cs.ricoh.co.jp

【職団戦って何?、今大会の概要】

 毎年、春と秋に全国各地の職場から約三千人の将棋好きが集まって5人1チームで鎬を削る大規模なアマチュアの将棋の団体戦なのだ。
 武道館に長い机が沢山並び、大会が始まると大勢の人達が将棋を指し始めるので壮観だ。仲間のチームを応援しに行こうとしても何処にいるのかなかなか見つけられない。

 今回は第71回目の大会で608チームが参加し、一番上のSクラスから、A、B…Fクラスまで七段階に分かれている。
 東京、神奈川、千葉、埼玉が約9割を占め、そのほかの地方からも北は青森、南は福岡からと約1割程度が参加している。

 第一回目は1959年の11月に開かれている。この時の参加チーム数は69だ。
 その後、参加数は鰻登りに増えて過去最高は1980年の3月に第38回目で628チームを数えている。
 今大会の最多チームはリコーが7、富士通、東芝、沖が各6チームエントリーしている。
 リコーが初めて参加したのは1962年の第三回か63年の第四回頃で、今将棋部に残っているのは槙さんと中島さんだけのようだ。それ以来ずーと出ているがほとんど出ると負けだったという。

 これまでの70回の大会で、Aクラス(第67回からはSクラス)での優勝チームは約30ある。
 最多優勝チームはリコーで8連覇を含む21回を記録している。
 第二位はマルケーが8回優勝しているが第30回までである。
 リコーが初めて優勝したのが谷川・加藤・浜下さんが入社してからの1981年10月の第41回大会である。
 ここのところSクラスは毎回優勝チームが異なっているけれど今後も優勝回数を増やしたいものだ。
 何と言っても職団戦はアマチュア将棋界の頂点だから。

 対局の持ち時間はクラスによって若干異なる。
 今回の例を紹介すると、Sクラスが20分で、その後は30秒未満で指さなければならない。
 A、Bクラスは30分未満に指さないと切れ負けとなる。
 C〜Fクラスは両者で60分又は50分を目安に、進行が遅れているところは手合い係りの指示で近くの人が30秒の秒読みをする。
 Sクラスでは秒読みで延々と熱戦が展開されることもしばしばある。

 対局の形式はSクラスだけがリーグ戦プラス決勝トーナメント形式で他はすべてトーナメントだ。
 C〜Fは各クラス2ブロックの山でそれぞれ優勝チームがでる。
 大体5回勝たなければクラス優勝できない。
 A、Bクラスは各64チームでのトーナメントなのでやはり5回勝たなければならない。
 Sクラスは8チームを抽選で二つのリーグに分けてリーグ戦を行い上位二チームが決勝トーナメントに出れる。やはり5勝か悪くとも4勝しないと優勝できないから、並大抵のことではない。

 五人一チ―ムなので3勝以上で勝ち上がれる。
 Aクラス以下は一回戦で負けた場合に負けたチームでの慰安戦トーナメントがあるので、最悪でも2試合は出来るようになっている。
 また、2試合が終わった頃からプロ棋士の指導対局も用意されているので結構一日将棋に浸っていられる。
 昼はお弁当がでるので観客席や武道館の外の日溜まり等ででランチを楽しめる。

【今大会の概要】(第71回職域団体対抗将棋大会選手名簿より)
月日 : 1996年10月13日、日曜日
場所 : 日本武道館
参加 : 608チーム
    (Sクラス8、A・B各64、C88、D・E・F各128)
主催 : 日本将棋連盟
後援 : 朝日新聞社、日本武道館
協賛 : セイコークロック、全国農業協同組合連合会


【リコーはどうだった?】

 リコーからは7チームと東京リコーから1チーム参加した。

 先ずはリコー(1)
 当然Sクラス、メンバーは将棋部レーテイングの9月までの順位で菊田・野山・南・谷川・瀬良と頼もしい。
 抽選で同じリーグに毎日コミミュケーションズ(1)、プロセス資材(1)、リコー(2)となった。
 第一局は対リコー(2)。かつてリコー(2)が優勝したこともあるほど力の差はわずか。
 しかし、今回はレーテイングを見事に反映して5人とも勝ちとリコー(1)チームが快調な滑り出しを見せた。第二局は強豪プロセスに敗れたが、第三局を毎コミに勝ってリーグ戦を2位で通過した。
 第四局はトーナメントの準決勝となる。別リーグで1位通過のアルゴリズム研究所に勝ち、決勝進出を果たした。
 第五局の決勝戦は対富士通(1)となり、リーグで惜敗したプロセスが出てこなかったので「これはいける」と期待が高まった。ところが2勝3敗と残念な結果になってしまった。野山さん、瀬良さんが4勝1敗と相変わらず安定していた。

 リコー(2)
 やはりSクラスでメンバーは佐々木s・牧野・浜下・藤原・椋木である。
 一回戦で対リコー(1)にゼロ勝したのがたたったか調子が出ない内に三局消化してしまい、白星が無かったのは意外や意外。
 プロセスと毎コミだからきついことはきつい。
 祝勝会というか反省会のツマとして貢献していた。

 リコー(3)
 Bクラスで、坂下・庭野・田中・大友・加藤とSクラス経験者が二人いる。
 レーテイングは数字で表現されるのではっきりして良いが加藤さんのように強くても対局が少ないと点数が増えないのでやや気の毒な面もある。
 しかし、基準がはっきりしているということだろう、割り切って気持ちよく出てくれるところが良い。期待通り加藤さんは4連勝でベスト8の立役者となった。

 東京リコーチーム
 毎回昇級を重ね今回はBクラス。
 今までは藤森・名田の超強豪に中原さんがいて、藤森さんに言わせると「中原さんの個人戦のようなもの」だったが、「今回から強い人が二人増えたから」かなり期待できる。
 その通り、このBクラスでもベスト8に入り又一発昇級となった。

 リコー(4)
 Bクラス。樋口・西田・竹中・室井・岡田。一回戦でがつんとパンチを食らってあっけなく慰安戦行き。
 慰安戦の一回戦はぎりぎり勝って残留は確保したものの慰安戦の二回戦で討ち死に。
 やっと残留した中で室井さんの3連勝は光っている。

 リコー(5)
 Cクラス、槙・則武・宮崎・鈴木・高橋で三回戦まで進みベスト16は大健闘。
 則武さんが感想メールで「自分が弱くなったのを実感できた」と書いてるけど、Sクラスは別として下の方はちょっとやれば効果が出るから「止めよかな〜」なんて言わないでぼちぼちやろうよね。そのうち暇になることもあるだろうし。

 リコー(6)
 Dクラス、伊藤・池田・飯島・矢口・安宅で二回戦まで進みベスト32、まずまずってとこ。
 職団戦って、何処のクラスでも不思議とやたら強い相手がいるんだよね。やはり飯島さんの2連勝が目立つ。

 リコー(7)
 Eクラス、須田・山中・小川・土肥・今井・徳増で、準優勝の快挙。
 もう少しで優勝できそうだったのに惜しかったね。今井さんが5連勝、山中さんが5勝1敗、徳増さんが4勝1敗だものね。我らがウエブマスターの小川さんだって3勝2敗と勝ち越しだもんね、よほど運の良い山だったんだろうね。
 レーテイングの底役がいなくなっちゃうじゃない。誰かが「Tさんが来なかったのが良かった」なんて言ってたけどね。
 うっかりうなずいちゃったりしてしまったけど気にしちゃだめだよ、豊岡さん。


 優勝こそ今一歩のところで惜しくも逃したけれど、全体として過去最高ではないかと思える好成績だった。
 最近はいつもSクラス以外は一回戦か二回戦がせいぜいだったから。
 私見だが昨今の将棋ブームに加え伊井さんが構築してくれている将棋部メールで部員間のコミュニケーションが良くなって将棋への刺激が増えていることや、安宅さんが地道に運営している大森月例会なども今回の好成績の陰の力だと思う。
 メールをリードオンリーの方も一度ポストして恥をかいちゃえば後は気楽に参加できるから思っていることを表に出して見ませんか。
 コーポレートスローガンも“イメージコミュニケーション”ということですし、コミュニケーションは双方向が前提だし。
 職団戦の場合は行った以上全試合に出たいと思うから、予備無しの全員対局が望ましいと思うけど皆さんはどうですか?それと、外部の人も「最近どうしたんですか」と言ってたけど、笠井さんの復活が待たれるところ。
【結果】
リコー1  : Sクラス 準優勝(富士通に2ー3で負け)
リコー2  : Sクラス 8位(降級)
リコー3  : Bクラス ベスト8(昇級)
リコー4  : Bクラス 慰安戦ベスト16(残留)
東京リコー : Bクラス ベスト8(昇級)
リコー5  : Cクラス ベスト16(残留)
リコー6  : Dクラス ベスト32(残留)
リコー7  : Eクラス 準優勝(昇級)

【大人達の運動会】

 職団戦は、将棋を好きな人たちにとってとても励みになる大会だ。春と秋に必ずやってくる。
 高い交通費にもかかわらず遠方から参加する人たちもいる。
 将棋は1対1のゲームなのに団体戦であるところも面白い。
 一日にどっと集まってじゃんじゃん消化するのもテンポがいい。
 秋は子供達の運動会などが重なって出れないこともあるけれど、大人達の運動会だから逆に子供や家族が見に来れるともっといい。
 私のパートナーは「絶対行かない」とつれないけれど、行って面白ければ来るようになるだろう。

 3000人も集まるから、運営は大変だろう。
 奨励会の人や指導対局など将棋連盟からは60人位は活動しているようだ。
 だから、これ以上を望むのは無謀かもしれないけれど、ここで留まっていては羽生七冠達成前後から将棋のブームが来ているのに、そのチャンスを逃してしまう。ささやかな夢の断片をインターネットの窓に描いてみたい。

 もっと広い場所で、もっと大勢集めて、もっと観戦しやすくして、運動会に保護者が参加できるように、家族も何らかの形で参加できるような大きなイベントがオリンピックのように4年に一回でもできたらいい。
 「吹けば飛ぶような将棋の駒に…」という家庭をほったらかしにして、一人将棋に命を懸けるストーリーも良いけれど、家族に認知され、理解され、一緒に楽しめる、そんな方向に進めばいい。

 例えば東京ドームのような広々とした場所で。
 隣の人と肩をぶつけ合わずにゆっくり指せるスペースを確保して、5万人ぐらい集まって、観戦する人も人の頭しか見えないのじゃなくて、家族参加で親の敵を小学生くらいのの子供が討ったりするのも面白い。
 普段ごろごろしているお父さんやお兄さんお姉さんが将棋が強いのにびっくりして家の中での株が上がるかもしれない。JRなんかに協力して貰ってこのイベント参加者は運賃半額にするとか。
 協賛企業を募って賞品をじゃんじゃん出すとか。
 武道館の観客席でお弁当を食べながら、会場でひしめき合って将棋を指している姿を見ながらぼんやり大人達の運動会の夢を見た。


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