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イベント・レポート

第7回 社会人将棋リーグ戦 第3日(1996.9.15)

リポータ:西田文太郎 e-mail : nishida@cs.ricoh.co.jp

社団戦 第三日
96年9月15日(日曜日)東京都港区三田 長谷工体育館

 天高く馬肥ゆる秋の入り口。
 田町駅から5分ほど急ぎ足で歩くと少し汗ばむけれど、街路樹のプラタナスには焦げ茶色の朽葉が混じっている。
 愛棋家らしい人たちが同じ方向にぞろぞろ歩いている。私の遥か前を谷川さんが急ぎ足で歩いているのが見える。



 リコー2軍の第一局、ここのところ一局目はベンチが多かったけれど今回は珍しく対局できた。
 しかもみんながやりたがっている、フェアリープリンセス2である。
 私はこのためにワイシャツにネクタイも締めてスーツでやってきた、、、なわけは無いか。
 将棋の大会にスーツで来たのは初めてだけれど、これも結構良いものだ。
 夜の部の私用のために着用したのだが、私などはいやいやながらも一年間の内200日以上スーツを着ているのだから、むしろラフな格好より馴れているということはある。場の雰囲気に合うかどうかという問題はあるけれど。

 黒いシャツに白いスラックス、清楚な出で立ちで神秘のベールのマドンナが登場したには驚いた。
 しかも、ニアミスで私の前の隣にいるではないか。
 超人気もので、いい男が入れ替わり立ち替わり挨拶や応援にくる。
 メンバーの中には中倉姉妹に似ているという声も挙がった。将棋も美女がたしなめば高貴なものに思えるから不思議である。

 この対局の栄誉を得たのは五将の庭野さん、私なら鼻の下が伸びて顎がゆるゆるになって目には霞がかかって手は震えとても勝ち目はないのだけれど、見ると、庭野さんも鼻の下が伸びている。
 それなのに、なんてことだ、庭野さんは居飛穴にしている。許せん!あんなに美しい人に。。。
 と思っていると振り飛車側が銀冠を完成させて、庭野さんは作戦負けしている。あーあ、見ちゃいられないな。

 私はキャリアを積まれた貴婦人がお相手で、やはりいつもと違う雰囲気で何となくうれしはずかしと言う感じ。
 矢倉模様から貴婦人は右四間飛車にしてきた。飛車を一段目に引いたので角交換にでた所、かわしてきたので玉頭に大きな拠点を作って指しやすくなった。

 見ちゃいけないと思いながらついつい隣の斜め前に目がそれてしまう。ついでに見えたその向こうでは初参加の四将グリンベルヘンさんが優勢になっている。私の左にいる七将樋口さんは端を破ってしまった。
 グリンベルヘンさんにヨーロッパのチェスの大会などに女性は沢山居るかと聞いたら、会場を見渡して、ここと同じ5パーセントくらいと言う。更に会場をぐるっと見渡して、「外人は一人かな」と流暢な日本語で呟いていた。
 女性に将棋を好きになって貰うには、勝たせるのが一番だと女流親睦会の時にどなたかが言っていたのに、我がチームの男どもは何のゆとりも優しさもなくみんな勝ってしまった。神秘のマドンナと貴婦人達にインターネットからごめんなさい。



 第二局は都立大都鳥戦、残念ながらベンチウオーマの役が回ってきた。
 拾う神あれば捨てる神有り、アマ女流名人の真壁さんが来ているという声を聞いて、フェアリープリンセス1の追っかけを始めた。
 淡いオレンジのツーピースをスマートに着こなして将棋を指している。幸運のお相手の小父様も顎が緩んでいるのかなと思ったけれど、それどころではないようでこちらのマドンナは小父様の振り穴の端にめがけてがんがん攻めている。



 リコーの1軍は、東芝と熱戦を繰り広げている。
 やはり私用のためにスーツで来ている菊田大将は、きっちり相手の寄せを見切って格好良く勝ちそうだ。
 ポイントゲッターの野山さん、瀬良さんが攻めあぐんでいる。
 谷川さんは、得意の逆転モードに入っているようだ。飛車に成られと金も作られているのに悠々と角で遠くの香車を取りに行って、それでも勝っちゃうんだ。
 南さんは、メールにでていた右玉をやっているのかと思ったら、よく見たら相手が右玉で南さんは矢倉だった。
 佐々木さんは、竜だか馬だか作って余裕モード。
 牧野さんの所は、中盤の押し合いをやっている。



 壁に前回の成績表が張って有る。
 見ると我が憧れのマドンナ達の名前も載っている。と言うことは前回もここに来ていたんだ、、、これはいけない、追っかけ失格の失態だ。
 トップはNECの長岡さんが今年の年号としゃれている(1996点)。
 リコーのトップは瀬良さんで1874点、私より400点近く上にいる。

 真壁さんは、端にと金を作ったところで逆襲されて困っている。
 相手の人を「メッ」と睨んだら、もっと怖い顔で睨まれた。
 リコーの2軍ではさっき神秘のマドンナにバラの花を贈りそこなったことを反省した人だけが負けたらしい。
 その人は、「西田さんのレポートは美女ばっかりだけど本当か」と言うから、自信を持って真壁さんを御簾のかげから見せてあげたところ私のレポートに嘘偽りがないことを納得してくれた。百読は一見にしかず。



 リコー2軍の本日のメーンエベントは、対トステム戦。
 私は五将で相矢倉に進み、△8五桂跳ねを受けた▲8六銀を△同角と切られてびっくり。
 それでも何とかしのぎきって横を見ると、四将のグリンベルヘンさんが大熱戦をやっている。三対三でここが決勝戦になっている。両者秒読みの中で素晴らしい激闘をやっている。
 寄せあいで、グリンベルヘンさんが有利だったが二度ほど決め手を逃し逆転されたけれど、良い将棋だった。



 結局、本日2勝1敗の2軍では椋木さんが3連勝、全勝東大を破った1軍も2勝1敗だったがもっとビッグニュースがあった。
 何と常勝瀬良さんが珍しく3連敗(瀬良さん失礼)で、更に驚くべき事に谷川さんが3連勝という(キャプテン失礼(^^;;))。

 神秘のマドンナともう一人のマドンナ(秋味のエリー?)の映像に酔ったまま、2連勝の気分も良く素敵な体育館を後にした。


大会結果

リコー1 1部リーグ 第3日目まで 成績
      対戦相手    戦 績  勝 敗 
1回戦光OKACHI 3−4
2回戦西日暮里    5−2
3回戦スーパーゴールド2−5
4回戦音OKACHI 7−0
5回戦東工大OB会  4−3
6回戦翔風館 ALFREIN 3−4
7回戦プロセス資材  3−4
8回戦東芝      4−3
9回戦オ−ル東大   4−3


リコー2 4部リーグ白 第3日目まで 成績
     対 戦 相 手  戦 績  勝 敗 
1回戦杉並区役所   5−2
2回戦白門棋道会2  2−5
3回戦富士通SSL  6−1
4回戦町田市役所   6−1
5回戦日立横浜    3−4
6回戦沖電気工業第2 4−3
7回戦横浜市役所   6−1
8回戦フェアリープリンセス27−0
9回戦都立大都鳥   6−1
10回戦トステム    3−4



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