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イベント・レポート - 0014-

第30回 東急将棋祭り

ミーハー冥利…恥ずかしながら…

月 日 :1996年7月21日
場 所 :東京都中央区日本橋一丁目 東急百貨店日本橋店
リポータ:西田文太郎

レポート

> (敬称略)

 昨夜からの大雨で連日の34度の気温も下がり、日本橋の日曜日は車も人もがらがらで気持ちよい。
 東急本店も他のフロアは空いているのに7階の特設コーナーは熱気が充満している。
 片側では3人1チームの会社団体対抗戦が開かれている。
 もう一方では、飯野健二六段と川上猛四段の選抜戦公開対局が桜井昇る七段の解説で行われている。
 親子連れや、追っかけギャルの他に年輩の方も子供も大勢居る。アマの強豪が集まる大きな将棋の大会とは少し違った雰囲気で老若男女が気楽に楽しんでいる。

 「羽生善治竜王・名人杯争奪戦」というのが12時からあるという。
 早速行列の尻尾に並ぶ。くじを引いて当たった人だけが参加できる仕組みだ。
 思わず嬉しくなる。くじにかかっちゃアマ強豪も参加できるとは限らないから。
 無料で、30分切れ負け。
 くじには最近ついているので当たると思っていたら、案の定。

 振り駒で、後手になった。屋敷七段から「文さんへ」の自筆サインを貰った本にあるので、横歩とらせをやってみたけれどうまくいかなかった。
 飛車を切られていいようにあしらわれてしまった。やはり、本はサインして貰っただけでは御利益はなさそうだ。
 でも、1時から羽生七冠王の記念対局があるから負けた方がいいなどといいわけをして対局場の方に行ったが70席くらいの椅子は無理としても十重二十重の人垣で全然見えない。
 それでも熱心に棋譜を書き留めて聞いている人も居たけれど、私はまんまとデパートの戦略に引っかかり紳士服売場に行ってしまった。

 2時30分から羽生竜王・名人の講演が有るので、再び混雑の中に飛び込んだ。
 記念対局は角換わり腰掛け銀から先手の羽生竜王・名人が入玉含みで勝ってしまった。
 講演では、小学2年の時ここの大会に初めて出て、アマ4級くらいだったけど決勝まで進み、先崎さんに負けたという。
 タイトル戦で三浦五段に棋聖戦第4局を負けてあまり気分がよろしくないとか、パソコンで将棋が強くなるわけではないけれど、情報整理には大いに役に立つとかいうようなことを話していた。
 年齢だけ取れば25と若いけれど、中学の頃から社会人として荒波にもまれてきたと思えば、かなりのキャリアになるわけで人間的にも尊敬できる人だと思った。

 源氏物語だったか忘れたが、葵祭りか何かの時に牛車の御簾越しに美しい人を見て恋をしたとかいう話が有りませんでしたか。
 実は帰りがけに車の窓越しにほっとした表情の羽生さんとにこにこ笑顔で運転する理恵さんをちらっと見ることができたのでミーハー冥利に尽きるというわけ。
 焼き餅でいえば悔しいから棋聖戦で三浦五段頑張れと応援したくもなるし、棋界の宝が天女に抱かれて羽を休めていると思えば微笑ましい限りで、七冠をキープして欲しいとも思う。

 因みに東急将棋祭りは19日から24日まで毎日趣向を凝らしてやっているようだ。


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